就業不能保険は入っておくべき?実際に働けなくなった人のデータをもとに解説!

掲載日:2023/04/28

机の上に保険の文字と電卓があるイメージ

この記事のポイント

  • 就業不能保険とは、病気やケガなどで働けなくなったときの保険のこと
  • 公的保障だけでは働けなくなった時の生活費をカバーできない場合がある
  • 働けない状態になった年代は20~30代の若年層が多い

ある日突然、病気やケガで長期の入院を余儀なくされ、仕事ができなくなったとしたらどうでしょう。おそらくほとんどの方が、ご家族の生活や、今後の生活費について頭を抱えるのではないでしょうか。公的保障や医療保険で収入の一部をカバーすることはできても、減少した収入を全て補うことは非常に困難です。そうした収入の減少に備えるための一手段として「就業不能保険」への加入が挙げられます。今回の記事では就業不能保険の概要やメリット、加入する上で覚えておきたいポイントについて解説します。

1.就業不能保険とは?

就業不能保険とは、病気やケガなどで働けなくなったときに経済的な負担に備えるための保険のこと。収入が減ってしまった場合に公的保障(傷病手当金・障害年金など)を受けることもできますが、そのお金だけではこれまでの収入の不足分を補うのは難しいと言えます。

就業不能保険の仕組みの図

また、働けなくなった経験のある人を対象に行った調査(※)では、病気やケガで働けない状態になった日から、働ける状態へ体調が回復するまでにかかった期間としては1ヵ月~3カ月と回答した人が最も多い結果となりました。

就業不能保険の仕組みの図 (※)チューリッヒ生命保険株式会社2021年度実施「就業不能に関する調査」

医療保険で病気やケガによる入院費などの医療費はカバーできますが、退院後の在宅療養や日々の生活費は賄うことは難しいかもしれません。就業不能保険に加入することで、働けなくなったことで不足してしまう収入部分をカバーするのはもちろん、医療保険などで補えない生活費にも備えられます

2.働けなくなったときの代わりとなる公的保障

ケガをした手首を握っているイメージ

ここでは健康保険による傷病手当金や障害年金など、働けなくなったときの代わりとなる公的保障について解説します。

2-1.加入している健康保険によって変わる公的保障

働けなくなったときに受けられる公的保障は存在するものの、健康保険か国民健康保険のどちらに加入しているかによって受けられる保障が異なります。公的保障には、主に傷病手当金・障害年金があり、それぞれ受け取るまでに審査や条件がある点に注意が必要です。傷病手当金は原則として自営業やフリーランスの場合には受け取れないほか、障害年金も働けない期間が1年6ヶ月以上に及ばないと原則として給付されません。

なお、原則として障害年金は初診日から1年6ヶ月経たないと請求できませんが、一部例外があります。初診日から1年6ヶ月が経過する前に症状が固定した場合(それ以上治療の効果が見込めないと判断された場合)は、その状態になった日が障害認定日とみなされ、障害年金を請求できます。

参考:全国健康保険協会|傷病手当金について

参考:日本年金機構|国民年金・厚生年金保険 障害認定基準

会社員と自営業における保障の違いについて、具体例をもとに詳しく見ていきましょう。

会社員の場合

会社員や公務員の場合、受けられる公的保障の一つとして給与の3分の2が支給される傷病手当金が挙げられます。また、障害年金も受け取れると、長期にわたる経済的な公的保障が得られます。

しかし、健康時に比べると収入が減少しているため、今まで通りの生活は難しいといえます。そのため、あわせて就業不能保険に加入しておくことで、収入の減少分をカバーすることができ、より安心して生活することができますよ。

会社員が受けられる公的保障の図

自営業の場合

一方で、自営業・フリーランスの場合は原則として傷病手当金を受け取ることができません。そのため、万が一働けなくなった場合に受け取れるお金は、基本的に会社員の人より少なくなってしまいます。

こうした点から、就業不能保険は働けなくなった場合に、公的な保障で生活費をカバーできない可能性が高い人にとって加入する意味が大きい保険といえるでしょう。

自営業の方が受けられる公的保障の図

2-2.障害年金は受け取るまでに時間がかかる

障害年金は一定の要件を満たさなければ受け取れないほか、受け取りまでに時間がかかる点にも注意が必要です。チューリッヒ生命が実施した同調査によっても、障害年金の認定を受けてから手当を受け取るまでに3~6ヶ月と回答した人が最も多い結果になっています。また全体で見ると約8割の方が受け取りまで3ヶ月以上かかっているという結果になりました。

