特約とは?種類から付加するときのポイントまで詳しく解説

掲載日:2022/12/06

書類に記入する女性

保険加入の際に悩むのが「特約」の選び方。特約とひと口にいってもさまざまな種類があり、どれを選んだらよいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
ここでは保険加入や保険の見直しを検討している方に向けて、各種特約とその概要についてご説明します。

この記事のポイント

  • 特約にはどんなものがある?
  • 特約は付けるべきなのか?付けておきたい特約はなにか?
  • 特約には注意点がある

1.特約とは?

特約に関する書類

保険の特約にはさまざまなものがあります。ここでは、特約とはなにかをご説明した上で、おもな特約とその概要についてご説明します。

1-1.特約の概要

特約とは、保険に付ける「オプションの契約」です。ベースとなる保険の主契約に特約を付加することにより、保障内容をさらに充実させることができます。

特約のみを契約することはできず、また、主契約の契約期間終了や解約時に、特約のみ残すこともできません。

1-2.特約の種類

特約にはさまざまなものがあります。例えば、入院給付金や手術給付金等の保障内容が主契約となった「医療保険の特約」の種類としては、次のようなものがあります。

医療保険のおもな特約
特約名称 概要
先進医療特約 厚生労働省の承認を受けた先進医療の技術料は、全額自己負担となるため高額になるケースもあります。先進医療特約を付加しておくと、その技術料負担をカバーできます。保障の上限額は保険会社によって異なります。
通院特約 病気やケガによる入院をして、退院後もその治療のために通院があった場合、日数に応じて通院給付金を受取れます。「入院後の通院」に対して支給されるのが一般的。
女性疾病特約 女性特有の病気やガンなどで入院したときに、通常の民間医療保険の保障内容に加えて、女性疾病給付金を上乗せで受取ることができます。
ガン診断
一時金特約
ガンと診断されるとガン診断一時金を受取ることができます。なお、ガンに関する保障は、契約日から90日の不てん補期間(保障を受けられない期間)がある点に注意。
三大疾病
一時金特約
ガン・急性心筋梗塞・脳卒中となり、所定の状態となった場合に三大疾病一時金を受取ることができます。ガンの場合は診断されたら受取れますが、心筋梗塞や脳卒中の場合、所定の状態が「60日間以上」継続したときとされていることがあるなど、受給条件が厳しい場合があります。
保険料払込
免除特約
所定の状態となった場合に、それ以降の保険料の払込が免除されるものです。

他にも、死亡保障を主契約とした生命保険に付加できる特約を一部見てみましょう。

死亡保険(生命保険)のおもな特約
特約名称 概要
収入保障特約 被保険者(保険の対象となる人)が死亡または高度障害となった場合に、毎年または毎月、契約時に定めた所定の保険金を一定期間、年金形式で受取ることができます。
定期保険特約 一定期間、被保険者が死亡または高度障害となった場合に保険金を受取ることができます。
災害割増特約 被保険者が不慮の事故で死亡した際に、保険金を受取ることができます。
入院特約 病気やケガによる入院をした場合に、入院給付金を受取ることができます。

2.特約は付けるべき?

メモ帳とボールペン

主契約にさまざまな特約を付加することによって保障内容を充実させることができるとはいえ、「なんでも付加すればよい」というわけでもありません。

特約を付加する前に、考えておきたいことや、付けておきたい特約についてご説明します。

2-1.保険や特約の目的を考える

保険や特約は、加入しようとする方の「年齢」「性別」「職業」「資産」「既存の保険契約」などによって、加入の要不要や、契約すべき種類が異なります。

例えば、「退院後の通院費負担があまり重くない」と感じられる場合、通院特約を付加する必要はないと思います。このように、もし保険や特約の契約で迷ったら、どんな負担をカバーするために保険・特約を契約するのか?という視点で考えてみましょう。

2-2.付けておきたい特約は?

付けておいたほうがよい特約は人によって異なりますが、どなたにも検討をおすすめする特約が2つあります。

① 保険料払込免除特約

保険料払込免除特約は、所定の状態(悪性新生物と診断確定された場合など)になった場合に、以後の保険料の払込が免除される特約です。ただし保険会社や保険の種類によって「所定の状態」に含まれるものが異なるため、きちんと確認しておきましょう。

② 先進医療特約

先進医療特約は、先進医療を受けた際に、技術料負担を保険会社が定める上限額までカバーできる特約です。先進医療は高額なことが多く、特にガンに関しては多額の技術料(100~300万円)が発生することもあります。

先進医療特約を付加する場合の保険料は、数百円程度となっている保険会社が一般的です。 万一のとき、医師から先進医療による治療をすすめられたときのためにも、先進医療特約の付加を検討してみてはいかがでしょうか。

3.特約に関するQ&A

電卓と疑問符マーク

ここからは、特約に関するよくある疑問についても回答します。

Q.「女性疾病入院特約」は付けたほうがよいの?

