医療保険の入院給付金とは?日額をいくらにするべきか金額の決め方を解説

掲載日:2020/10/01   更新日:2023/12/26

医師と相談する女性のイメージ画像

病気やケガの入院や手術への備えとして、医療保険の加入を考えている方にぜひ知っておいてほしい保障の一つが入院給付金です。入院による急な出費をカバーしてくれる入院給付金には、知っておくと役立つポイントがいくつもあります。基礎知識や金額の決め方など一つずつ解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。

医療保険の入院給付金を決める際に意識したいポイント

  • 入院に必要な費用や逸失収入を把握する
  • 貯蓄や資産状況と照らし合わせて検討する
  • 医療保険の内容は定期的に見直す

1.医療保険の入院給付金に関する基礎知識

病院のベッドで医師から説明を受ける夫婦のイメージ画像

まず入院給付金に関する基礎知識について解説します。入院給付金のタイプや支払限度日数は、医療保険の選択や保障の金額の設定時に重要なポイントです。考慮しなければならない項目ですので、しっかり押さえていきましょう。

医療保険については以下の記事で詳しく解説しているので、こちらもチェックしてみてください。

>>医療保険とは?種類ごとの特徴や加入の必要性を解説

1-1.入院給付金とは

入院給付金とは、医療保険の主となる保障の一つで、病気やケガで入院したときに保険会社から支払われる給付金のひとつです。この保障で、入院による出費や入院期間中の収入減をカバーできます。

一般的に治療を目的とした入院が対象で、検査のための入院などは支払い対象にならないため注意が必要です。また、ケガによる入院給付金と病気による入院給付金の支払要件をどちらも満たしている場合には、どちらか一方の入院給付金のみが支払われるといった条件になる場合が多いです。

1-2.支払い限度日数とは

医療保険の入院給付金では、1回の入院で支払い対象となる入院日数が決められています。これを支払限度日数と呼び、一般的な医療保険では30日型、60日型、120日型、365日型などがあります。

例:支払限度日数60日型の場合

支払限度日数60日型の場合の入院給付金受け取りイメージ

*1入院とみなされる退院後の所定の期間は、保険会社によって異なります。

例えば、支払限度日数が60日型の医療保険に入っている方が、61日以上の入院をすることになっても、給付金は60日分しか支払われません。また、所定の期間を空けずに同じ傷病が原因で複数回入院した場合、1回の入院とみなされて入院日数は前回の入院日数と合計されます。違う傷病を原因とする入院の場合であれば、所定の期間を空けずに保障される場合もあります。

1-3.入院給付金のタイプは2種類

入院給付金には、入院日数に応じて給付金を受け取れる日額タイプと、入院日数にかかわらず、決められた金額が給付される一時金タイプの2種類あります。それぞれの給付例は次の表を参考にしてください。

一時金タイプ
※入院一時金10万円の場合
日額タイプ
※入院1日あたり1万円の場合
入院1日の場合 10万円 1万円
入院7日の場合 10万円 7万円
入院20日の場合 10万円 20万円

日額タイプと比べて、一時金タイプは日帰り入院でも給付金が受け取れるものが多く、短期入院でもまとまった金額を受け取れるため、入院期間が短ければ短いほど、入院一日当たりに換算すれば給付金額が大きくなるといえます。 ただし、入院期間が長期になった場合は、一時金タイプではカバーしきれない可能性があるため、実際の負担額に合わせた保障を備えたい方は、日額タイプがおすすめです。

なかには一時金タイプと日額タイプを組み合わせたものもあるので、自分に合った保障を選ぶことができます。

1-4.入院給付金は非課税扱いとなる

被保険者と受取人が同じ場合の医療保険契約に基づく給付金は、税法上非課税になるため、入院給付金も非課税扱いになります

2.医療保険の入院給付金の決め方

入院費用を試算している様子のイメージ画像

次は実際に契約する際の給付金額の決め方を見ていきましょう。

2-1.入院に必要な費用を計算する

次の表は、入院1日あたりに必要な費用をまとめたもので、治療費・食事代・差額ベッド代など、入院1日あたりの自己負担額の平均は約20,700円となります。

入院の他に、手術が必要になった場合でも、多くのケースで手術費用は医療保険の手術給付金の対象になります。もしも先進医療を受けることになった場合、先進医療にかかる治療費は全額自己負担となり、とても高額になるケースが多いため、医療保険に先進医療を保障する特約を付けておくと安心です。また、自営業の方や会社員であっても、入院が長期に及んだ場合には入院していなければ得られたであろう、いわゆる逸失収入が発生します。入院に必要な費用だけでなく、家族の生活費なども考慮して保障を決めていくと良いでしょう。

