手術給付金とは?医療保険選びで必ず知っておきたいポイントを解説

掲載日:2020/11/30   更新日:2024/12/04

電卓とコインのイメージ画像

医療保険の保障の1つに、手術給付金があります。手術給付金とは、病気やケガで手術をした際に受け取れる一時金です。保険会社によって受け取れる条件や金額が異なりますので、医療保険を選ぶときには手術給付金に注目しておきましょう。

本記事では手術給付金について、対象となる手術や対象外の手術、受け取れる金額、これから医療保険に加入する人が注目しておきたいポイントなどを解説します。

この記事のポイント

  • 手術給付金の対象手術は公的医療保険に連動するタイプが多い
  • 手術給付金の金額は一律の場合と給付倍率で計算する場合がある
  • 同時に複数の手術を受けた場合などを除き手術給付金は原則何度でも受け取れる

1.手術給付金とは?医療保険による給付と加入条件

手術給付金とはのイメージ

手術給付金とは、民間の医療保険で受けられる給付の一つであり、医療保険選びの重要な要素です。ここでは給付と加入条件について、解説します。

1-1.医療保険で受けられる給付

医療保険とは、病気やケガの治療でかかる医療費の負担を軽減するための保険です。医療保険には公的医療保険(健康保険など)と民間の医療保険があります。公的医療保険は、 職業や雇用形式、年齢などに応じて種類が違いますが、 誰もがいずれかに加入しており、医療機関で発生する医療費の一部を負担してもらえる仕組みです。一方、民間の医療保険は任意で加入するもので、公的医療保険でカバーしきれない費用に備えることができます。

民間の医療保険の基本的な保障として、入院給付金と手術給付金があります。医療保険に加入しておけば、病気やケガで入院や手術をした際に、給付金を受け取ることができます。

1-2.医療保険の加入条件

医療保険は誰でも加入できるわけではありません。持病がある場合や、職業上病気やケガのリスクが高い場合には、加入が制限されることがあります。また、入院や手術の予定がある場合は医療保険に加入できなくなることもあるため、なるべく健康なうちから医療保険への加入を検討しておく必要があります。

2.手術給付金の対象となる手術は何種類?

手術給付金の対象となる手術は、保険商品ごとに決まっています。放射線治療を受けた場合は「放射線治療給付金」を受け取ることができますが、商品によっては手術給付金の対象となる場合があります。なお、手術給付金の対象となる手術の範囲は、次のいずれかで指定されています。

2-1.公的医療保険に連動する約1,000種類の手術

公的医療保険の医科診療報酬点数表に基づいて手術料が算定される手術を手術給付金の対象としている医療保険があります。これは、現在主流のタイプであり、約1,000種類の手術をカバーしています。

このタイプは公的医療保険に連動しているため、制度改正があれば対象となる手術内容が変わることがあります。

2-2.保険会社が約款で指定する88種類の手術

保険会社の約款で定められた88種類の手術が手術給付金の対象となる保険は、以前から販売されていたタイプです。中には、骨髄幹細胞採取手術を含む89種類を対象とするものもあります。

88種類という数字ですが、実際には細かく分類された数百種類の手術がカバーされており、一般的な手術はほぼ対象となります。

3.手術給付金の対象とならない手術

手術給付金は手術をすれば必ずもらえるというものではありません。手術給付金の対象とならない3つのパターンを説明します。

3-1.治療を直接の目的としない手術

手術給付金を受け取れるのは、病気やケガの治療を目的として手術を受けた場合です。美容整形や視力矯正手術などの治療目的ではない手術を受けた場合は、手術給付金は支払われません。出産に関しては、帝王切開などの異常分娩に伴う手術は保障の対象となる場合が多いですが、正常分娩に伴う手術は対象外としているところが一般的です。

3-2.約款で支払い対象外とされている手術

治療を目的としない手術の他にも、保険会社の約款によっては、創傷処理や抜歯などの軽微な手術も保障の対象外とされています。ただし、除外される手術の範囲は保険会社によって異なるため、加入する際には約款を確認しておきましょう。

3-3.保険加入前に発生した病気やケガを原因とする手術

保険による保障開始前に発生していた病気やケガを原因とする手術は、保障開始後に行われた場合でも、原則として手術給付金の対象外です。すでに病気にかかっている場合や、手術の予定がある場合は、医療保険に加入できない可能性があります。

4.手術給付金はいくら受け取れる?

