高齢者にがん保険は必要?60代・70代の必要性を解説

掲載日:2021/06/15  更新日:2023/08/10

老夫婦が説明を受けている様子の画像

年を取るにつれてケガ・病気・がんのリスクが高まるため、医療保険やがん保険への加入を考える方は多くなります。なかには、医療保険には加入しているけど、がん保険には加入していないという方もいらっしゃると思います。しかし、わざわざがんに特化した保険が必要なのか、公的保障で備えればよいのではないか、と考える方もいるかもしれません。

そこで今回は、シニア世代(高齢者)の方にがん保険は必要なのかについて詳しく解説します。現在がん保険への加入を悩んでいる人や、将来がん保険が必要なのか考えている人はぜひチェックしてみましょう。

1.高齢者にがん保険は必要?

近年、満85歳まで加入できる保険商品も登場しており、がん保険に加入すべきかどうか悩む60代・70代の方も多いのではないでしょうか。

がん保険へ加入する必要があるかどうかは人によっても異なりますが、悩んだ時はデータを参考にするのも一つの手です。ここでは、がんの罹患率、がん保険の加入率のデータをもとに、高齢者にがん保険は必要なのか解説します。

1-1.年齢が上がるほど、がんへの罹患者数は増える

国立がん研究センターが公表している、年齢階級別がん罹患率は以下の通りです。

現在年齢別がん罹患リスク *罹患率:推計患者数を人口10万対であらわした数
受療率(人口10万対)=推計患者数/推計人口×100,000
出典:国立がん研究センター「がん情報サービス」
*罹患率:推計患者数を人口10万対であらわした数
受療率(人口10万対)=推計患者数/推計人口×100,000
出典:国立がん研究センター「がん情報サービス」
出典:国立がん研究センター全国がん罹患データ(2019年データに基づく)
資料:国立がん研究センター全国がん罹患データ(2019年データに基づく)をもとにチューリッヒ生命作成

調査結果より、男性は50代後半に差し掛かったころから急激に罹患率が上昇し、女性も30代後半からゆるやかに上昇していることがわかります。このように、がんへの罹患リスクは年齢とともに高まっていきます。

1-2.がん保険加入率は下がる

ガン保険・ガン特約の世帯加入率(世帯年齢別・民保加入世帯ベース)

出典:生命保険文化センター 2021(令和3)年度 「生命保険に関する全国実態調査」
資料:生命保険文化センター 2021(令和3)年度 「生命保険に関する全国実態調査」をもとにチューリッヒ生命作成

生命保険文化センターが調査したがん保険加入率のデータを見ると、がん保険の加入率は45~49歳をピークに徐々に下降していくことが分かります。

ではなぜがんの罹患率は高齢になるにつれ上昇するにもかかわらず、がん保険の加入率は下がるのでしょうか。その理由について、以下で詳しく解説します。

2. がん保険への加入率が下がる理由

年金手帳と電卓の画像

年齢が上がるにつれ、がん保険への加入率が下がる主な理由を4つ、挙げてみました。

それぞれについて解説します。

2-1.保険料が高い

がん保険や医療保険は加入時の年齢が上がるほど、毎月の保険料が高くなるというデメリットがあります。年金と貯蓄でやりくりしている高齢者にとって、新たに高額な支出が増えるのは大きな負担になるでしょう。そのため、高額な保険料を理由に、保険への加入を断念している人がいると考えられます。

2-2.既往歴や年齢制限などにより加入難易度が上がる

基本的に保険へ加入する際は、保険商品ごとに健康状態などで一定の加入条件を満たさなければなりません。60代、70代になると既往歴や年齢制限によって条件を満たせないケースが多く、加入したいと思っても入れる保険を見つけるのが難しい場合があります。加入を検討している保険がある場合、既往歴や年齢制限など加入の条件面を確認しておきましょう。

チューリッヒ生命の『終身ガン治療保険プレミアムZ』であれば、満80歳までお申し込みいただけます。

>>『終身ガン治療保険プレミアムZ』

また、満85歳までの方、健康にご不安がある方は、引受基準緩和型の医療保険で検討するのもよいでしょう。『終身医療保険プレミアムZ ワイド』では、がんになったことがある方でも、過去2年以内にがん・上皮内がん(高度異形成も含む)、ポリープ、しゅよう、しゅりゅう、胸のしこり、子宮頸部異形成などで医師の指摘を受けていなければ、がんの保障を付加してお申し込みいただくことができます。

詳しくは商品ページ、ご契約に関する重要事項(契約概要・注意喚起情報)、ご契約のしおり・約款をご確認ください。

>>『終身医療保険プレミアムZ ワイド』

2-2.高齢者は医療費の自己負担額が少ない場合がある

60代・70代の方は条件を満たすことで、高齢者医療制度や高額療養費制度といった公的医療制度が利用できます。公的医療制度によって自己負担額が少なくなるため、現役世代に比べて治療費に備えるために保険へ加入するという人が少なくなると考えられます。