入院時の1日当たりの自己負担費用の割合グラフ

参考:公益財団法人生命保険文化センター2022(令和4)年度生活保障に関する調査
<図表 II-14> 直近の入院時の1日あたりの自己負担費用〔直近の入院の時期別〕
*治療費・食事代・差額ベッド代に加え、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)や衣類、日用品などを含む。高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額。

2-2.貯蓄金額を確認する

入院1日あたりにかかる費用は平均20,700円でしたが、入院日数が長くなればなるほど経済的な負担も大きくなってきます。しかし、保険に加入する段階では、将来自分がどのような病気になり、どのくらいの治療費を必要とするのかまだわからない方も多いと思います。

まずは、いざというときに使える金額と貯蓄額を確認しましょう。不足が生じる可能性がある場合には、その分を保険で補てんするという選択肢もあります。実際にかかる入院費と資産を照らし合わせて、自分に適した保障額を設定しましょう。

2-3.メリット・デメリットを把握する

入院給付日額はどのくらいの金額に設定すればよいのでしょうか。入院給付日額は5,000円~1万円に設定する人が多いため、5,000円に仮定した場合のメリット・デメリットを参考にしてみてください。

入院給付日額5,000円の場合のメリット・デメリット
メリット

・日額を1万円などに設定した場合に比べて保険料を安く抑えられる

デメリット

・差額ベッド代などの入院費以外の自己負担費用をカバーできない

・傷病手当金が受けられない自営業の方にとっては、保障内容が不足する場合がある

先述の通り、入院1日あたりの自己負担額の平均は20,700円なので、入院給付日額が5,000円であれば約15,000円、入院給付日額が1万円であれば約1万円の差分が生じることを踏まえ、貯蓄と照らし合わせて必要な保障金額を検討しましょう。

ただし、入院給付金はもちろん入院をしなければ受け取ることのできないお金です。入院給付日額の設定金額を上げればその分月々の保険料も高くなるため、保障が手厚いほど良い、と一概にいえるものではありません。例えば傷病の機会が少なく、貯蓄や収入も少ない若年層なら入院給付日額は小さくても良いとも考えられます。あるいは、自営業の場合は傷病手当金の支給がないので1万円以上に設定しておく、という考え方もあります。

3.医療保険の入院給付金を請求する際の一般的な手順

入院費用イメージ

続いて、入院給付金を受け取るために必要な連絡事項や申請の手順を解説します。

3-1.保険会社に連絡する

入院や手術をした場合には、被保険者から保険会社に連絡をする必要があります。担当者や保険会社のコールセンターなどにできるだけ早く連絡し、下記の情報を伝えましょう。加入している保険会社のホームページから請求の手続きを行える場合もあります。

保険会社に伝える情報*

・加入している保険の証券番号

・被保険者の氏名

・入院日、退院日

・病院名

・手術日

・手術名

*加入している保障内容や請求内容によっては、給付金請求に必要な情報は異なる場合があります。

3-2.必要書類を提出する

一般的に、保険会社に連絡をすると請求までの手順や必要な書類の案内がされるので、それに従って準備を進めて必要な書類を保険会社に提出します。診断書の場合は医師に記入してもらう必要があり、診断書の発行費用は基本的に被保険者の負担になります。

入院給付金の請求に必要な書類の例

・診断書(保険会社指定のもの)

・給付金請求書

参考:公益財団法人生活保険文化センター「医療保険に関するQ&A」入院給付金を請求するとき、どんな手続きがいるの?

また、次の場合においては、診断書の提出が不要です。

診断書の提出が不要になる条件

・入院日数が30日以下、または給付金額が10万円以下などである

・保険契約後2年以上が経過している

・手術給付金の対象となる手術を受けていない

・入院日から退院日までが記載された医療費領収証やそのコピーを添付する

参考:公益財団法人生活保険文化センター「医療保険に関するQ&A」入院していても、入院給付金などを請求できるの?