イメージ

手術給付金の金額は、保険商品によって異なります。医療保険を選ぶ際には、手術給付金の金額がどのように設定されているかを確認することが大切です。手術給付金の金額の決まり方は主に2種類あり、日帰り手術と入院を伴う手術でそれぞれ給付倍率が違うものと、どちらの手術でも一律で同じ金額が受け取れるものがあります。

4-1.給付倍率によって手術給付金が決まるタイプ

入院給付金日額に給付倍率を乗じた金額が受け取れるタイプでは、日帰り手術と入院を伴う手術でそれぞれ給付倍率が異なり、一般的に入院を伴う手術と比べて日帰り手術の倍率が小さく設定されているものが多いです。

保険会社によっては、自分で給付倍率を選べる商品もあります。チューリッヒ生命の「終身医療保険プレミアムZ」「終身医療保険プレミアムZワイド」では、次のとおり入院を伴う手術で受け取れる給付金の給付倍率を選ぶことができます。

終身医療保険プレミアムZ(Ⅰ型) 終身医療保険プレミアムZワイド(Ⅰ型)
入院での手術 入院給付日額×20倍
入院給付日額×10倍
入院給付日額×5倍
から選択可能
入院給付日額×10倍
入院給付日額×5倍
から選択可能
外来での手術 入院給付日額×5倍 入院給付日額×5倍

4-2.一律の手術給付金が支払われるタイプ

日帰り手術や入院を伴う手術に関係なく、「手術1回につき10万円」のように金額が一律に決まっているパターンです。給付金額を高額に設定する場合、負担の少ない日帰り手術の場合でも同じ給付金額が受け取れる内容のため、入院を伴う手術と日帰り手術で給付金の倍率を変えているタイプよりも保険料が高くなることがあります。

5.これから加入するなら、どのタイプがいいの?

現在販売されている医療保険の多くは、公的医療保険に連動するタイプです。対象となる手術の範囲はどの商品でも大きく変わりませんが、選べる給付金額は商品によって異なります。

例えば、手術の保障を手厚くしたい場合であれば、給付倍率で給付金が設定されているタイプがおすすめです。給付倍率を高く設定できる保険を選ぶことで、高額の手術に対応しやすくなるでしょう。
また、最近は医療技術の進歩により、外来での日帰り手術が可能な疾病も増えているため、日帰り手術でも給付金対象となるものを選んでおくと何かと安心です。

6.手術給付金は何度でも受け取れるって本当?

手術給付金を受け取る際には、回数制限はなく、対象の手術を受ければ原則として何度でも受け取れます。ただし、所定の条件に該当する場合、複数回の手術を受けても1回分の給付金のみの支給となる場合があるので、注意が必要です。詳細な条件は保険会社によって異なりますが、一例として、以下の制限が設けられることがあります。

6-1.同時に2つ以上の手術を受けた場合の制限

同時または同日に複数の手術を受けた場合には、給付金額が最も高い手術についてのみ手術給付金が支払われます。

6-2.60日に1回を限度とする制限

同時期に一連の治療過程で複数回手術を行い、手術料が一回のみ算定される手術の場合、最初の手術を受けられた日からその日を含めて60日以内に受けた手術についてはお支払いの対象となりません。

7.手術給付金請求時のポイント

手術給付金を受け取るには、手術を受けた後に保険会社に請求する必要があります。手術給付金の請求方法や手順、税金について確認しておきましょう。

7-1. 手術給付金の請求手続きの流れ

手術給付金の請求から受け取りまでは、次のような流れになります。

(1) 保険会社に連絡

まずは加入している保険会社に連絡し、手術給付金を請求したい旨を伝えて必要書類を確認します。電話で連絡する際は、保険証券を手元に準備し、受付時間内に連絡するようにしましょう。保険会社によっては、Webサイトから請求手続きを行える場合もあるため、事前に確認しておくと便利です。