適用される公的医療制度は人によって異なるため、それぞれの制度について詳しく見ていきましょう。

2-3-1.高齢者医療制度

70歳になると「高齢受給者証」が発行され、健康保険証に加えて高齢受給者証を提示することで、医療費の自己負担割合が以下のように変わります。

75歳以上の高齢者で医療費窓口負担が2割になる場合の所得判定の考え方チャート図

※厚生労働省の資料を基にチューリッヒ生命作成

ただし、現役並みの所得がある人はたとえ70歳を超えたとしても、69歳以下と同じように3割負担となる点に注意が必要です。

2-3-2.高額療養費制度

高額療養費制度は、高齢者に限らず公的医療保険に加入しているすべての国民が利用できる制度です。具体的には月の初めから終わりまでの1ヶ月間で医療機関あるいは薬局で支払った金額が自己負担限度額を超えた場合に、超えた分のお金が支給される制度となっています。

また、自己負担限度額は年齢や所得によって異なるため、下図を参考に確認しておきましょう。

高額療養費の自己負担限度額
【70歳未満の会社員や公務員の場合】
月給 自己負担額(月額)
月給27万円未満 57,600円
月給27万円以上51.5万円未満 80,100円+(医療費-267,000円)×1%
月給51.5万円以上81万円未満 167,400円+(医療費-558,000円)×1%
月給81万円以上 252,600円+(医療費-842,000円)×1%
住民税非課税世帯(低所得世帯) 35,400円

【高額療養費の計算例】

月給27万円以上51.5万円未満のケースで自己負担額を計算。

例:医療費が100万円かかり、健康保険の3割負担でも自己負担が30万円となった場合

80,100円+(医療費100万円-267,000円)×1%=87,430円(自己負担限度額)

自己負担30万円-87,430円=212,570円(払い戻される金額)

上記より、たとえ自己負担額が30万円と高額になった場合でも21万2,570円が払い戻されることから、自己負担額は8万7,430円に抑えられることがわかります。

なお、同一世帯で1年間(直近12ヶ月)に3回以上高額療養費が支給されている場合、4回目以降の自己負担額が引き下げられ、さらに負担が軽減されることも覚えておくとよいでしょう。

がん保険や医療保険を検討する際は高額療養費制度があることを踏まえた上で、必要な保障額を決めることが大切です。

3. がん保険が必要な人・不要な人とは?

がん保険が必要な人と不要な人はどのような特徴があるのか、解説していきます。

3-1.がん保険が必要な人

がん保険が必要な人は、以下の通りです。

・先進医療や自由診療に備えたい人

・貯蓄が削られることを防ぎたい人

それぞれ見ていきましょう。

3-1-1.先進医療や自由診療に備えたい人

がん治療において、先進医療や自由診療などの治療費は全額自己負担となります。そのため、先進医療や自由診療などの高度医療を受けたい人はがん保険の加入が向いているといえるでしょう。

先進医療や自由診療を受けるとなれば、医療費が高額になる場合が多く、経済的に大きな負担を強いられることは避けられません。そのため、経済的に不安を抱える人の中には、最善な治療法を目の前にして諦めざるを得なかった人も多く見受けられます。いざがんになったときに、治療の選択肢を広げて最善の治療を受けたい人はがん保険の加入を検討するとよいでしょう。

3-1-2.貯蓄が削られることを防ぎたい人

がんの治療費に貯蓄を使いたくないという人は、がん保険への加入がおすすめです。老後の生活やライフイベントに対する備えとしてお金を貯めていた場合、貯蓄が治療費によって減っていくことで今後の生活に不安を感じてしまう人もいるでしょう。がん保険に加入しておけば、治療にかかる費用がカバーされるため、貯蓄が大幅に減るリスクは避けられます。

3-2.がん保険が不要な人

一方で、がん保険が不要な人は以下の通りです。

・貯蓄が十分な人

・既存の医療保険に特約を追加できる人

ひとつひとつ見ていきましょう。

3-2-1.貯蓄が十分な人

がんの治療に対応できる貯蓄があるなら、がん保険の必要性は低いといえるでしょう。もしがんになった場合、どの程度お金がかかるのかは、以下の厚生労働省が公表した統計を参考にしてみましょう。

【がんの治療費の平均日数・治療費平均】
がんの種類 入院 通院
平均日数 治療費平均 平均日数 治療費平均
胃がん 12日 65,617円 2日 4,363円
結腸がん 11日 66,491円 2日 4,583円
直腸がん 12日 76,841円 2日 6,196円
肝がん 11日 63,776円 2日 5,976円
肺がん 12日 71,778円 2日 11,252円
乳がん 9日 59,238円 2日 5,900円
子宮がん 10日 63,899円 2日 3,254円
その他がん
(上皮内がんは除く)
12日 67,479円 2日 6,777円

出典:厚生労働省 医療給付実態調査 / 報告書 令和2年度 「統計表 第3表 疾病分類別、診療種類別、制度別、件数、日数(回数)、点数(金額)」
資料:出典:厚生労働省 医療給付実態調査 / 報告書 令和2年度 「統計表 第3表 疾病分類別、診療種類別、制度別、件数、日数(回数)、点数(金額)」よりチューリッヒ生命作成