3-3.入院給付金を受け取る

提出された書類をもとに保険会社が給付金の支払審査を行い、支払対象であると判断された場合のみ、給付金が支払われます。

4.医療保険を選ぶときのポイント

ここまで給付金を請求する場合の手続きについて解説してきましたが、入院給付金の設定は、将来のリスクを想定して決めるため、本当に必要な保障であるのか、判断しにくい部分でもあります。

そのような方は、入院給付金だけではなく、医療保険のほかの保障や特約と照らし合わせて考えてみることをおすすめします。医療保険を選ぶ際のポイントは、次の記事も参考にしてください。

関連コラム| 医療保険の見直し 選び方のポイントやタイミングについて

5.医療保険の入院給付金に関する注意点

入院費用イメージ

ここからは、入院給付金の注意点について解説していきます。

5-1.健康診断や出産は支払いの対象外

一般的に、医療保険が対象とするのは、病気やケガなどの治療を要するものであるため、健康診断や人間ドック、出産に伴う入院などは、対象に含まれません

しかし、帝王切開や子宮外妊娠のように、異常分娩、異常妊娠となった場合は、支払いの対象になる場合があります。健康診断や人間ドックも、検査で異常が見つかり治療が必要となった場合においては、その治療については支払いの対象になることがあります。

5-2.診断書の作成には費用がかかる

入院給付金を請求する際は保険会社に診断書を提出しますが、診断書は医師に書いてもらう必要があり、一般的に4,000〜5,000円程度の費用がかかります。特に、保険会社が独自に定めた形式のものであると、医師はそれぞれに対応して診断書を作成しなければならないため、その分の費用と時間がかかることに注意しましょう。

診断書作成で発生する費用は、基本的に自己負担となります。診断書の受け取りの際に支払いを求められるので、作成を依頼するときに受け取りまでにかかる期間と費用を聞いておくことをおすすめします。

5-3.医療保険の内容は定期的な見直しが必要

ライフステージやライフスタイルの変化に伴って医療保険の内容を見直しておかないと、医療保険加入時の想定以上に生活に影響を及ぼす可能性があります。たとえば結婚後も独身のときに加入していた保険のままでは、自分が入院して働けなくなった場合に家族の生活費や子供の教育費が不足してしまう可能性が出てきます。

医療保険を見直すタイミングは、就職、結婚、出産、または子どもの独立、定年退職などライフイベントの節目が最適です。または、ある程度貯蓄が貯まったので保障を小さくして保険料を抑えたい、もしくはがんの特約を追加して保障を手厚くするなど、保障内容の変更に関して意向が高まったときに見直しをするとよいでしょう。

医療保険を見直したり新規に加入したりする場合、新しい契約になるので、その時点の健康状態の告知が必要になります。場合によっては条件がついたり、加入を断られたりすることもあるので、必要な告知内容を確認しておきましょう。加入条件が優しい緩和型医療保険もありますが、通常の医療保険に比べて保険料は割高になります。

また、がんに関する特約については、保障が受けられない90日の不てん補期間などの待機期間がありますので、ここにも注意が必要です。

6.まとめ

この記事では、入院給付金について解説してきました。入院給付金を活用することで、入院時の自己負担費用をカバーすることができます。
支払限度日数や日額の内容をしっかり理解して、その時に必要な保障を備えられるようにしましょう。

※上記は一般的な内容です。保険の種類や呼称、保障内容等は商品によって異なりますので、実際にご加入いただく際は商品詳細をご確認のうえご契約ください。

【執筆・監修】

宮里 恵の写真

宮里 恵 (みやざと めぐみ)

  • ファイナンシャルプランナー
  • M・Mプランニング 代表

保育士、営業事務の仕事を経て、ファイナンシャルプランナーに。
独身、子育て世代から定年後の方までお金に関する相談を受けて、16年目になります。主婦FPとして等身大の目線でのアドバイスが好評です。家計・保険・老後・相続などの個別相談を主に、マネーセミナー、お金の専門家として記事の監修、テレビ取材なども受けている。「人生100年時代の今、将来のための自助努力、今からできることを一緒に考えていきましょう。」

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