がん保険の免責期間とは?加入・見直し前に知っておくべき仕組み
掲載日:2022/03/30 更新日:2023/11/22
保険会社のホームページやパンフレットなどで、がん保険の保障内容を確認すると「免責期間」という文言をよく目にしますが、どのようなものなのか詳しくご存じでしょうか。本コラムでは、がん保険の免責期間の日数や設定される理由についてご紹介します。これからがん保険の加入や見直し・乗り換えを検討されている方はぜひ目を通しておいてください。
- がん保険には一般的に「90日」や「3ヶ月」の免責期間が設けられている
- がん保険に免責期間があるのは「保険加入者の公平性」を保つため
- 免責期間中にがんに罹患した場合、保障が受けられず保険契約は無効となる
1.がん保険の「免責期間」とは?
免責期間とは、がんと診断されても給付金が受け取れない期間のこと。多くのがん保険では契約してからすぐに保障が開始するのではなく、この「免責期間(待ち期間)」が設けられています。そのためがん保険の保障が始まるのは、免責期間終了後に「責任開始日」が過ぎたタイミングになります。
1-1.免責期間は90日もしくは3ヶ月が一般的
がん保険の免責期間は「90日」もしくは「3ヶ月」で設定されていることが一般的です。この期間でがんと診断されても給付金を受け取ることができません。ただし、免責期間の長さや条件は保険会社によって異なるため、パンフレットや約款をよく確認しておくことが重要です。
1-2.免責期間がないがん保険も存在する
がん保険では免責期間が設定されているものが一般的ですが、なかには免責期間がないがん保険もあります。
パンフレットや約款に「免責期間なし」と記載されている場合や、保障が開始される「責任開始期」が「1回目の保険料を受領したとき=責任開始期」、「申込確定日=責任開始期」と明記されているがん保険は、免責期間がなく契約後すぐに保障が開始されるがん保険です。
1-2-1.免責期間なしでも、特約に免責期間がある場合もある
免責期間なしのがん保険に加入する際は、どの保障について免責期間がないのかを確認しましょう。例えば、「主契約のがん手術給付金は免責期間なしだが、特約のがん診断一時金は90日の免責期間がある」という場合もあります。
1-3.免責期間中も保険料は発生する
免責期間中は保障が受けられませんが、保険料の支払いは発生します。この間の保険料を支払っていないと、契約が失効し、保障が受けられなくなる可能性もあります。
しかし、なかには免責期間中の保険料が発生しないがん保険も一部あるため、事前に契約内容を確認しておくとよいでしょう。
2.ガン保険に免責期間が設定されている理由
免責期間は保険加入者間の公平性を保つために設定されています。がん保険は加入者から集めた保険料で保険金や給付金の支払いを行っているため、保険加入者間で公平性を保つことが重要です。以下で、どのような人とリスクを避け、公平性を保つために設定しているのかを具体的にご紹介させていただきます。
2-1.理由1:自覚症状がある人の加入を避けるため
「胸にしこりがある」「便に血が混じる」などの自覚症状がある方ががん保険に加入すると、すぐに給付金が支払われる可能性が高く、加入者間の公平性が保てません。そのため、免責期間を設けることで、加入者間で不公平が生じるのを防いでいます。
2-2.理由2:自覚症状がない場合もあるため
初期のがんは自覚症状がないというケースも多くあります。また、がんに罹患していることを医師や家族から知らされていないという場合もあるでしょう。仮に免責期間がないと、このような方も給付金が支払われる対象となり、加入者間の公平性を保つのが難しくなります。
3.免責期間中にがんになった場合どうなる?
がん保険申込時には、年齢や現在、過去の健康状態、妊娠の有無などを告知し、保険会社が審査を行ったうえで加入が決まります。とはいえ、加入後の免責期間中にがんに罹患するというケースが発生するかもしれません。免責期間中にがんになった場合、保障や契約はどうなるのかをご紹介します。
3-1.基本的に保障は受けられない
免責期間中にがんになった場合、基本的には保障は受けられません。また、被保険者ががんである事実を知らずに加入していた場合も同様に、保障は受けられません。加えて、保険契約自体も無効となり、それ以降に発生する通院保障・手術給付金等の保障を受けることはできなくなることも留意しておきましょう。
なお、保険契約が無効になった方が免責期間中に払い込んだ保険料ですが、告知前にがんと診断されていた事実を保険契約者または被保険者が知っていた場合は払い戻されません。がんの罹患を知らずに加入していた場合は払い戻されます。
3-2.がんに罹患していることを黙って加入した場合は契約解除となる
免責期間中、免責期間終了後にかかわらず、がんに罹患していることを黙って加入していた場合、保険会社は契約を解除することができます。ただし、契約解除できる期間は保険会社によって定められていますので、詳しくはパンフレットや約款で確認が必要です。
契約解除となった場合、支払った保険料は戻りませんが、解約払戻金は支払われることがあります。この点も保険会社や保険商品によって異なりますので、確認しておきましょう。
なお、がんの罹患を隠してがん保険に加入するのは「告知義務違反」となり、加入者間の公平性の観点からも重大な違反となります。悪質な場合は詐欺行為とみなされる場合もありますので、絶対に行わないようにしましょう。
4.免責期間についての注意点
がん保険の免責期間についての注意点を2つご紹介します。特にがん保険の乗り換えを検討している方は確認しておきましょう。
4-1.がん保険を見直すときは保障期間が空白にならないように注意
現在、がん保険に加入している方が、他のがん保険に乗り換える場合、タイミングによっては保障がなくなる期間が発生する可能性があります。
もし、免責期間があるがん保険に乗り換えるのであれば、保障の空白期間を作らないよう、新たに加入する保険の免責期間が終了してから前の保険を解約することがおすすめです。この場合、数ヶ月間は2つのがん保険の保険料を負担する必要がある点も留意しておきましょう。
4-2.保険会社によって免責期間は異なる
ここまで、多くのがん保険の免責期間が「90日」もしくは「3ヶ月」とご紹介しましたが、期間は保険会社や商品によって異なる場合があります。これからがん保険に加入、もしくは見直し、乗り換えをするのであれば、保障内容とともに免責期間も比較して検討しましょう。
5.まとめ
がん保険には90日や3ヶ月の免責期間があるのが一般的です。この期間内にがんに罹患しても保障はありません。がんであることを知らずに加入し、免責期間中に罹患が判明した場合でも基本的に保障は受けられないものと覚えておきましょう。
また、乗り換えをする場合、先に加入中のがん保険を解約してしまうと、新たながん保険の免責期間が保障の空白期間となります。保障を絶対に途切れさせたくない方は、保険料の負担が増えるデメリットはありますが、新たながん保険の免責期間が終わってから、加入中のがん保険を解約するようにしましょう。
※上記は一般的な内容です。保険の種類や呼称、保障内容等は商品によって異なりますので、実際にご加入いただく際は商品詳細をご確認のうえご契約ください。
【執筆・監修】
田尻 宏子 (たじり ひろこ)
- 2級FP技能士
- 証券外務員第一種
証券会社営業、生命保険会社営業サポート、銀行コールセンター等複数の金融機関で勤務した後、2016年末からライターとして活動開始。現在は、主に投資・保険・不動産・ローンなどのジャンルを中心に金融系サイトで執筆中。
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