障害年金を受け取れるまでにかかった期間のグラフ (※)チューリッヒ生命保険株式会社2021年度実施「就業不能に関する調査」

また、障害年金を受け取るまでの収入源については、傷病手当金で賄っていたという回答が多い結果となりました。そのため、傷病手当金を受け取れない自営業やフリーランスの場合は、収入を確保するのが難しくなってしまう可能性があるでしょう。

障害年金を受け取るまでの収入源のアンケート結果 (※)チューリッヒ生命保険株式会社2021年度実施「就業不能に関する調査」

就業不能保険の契約内容にもよって多少の違いはあるものの、加入しておくことで万一就業不能状態になってしまったとしても、早い時期から就業不能給付金を受け取れます。

3.就業不能保険は必要?

就業不能保険のパンフレットに〇印が置かれているイメージ

就業不能保険の概要や、その他公的保障について理解したものの「果たして就業不能保険は必要なのか」と悩む人も多いですよね。そこで、ここでは就業不能保険の必要性について解説します。

3-1.就業不能保険は自営業・フリーランスの方におすすめの保険

先にも述べたように会社員や公務員の方は、傷病手当金や障害年金といった手当が手厚く設けられています。その一方で、自営業・フリーランスの方の場合は、会社員や公務員の方に比べて公的保障で受け取れる手当が少ない場合があります。また、世帯主に限った話ではなく、専業主婦やパート・アルバイトで生計を支えている方も、万一の際に十分な保障を受けることができません。

そのため、どちらかといえば病気やケガなどで働けない状態になったときに傷病手当金などの保障が受けられる会社員や公務員の方よりも、自営業やフリーランスの方に就業不能保険はおすすめといえるでしょう。

3-2.働けない状態になった年代は20~30代の若年層が多い

「自分は若いからまだまだ大丈夫!」と思っている方も多いかも知れません。しかし、チューリッヒ生命の同調査では、働けない状態になった年代は20~30代の若年層が圧倒的に多いという結果になりました。

働けない状態になった年代についてのアンケート結果 (※)チューリッヒ生命保険株式会社2021年度実施「就業不能に関する調査」

全体の約6割を若年層が占めており、次いで40代、50代と続いていることがわかります。若年層が働けなくなった原因は、交通事故によるケガの割合が高く、次いでうつ病・精神疾患などが多いという結果に。

こうした背景も踏まえて就業不能保険などの世帯加入率は、実際に若年層が高い傾向にあります。以下、年代別に就業不能保険の加入割合を示したグラフですので、ぜひチェックしてみてくださいね。

就業不能保険等の世帯加入率のグラフ

4. 就業不能保険のメリット

女性が談笑しているイメージ

就業不能保険のメリットについて、ここで今一度おさらいしておきましょう。

4-1.公的保障や医療保険で賄えない生活費を受け取れる

公的保障や医療保険で賄えない生活費を受け取れることが、就業不能保険の大きなメリットです。

公益財団法人生命保険文化センターが実施した「生命保険に関する全国実態調査(2021年12月)」では、世帯主が2~3ヶ月入院した場合に必要だと考える資金の平均は月24.2万円でした。これに対し、厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」では公的保障1ヶ月当たりの平均収入は10.2万円となっており、単純にこの1ヶ月当たりの平均額を差し引いただけでも約14万円の収入減となります

また、医療保険だけで生活費を補うのも難しいでしょう。医療保険はあくまで治療費のサポートを目的とした保険であり、退院後の在宅療養や日々の生活費は賄うことはできないからです。

とはいえ、働き世代の就業不能保険の保険料は高くなりがちなため、月々の支払いが負担になるケースも少なくありません。そのため、家計と保険料のバランスを鑑みた上で、公的保障だけではカバーできない部分を医療保険でカバーするのか、就業不能保険でカバーするのかを決めるとよいでしょう。