(2) 必要書類を提出

必要書類は郵送またはWebサイトからのアップロードで提出します。手術給付金を請求する際には、診断書の提出を求められることが多いです。診断書は病院に依頼して発行してもらえますが、基本的に有料となります。ただし、保険会社や手術の内容によっては、診断書の発行が不要で領収書などの提出で対応できる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

(3) 給付金の入金

手術給付金は、保険会社が必要書類を受領した後、内容が確認されてから数日程度で振り込まれます。

7-2.手術給付金に税金はかかる?

死亡保険金などを受け取った場合には税金がかかりますが、手術給付金については受け取っても税金はかかりません。手術を受けた本人だけでなく、配偶者または直系血族、生計同一のその他の親族が受け取った場合も非課税となります。

なお、年間にかかった医療費が10万円(※総所得金額200万円未満の場合、総所得金額の5%)を超えた場合、医療費控除を受けることができます。医療費控除を申請する際には、病院に払った医療費から手術給付金で補てんされた金額を差し引いて医療費を計算する必要があるので注意しましょう。

8.手術給付金に関するよくある質問

Q:医療保険を解約した後でも手術給付金を請求できるの?

A:保険契約が有効な期間中の手術であれば手術給付金を請求できますが、解約後に行った手術の場合は手術給付金の請求はできません。

Q:抜歯手術をした場合、手術給付金はもらえるの?

A:虫歯や歯周病の治療での抜歯や親知らずの抜歯は、原則として手術給付金の対象外となります。

Q:手術をしたのが5年前でも手術給付金を請求できるの?

A:手術給付金の請求権の時効は約款で3年と定められているのが一般的です。ただし、時効期間が経過していても、必要書類が揃えば請求できる保険会社もあるため、保険会社に確認するようにしましょう。

9.まとめ

医療保険に加入していれば、対象となる手術を受けた際に、手術給付金を受け取ることができます。手術給付金の対象となる手術は、どの医療保険も大きな変わりはありませんが、選べる手術給付金の金額は商品によって差があります。もしもの手術のリスクに備えて医療保険に加入するなら、手術給付金の金額に着目しておきましょう。

手術給付金は、手術の種類にかかわらず一律の金額が支払われるタイプと、入院給付金日額に応じて手術の種類ごとに給付倍率が指定されているタイプがあります。 自身の備えたい保障内容と保険料のバランスを考えて、どちらのタイプが合っているか比較すると良いでしょう。また、日帰り手術も保障の対象になっているかどうかも確認しておくと何かと安心です。

※掲載している保障内容等は一般的な例になります。実際の保障内容とは異なる場合がありますので、加入している保険会社へご確認いただくようお願い致します。

【執筆・監修】

森本 由紀の写真

森本 由紀(もりもと ゆき)

愛媛県出身。神戸大学法学部卒業。法律事務所で弁護士のアシスタントとして経験を積んだ後、2012年に独立。離婚業務をメインとしており、夫婦問題のカウンセリング、ライフスタイルの変化に伴うマネープランの見直し、各種手続きのサポートを行っている。マネー系サイトでの執筆・監修も数多く担当。
ホームページ:https://yurako.net/profile/
ブログ:https://ameblo.jp/yurakosan/
インスタグラム:https://www.instagram.com/yurakooffice

※AFP(アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)は、FPとして必要かつ十分な基礎知識を持ち、相談者に対して適切なアドバイスや提案ができるFP技能を習得した者として、日本FP協会が認定する資格です。

ライター記事一覧 >

チューリッヒ生命カスタマーケアセンター

0120-680-777

月~土午前9時~午後6時 ※日曜・祝日は除く

保険に関するご質問・ご相談など
お気軽にお電話ください。
専門のオペレーターが丁寧にお応えします!

専門のオペレーターが丁寧にお応えします!