上記の表を見ると、1日あたり約7万円の入院治療費がかかることが分かります。また、平均入院日数は12日を考慮すると、1回の入院あたり約84万程度と想定しておくとよいでしょう。

とはいえ、先に紹介した公的医療保険の活用によって自己負担額を軽減できるため、自身の適用される公的保障も確認しておきましょう。

また、働き盛りの若い世代であればがんに罹患することで給料等に影響が出てしまうかもしれませんが、年金を受け取っている世代であればがんによって年金の支給額が左右されることはありません。そのため、がんに罹患しても一定の水準を保った生活が送れる場合、がん保険に加入する意味があるのかどうか考える余地があるといえるでしょう。

3-2-2.既存の医療保険に特約を追加できる人

既存の医療保険や死亡保険にがん特約を付加できる場合、がん保険に新規加入するより保険料が抑えられるケースがあります。その場合、新たにがん保険に加入する必要性は低いでしょう。ただし、最新のがん保険と給付条件などが異なるケースもあるため、保障内容をきちんと確認することが大切です。

また、現在の保険に加入したときよりも年齢が上がっている場合、同じ保険の特約であっても保険料が割高になる恐れがあります。新規加入した方が安いのか、特約を付加した方が安いのか、自分の年齢も考慮した上で比較検討するようにしましょう。

4. 高齢者ががん保険を選ぶときのポイント

夫婦が電卓と書類を見ながら相談しているイメージ

高齢者ががん保険を選ぶ際は、以下の3つのポイントを意識しましょう。

4-1.収入・貯蓄・公的保障を整理する

現役時代と同じ保障内容のまま保険に加入し続けている場合、現在の収入や貯蓄、公的保障について一度確認することをおすすめします。現役世代と比べ、年金を受け取る世代になると収入が少なくなってしまうケースも多く、収入と支出のバランスを十分に考慮してがん保険を選ぶことが必要です。

がん保険は治療費が高額になることが多く、先進医療を選択するとなれば数百万円の費用がかかる恐れがあります。自分ががんになったときに自由診療や先進医療も含め、選択肢の幅を広げたいのであれば、保険に入っておいた方が安心でしょう。

一方で、貯蓄が少なく、医療費への不安や心配がある場合には無理のない範囲で、自身に合った保障のみを検討するのも一つの手です。

4-2.今後のライフイベントを想定して保障内容を考える

がん保険を選ぶ際は、必ず今後のライフイベントを考慮した保障内容にするように心がけましょう。60・70代に差し掛かってくると、現役時代と比べて住宅ローンや子供の教育費といった費用負担を心配することはほとんどないでしょう。

一方で、高齢の両親の介護や病気やケガ、孫への子育てサポートなど、人によっては思った以上に出費がかさむケースも少なくありません。そうなれば、十分な貯蓄があったとしてもがん治療に臨むのが難しくなってしまうことも考えられます。

そのため、今後のライフイベントを想定した上で、がん保険への加入を検討する際は自分にとって必要な保障内容に見合う商品を選択することが大切です。

4-3.加入している保険で補えないか考える

現在加入している保険で、不足している保障を補えないか考えることも大切です。

たとえば医療保険に加入している人の中には、「がん特約」のような形でがん保険同等の保障をつけられるケースもあります。その場合、新規でがん保険に加入するよりも保険料を安く抑えられる可能性があります。

加入している保険の保障内容については、約款や保険会社への問合せなどで確認できるので、この機会に保障内容をしっかりと把握しておくことをおすすめします。

5. まとめ

今回の記事では、高齢者のがん保険の必要性や、選ぶ際のポイントについてお伝えしました。年齢とともに病気やケガ、がんに罹患するリスクは高まります。中には、高額療養費制度などの公的保障があるため、がん保険に加入する必要はないと考える人も多いかもしれません。

しかしその一方で、年金だけで一定水準の生活を送ることが難しく、貯蓄を切り崩している人が多いのも現状です。その中で、がんの治療費が発生するとなれば、経済的に大きな負担が生じることは避けられないでしょう。このようなリスクに備えるためにも、現状を正しく把握した上で、自分に合った保障のがん保険への加入を一度検討することをおすすめします。

※上記は一般的な内容です。保険の種類や呼称、保障内容等は商品によって異なりますので、実際にご加入いただく際は商品詳細をご確認のうえご契約ください。

※記載の内容は、2023年8月現在の情報に基づいています。

【執筆・監修】

おりせ ゆりの写真

織瀬 ゆり(おりせ ゆり)

元信託銀行員。AFP・ 2級FP技能士をはじめ、複数の金融・不動産資格を所持。それらの知識をもとに、「初心者にもわかりやすい執筆」を心がけている。2児の子育て中でもあり、子育て世帯向けの資産形成、女性向けのライフプラン記事を得意とする。

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