病歴があってもガン保険には入れる?告知はどこまで必要?
掲載日:2021/06/04 更新日:2023/05/18
「過去に大きな病気にかかった人は保険に入れない」という話を聞いたことはないでしょうか。しかしながら、病気になったことがある人こそ保険に加入したいという気持ちは強くなるものです。今回は過去に病気になったことがあっても、ガン保険に加入できるかどうかについて解説します。
・ガン保険はがんを患った場合に手厚い保障が受けられる
・ガン保険は加入時に「年齢」「持病」などの告知事項がある
・持病があっても保険へ加入することは可能
目次
1.そもそもガン保険とは?医療保険との違いはなに?
本題に入る前に、ガン保険の基礎知識を簡単に整理しておきましょう。
ガン保険は、その名の通り「ガン(悪性新生物※)」になった場合に備えて加入する保険です。ガンの治療にかかる費用などを保障してくれます。
(※)上皮内新生物を保障する保険もあります。
1-1.ガン保険の保障内容
医療保険はガンを含むさまざまな病気やケガをカバーできますが、ガン保険はガンという病気だけに特化した保障が受けられます。
ガンしかカバーできない代わりに、ガンになった場合には診断が確定した時点で給付金が受取れたり、入院や手術だけでなく「抗がん剤治療」「放射線治療」「ホルモン剤治療」など、治療法に応じた給付金があったりと、手厚くサポートしてくれるのが特徴です。
医療保険は「広く浅く」カバーするのに対して、ガン保険は「狭く深く」といったイメージです。
ガン保険の保障内容は保険会社によって異なりますが、例えば以下のような保障が用意されていることが多くなっています。
1-2.ガン保険は加入したほうがいい?
ガン保険に加入しておいた方がいい人は、ガンになったときの治療費を自分の貯蓄でまかなえない可能性がある人です。
ガンの治療費は部位や進行度によっても大きく違いますが、厚生労働省の「医療給付実態調査(2018年度)」によると、ガン(悪性新生物・腫瘍)の1件あたりの診療費は入院で約75万円(健康保険で3割負担だと約23万円)、入院外の治療で約6万円(3割負担だと約2万円)となっています。
ただし、健康保険には高額療養費制度があり、年収約370万円~約770万円の方の場合は1ヶ月あたりの医療費負担は9万円程度が上限となるため、ある程度は負担を抑えることができます。
しかし、入院時に個室を希望したときにかかる「差額ベッド代」は高額療養費の対象になりません。また、先進医療の重粒子線治療なども健康保険が適用されないため、1回あたり300万円程度の費用が全額自己負担となる場合があります。
2.ガン保険は病気でも入れる?告知ってどこまで必要?
ガン保険は、過去に病気になったことがある方でも加入できる場合があります。詳しく見ていきましょう。
2-1.ガン保険の加入条件
ガン保険に加入するためには「年齢」や「過去の病歴」など、保険会社が定める一定の条件をクリアする必要があります。加入できる人の条件や基準は、保険会社によっても保険の種類によっても違います。
加入できる年齢は「満0歳~85歳まで」「満6歳~75歳まで」のように決められていて、幼い子どもや特に高齢の方は加入できない場合があります。年齢の条件はパンフレットなどに記載されていますので、気になる保険を見つけたら初めに確認しておきましょう。
年齢以外にポイントとなるのが「告知」の内容です。告知とは、保険会社に健康状態や過去の病歴などを申告することを指します。職業、過去の病歴、現在の通院状況など保険会社が指定する内容を申告しますが、申告内容によっては保険の加入を断られてしまう場合があります。
2-2.告知はどこまで必要?
過去に大きな病気をしたことがある方や持病がある方にとっては、この「告知」が非常に重要です。保険会社はこの告知書の内容で保険に加入できるかどうかの審査を行うため、漏れがないよう正確に申告するようにしましょう。告知書には以下のような質問があります。
【例】
・今までにガンや上皮内新生物にかかったことがありますか?
・最近3ヶ月以内に医師の診察、検査、治療、投薬などを受けたことがありますか?
・過去2年以内に健康診断・人間ドックなどで異常を指摘されたことはありますか?