4-2.働けなくなったときの不安の軽減

就業不能保険に加入することで精神的な不安も軽減できることもメリットの一つです。チューリッヒ生命の同調査において、「Q.働けない状態になり困ったこと全てをお知らせください」といった質問に対し、将来への不安で精神的苦痛が大きかった」と答えた人の割合は、「治療費や交通費などの出費が増えた」と答えた人の割合に次いで2番目に多い結果となりました

働けない状態になり困ったことのアンケート結果 (※)チューリッヒ生命保険株式会社2021年度実施「就業不能に関する調査」

病気やケガで働けない状態となり、収入が途絶えてしまったとしても住宅ローンや子どもの教育費、また日々の生活費はかかり続けます。貯金を切り崩しながらやりくりをするにしても、いつか底をつくのではないかという不安が付きまとうものです。就業不能保険に加入しておくことで、そうした経済的な不安を少しでも緩和できるのではないでしょうか。

5. 就業不能保険のデメリット

男性が思い悩んでいるイメージ

就業不能保険にはメリットがある一方で、一定期間以上就業不能状態でないと受給できないというデメリットもあります。たとえば、支払い対象外期間が60日と設定されている場合、給付金が支払われるには60日以上働けない状態が続いている必要があります

また、就業不能給付金を受け取れない支払い対象外期間の設定は、保険会社によっても異なります。そのため、加入する際は必ず複数社を比較検討するほか、不明点があれば担当者に確認するようにしましょう。

チューリッヒ生命の就業不能保険くらすプラスZでは、同じ月に10日以上の入院・在宅療養で、すぐに給付金を受け取ることができます。

公的保障とチューリッヒ生命の就業不能保険くらすプラスZの保障の図

詳しくはくらすプラスZのページをご確認下さい。

> くらすプラスZの特長をみる

6. 就業不能保険を選ぶポイント

最後に、就業不能保険を選ぶ上で意識したいポイントを2つご紹介します。

6-1.公的保障では足りない分を保障金額に

そもそもの考え方として、就業不能保険は公的保障で足りない部分をカバーするための保険であるという認識を持つことが大切です。そのため、まずは現職でもらえる公的保障について確認し、概算でどれほどの金額になるのかを確認しましょう。その上で、公的保障では補いきれない金額を把握し、不足金額に応じた就業不能保険を選ぶことをおすすめします。

特に自営業者やフリーランスの場合、障害年金の受け取り要件に該当する場合であっても実際に受け取れるのは働けない状態と診断されてから原則として1年6ヶ月が経過したあとです。その間は無収入となってしまうため、その点もカバーできる保険かどうか確認しておくと安心でしょう。

6-2.対象の病気・ケガを確認しておく

就業不能給付金の支払い対象となる「就業不能状態」の定義は、保険会社によって異なります。そのため、加入前に保険内容をきちんと確認しておくことが大切です。どういった病気にかかるか、ケガをするかは誰にも予測できませんが、自分がどういったリスクに備えたいのかを考えた上で保険を選ぶようにしましょう。

7.まとめ

今回の記事では就業不能保険の概要やメリット、加入検討時の注意点などについてお伝えしました。病気やケガによって長期的に働くことが難しくなった場合、公的保障だけで収入減を補うことは困難です。収入減をカバーしてくれる役目を果たす就業不能保険は、傷病手当金が受け取れない自営業者やフリーランスの方にとって頼りになる存在といえるでしょう。

とはいえ、保険会社によって就業不能保険の支払い条件や支払い対象期間が異なります。加入の際は複数社を比較検討した上で、自分や家族のライフプランと照らし合わせながら決めるとよいでしょう。また、わからないことがあれば早めにFP(ファイナンシャルプランナー)や検討中の保険会社に相談することをおすすめします。

※上記は一般的な内容です。保険の種類や呼称、保障内容等は商品によって異なりますので、実際にご加入いただく際は商品詳細をご確認のうえご契約ください。

【執筆・監修】

おりせ ゆりの写真

織瀬 ゆり(おりせ ゆり)

元信託銀行員。AFP・ 2級FP技能士をはじめ、複数の金融・不動産資格を所持。それらの知識をもとに、「初心者にもわかりやすい執筆」を心がけている。2児の子育て中でもあり、子育て世帯向けの資産形成、女性向けのライフプラン記事を得意とする。

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