A.女性疾病入院特約を付けておけば、入院にかかる個室料の負担に備えることができます。

女性疾病入院特約は、女性特有の病気に備える特約で、保険商品によっては女性特有のものに限らず一般的なガンで入院したときにも保障が上乗せされるものもあります。
入院している様子や、辛い闘病生活の様子を人に見られたくない場合に個室を使いたいと思うこともあるかもしれません。そのようなときに女性疾病入院特約を付けておけば、個室料の負担を心配することなく治療に専念できます。

女性疾病入院特約が適用された場合の給付金日額イメージ

Q.特約だけを残して解約できるの?

A.特約だけを残して解約することはできません。

先にご説明した通り「特約」は「主契約」に追加するオプションの保障です。そのため主契約を解約した場合、特約も同時に解約されることになるため、特約だけを残して解約することはできません。

Q.特約を後から付けることはできるの?

A.特約を後から付けること(中途付加)は保険の種類や特約の種類によって、できるものとできないものがあり、保険会社ごとにルールが異なるため一律にはいえません。

保険商品の契約のしおりや約款を確認するか、カスタマーセンターに問合わせてみるとよいでしょう。
なお、中途付加した特約の保険料は、中途付加時の年齢で計算されます。また、健康状態によっては引受を断られるケースもあることには注意が必要です。

Q.手術後、退院後も通院が必要な場合も保険でカバーできるのでしょうか?

A.「通院給付金」特約を付加することでカバーできます。

一般的に、「通院給付金」は入院を必要とする病気やケガの治療を受けた後、退院も通院が必要な場合に受取ることができるものです。近年、入院日数は短期化傾向にあり、通院による治療が主流となってきているため、今の治療に合った保障を備える必要があるといえます。

Q.日帰り入院の場合、入院給付金は受取れるのでしょうか?

A. 現在、日帰り入院※でも入院給付金が受取れる医療保険が主流です。

ただし、主流となる前に加入された古い医療保険については、今一度確認が必要です。なお、日帰り入院の場合、受取れる金額よりも手続きのほうに費用や手間がかかる可能性もあります。日帰り入院にも備えたい場合には、入院したら一時金が受取れる「入院一時金」が保障されているものがよいでしょう。コストバランスを考慮して、検討してみてはいかがでしょうか。

※通院と日帰り入院の違い・・・療費に「入院基本料」が含まれており、入院日と退院日が同じ日である場合が日帰り入院に該当します。通院は、あくまでも外来治療であり、治療費に「入院基本料」が含まれていません。

Q.「特定疾病保障特約」は、付加すべきでしょうか?

A.特定疾病保障特約は条件が厳しいため、特定疾病一時金特約など、条件が緩やかなものを検討しましょう。

特定疾病保障特約は、「ガン」「急性心筋梗塞」「脳卒中」の三大疾病で所定の状態となったときに保険金が受取れる特約です。これら三大疾病のいずれかで保険金を受取ると、保険契約が消滅する点には注意する必要があります。

また、ガンの場合は診断を受けると保険金を受取ることができますが、急性心筋梗塞は「医師から60日以上の労働制限を受けたとき」、脳卒中は「60日以上の後遺症が継続したとき」など給付条件が厳しいケースが一般的です。

ただし、最近ではガン・心疾患・脳血管疾患で所定の条件を満たしたときに、まとまった一時金を何度でも受取ることができる特約(特定疾病一時金)もあります。医療費以外の費用がかかる可能性に備えて、特約付加を検討されるのもよいでしょう。

4.まとめ

保障をリーズナブルに充実させることができる特約。その種類は多岐にわたります。しかし、保障を充実させることができるからといって、特約をたくさん付加することがよいとは一概にはいえません。

どんな保障が必要なのかを、年齢、家族構成、資産状況、既存保険契約などを考慮した上で、付加する特約を検討されるとよいでしょう。
また、特約ごとに注意すべきポイントもあります。どのようなときに、どのような保障が受けられるのか、保険会社によっても異なる場合がありますので、じっくりと内容を確認する姿勢も大切です。

※上記は一般的な内容です。保険の種類や呼称、保障内容等は商品によって異なりますので、実際にご加入いただく際は商品詳細をご確認のうえご契約ください。

【執筆・監修】

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キムラミキ

  • AFP
  • 社会福祉士
  • 宅地建物取引士

日本社会事業大学で社会福祉を学んだ後、外資系保険会社、マンションディベロッパーに在籍後、FPとして独立。現在は、株式会社ラフデッサン 代表取締役として、個人向けライフプラン相談、中小企業の顧問業務をお受けするほか、コラム執筆、セミナー講師、山陰放送ラジオパーソナリティとしても活躍中。

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