ガン保険の告知はあらゆる病気やケガを対象とする医療保険と違い、過去に病気の経験があった場合でも現在通院中の場合でも、「ガン」や「ガンに関連する病気」によるものでなければクリアしやすい傾向があります。
また、過去にガンにかかったことがある人はガン保険に加入しにくくなりますが、なかにはガンにかかったことがある人専用のガン保険も存在しますので、そちらを検討してみましょう。
2-3.「告知義務違反」をしないように注意!
告知義務違反とは、正確な病歴を申告しなかったりウソの申告をしたりする行為のことです。
保険会社は給付金の支払いの際、過去の治療歴などを確認できますので、過去の通院歴などがあればわかります。もしその時点で告知義務違反が判明すれば、「給付金を支払わない」「保険契約を解除する」などの対応を取る場合があります。
もしガンになったときに告知義務違反が判明して給付金が受取れないとなれば、「今まで毎月保険料を支払ってきたのに、いざというときにお金を受取れず、別の保険に加入しようにもすでに病気が発覚済みで加入できない……」と、何のために保険に加入していたのかわからない状態になってしまいます。
わざとウソを申告した場合はもちろんですが、「通院したことをすっかり忘れていた」「あとで書こうと思って、告知の記入を飛ばしたまま提出してしまった」というようなうっかりミスでも影響することがあります。その場合は思い出した時点ですぐに保険会社に連絡をすれば追加の告知ができます。告知書を記入する際は丁寧に漏れなく、忘れている内容がないか確認して正確に記入するようにしましょう。
2-4.ガン保険の「不てん補期間」とは
ガン保険に加入するうえで知っておきたいのが「不てん補期間」です。基本的にガン保険は加入後90日間の保障されない期間があります。これを「不てん補期間」と言い、この期間内にガンと診断された場合は給付金が受取れず、保険契約も無効になります。
なぜこの不てん補期間があるのかというと、例えば自覚症状のある人や、ガンの疑いの指摘を受けている人が急いでガン保険に加入し、すぐにガンと診断確定されて給付金が受取れてしまうと、健康な状態を条件に加入した人との間の公平性が損なわれてしまいます。こうした契約者間の公平性を保つために、ガン保険では「不てん補期間」を設けているのです。
3.持病や既往歴のある人向けの保険
ガン保険は持病や既往歴がある方でも、その病気がガンに関連するものでなければ加入できる場合があります。
3-1.一度ガンになるとガン保険加入は難しくなるが、不可能ではない
通常のガン保険に加入できない方でも、「ガンにかかったことがある人専用のガン保険」などであれば加入できる可能性があります。
「ガンにかかったことがある人専用のガン保険」を提供している保険会社は複数あり、告知内容や加入できる基準はそれぞれ違いますが、例えば「過去5年以内にガンの診断や治療を受けたことがありますか?」のような質問があります。
こうした保険では通常のガン保険とは違い、ガンにかかったことがあっても最後に治療を終えてから数年経っていれば加入できるケースが多くなっています。
ただし、過去にガンに罹患したことのある方向けの保険は、通常のガン保険よりも保険料が割高で保障内容が小さいという特徴があります。いざというときに受取れる金額と保険料のバランスを見ながら検討しましょう。
3-2.ガン治療後、ある程度の期間が必要
ガンに罹患したことのある方用のガン保険は通常のガン保険よりは加入しやすいですが、それでも現在ガンで通院中の方や、ガンと診断済みでこれから治療が始まるといった段階の方だと加入できないことがほとんどです。
また「無選択型」といって告知なしで誰でも加入できる医療保険もありますが、こちらも保険料は高額で、ガンになったときの保障はガン保険より手薄です。毎月の家計の収支や現在の貯蓄額、今後の治療方針や必要な治療費の見込みなども勘案し、加入すべきかどうかを判断しましょう。
4.まとめ
過去に病気になったことがある方や、持病がある方でもガン保険への加入をあきらめる必要はありません。
医療保険とガン保険では保障される範囲が違うため、申告が必要な告知内容も違います。そのため病気の内容などによっては、健康な方と同じガン保険に加入できる場合がありますので、医療保険では加入が断られたとしても、ガン保険であれば加入できる可能性があります。
ガンになったときの治療費が心配な方は、病歴を正直に申告して、加入できる保険を探してみましょう。
※上記は一般的な内容です。保険の種類や呼称、保障内容等は商品によって異なりますので、実際にご加入いただく際は商品詳細をご確認のうえご契約ください。
【執筆・監修】
馬場愛梨 (ばば えり)
- ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。
むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
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