がん保険の選び方で40代が重視したいポイントは?加入の必要性について解説

掲載日:2020/08/07   更新日:2023/11/29

男女が並んで悩んでいるイメージ画像

40代に入ると健康面での不安が大きくなると同時に、がんに対する意識も強くなる頃でしょう。がんになってしまったあとの経済的な不安があっても、万一のことに備えてがん保険の加入を検討しても、どこを重視して加入すべきかわからず、そのまま入らずに終わってしまう、というケースが見られます。
この記事では、これからがん保険に入ろうか悩んでいる方に必要性・重視するポイントを解説しています。がん保険の内容をきちんと理解して、自分に合った保険を選びましょう。

1.40代ががん保険を選ぶときのポイント

チェックリストのイメージ画像

がん保険を選ぶ際は何を基準に選べばよいのか、まずは何もかもがわからず、最初からつまずいてしまうことも少なくないようです。がん保険ではまず、何に対してどのくらいの給付金が支払われるのかを知ることがポイントです。

がん保険の特徴は、がんと診断されたときから治療、入院、通院まで保険でカバーできることです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

1-1.診断給付金の金額

まずはがん保険の特徴でもある診断給付金の金額を考えましょう。診断給付金とは、がんと診断されたら受け取れる給付金です。給付金は治療が終了してから請求するのが一般的ですが、診断給付金は診断後すぐに受け取れるのが特徴といえます。

がんの治療は長期に渡ることが多く、すべての治療が終了するまでの経済負担も不安材料のひとつです。診断後すぐに受け取れるうえ、使用用途が決まっていないため、治療中の生活資金や治療費に充てることができます。

ただし、上皮内がんという早期がんは、診断給付金の対象外と定めている場合があります。特約付帯により保障対象にできる場合もあるのでチェックしておきましょう。ちなみに、がん保険で備えられる診断給付金の保障額は10~50万円が一般的です。

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1-2.治療給付金の金額と内容

がん治療は長期に及ぶケースが多いため、治療給付金も備える必要があります。治療給付金は、がん治療に対して受け取れる給付金です。

がん治療といっても、さまざまな治療法があり、治療法と一般的な給付金額は次の通りです。

手術 抗がん剤治療 放射線治療 ホルモン治療
治療内容 がん治療を目的にした外科的な手術 抗がん剤を点滴・注射・内服などによって投与する がんに放射線を当て治療する がんの増殖に起因するホルモンの作用を抑える薬を投与する
給付金額 手術1回につき
約5~40万円
月約5~30万円 放射線治療1回につき
約5~60万円
月約2~10万円

上記の給付金額はあくまで相場となりますが、治療内容にあわせて給付金を支払うケースが一般的です。治療給付金は保険会社によって保障額の設定が異なるため、確認しながら比較してみましょう。

1-3.入院給付金や通院給付金は必要か

がん保険には「入院給付金」と「通院給付金」が備わっています。結論からいうと、「入院給付金」と「通院給付金」はがん保険に必ず必要な保障内容と考えられます。なぜ必要なのか、それぞれ詳しく説明していきます。

人口10万人対の受療率のグラフ(入院受療率、外来受療率の推移)

上記のグラフを見て分かる通り、現在は入院での治療よりも通院治療が主流となってきています。通院での治療が長期化することに備えると、通院給付金は重要といえるでしょう。通院給付金は通院1日につき給付され、5,000~30,000円ほどの金額設定ができます。都度かかる診察料や投薬費用などの金銭的な負担を視野に入れて備えておくことが大切です。

しかし、通院治療で十分というわけではありません。もし入院治療になったときは、入院費用がかかったり、休職により減収してしまったりするケースも考えられます。入院中、経済的な心配をしなくて済むよう、入院給付金を準備しておくと安心です。入院給付金は、日額で5,000~20,000円に設定されているのが一般的です。

入院給付金と通院給付金の日額をいくらに設定すればいいか分からないときは、現在の貯蓄額や診断給付金の保障額とあわせて考えてみてください。診断給付金を低めに設定している場合は、日額10,000~20,000円で設定しておくと安心です。

1-4.通院保障の種類や充実性

前述の通り現在がん治療の多くは、通院治療にシフトしている傾向にあります。特に40代の働き盛り世代では、仕事を続けながら通院治療を選ぶ方が多いようです。通院保障には主に3つの種類があります。

退院後の通院を保障するタイプ、入院前後の通院を保障するタイプ、入院の有無に関わらず通院を保障するタイプの各図

●退院後の通院を保障

●入院前後の通院を保障

●入院しなくても通院を保障

どのタイミングで通院をするかは治療法や症状によって異なるため、どのタイプに加入すればよいか分からない方は、入院前後の通院を保障するタイプを準備しておくと安心です。

チューリッヒ生命の「終身ガン治療保険プレミアムZ」の通院保障の特約は、入院前と退院後の通院を保障するタイプとなっています。通院以外にも、所定の治療や自由診療、先進医療やがんの診断など、幅広いがん治療に対応できるのが特徴です。

1-5.先進医療や自由診療に対する保障の有無

がん治療には、保険診療の他に先進医療と自由診療があります。どちらも保険適用されないうえ、高額な治療費が必要になるのが特徴です。先進医療・自由診療が保障内かどうかは、保険商品によって異なるため、検討予定の人はチェックしましょう

先進医療は、厚生労働大臣が定めている高度な最先端の医療技術を用いた治療法で、基準をクリアした医療機関で治療をおこなうことが可能です。一般の保険診療と共通する部分以外の先進医療にかかる費用については全額自己負担です。

「自由診療」は、日本では承認されていない薬を用いた、検証段階の最新の治療法の一部など、公的医療保険の対象とならない診療をいいます。自由診療に関わる診察・入院・検査代も自己負担になるため、高額な治療費が必要となります。

先進医療特約は少ない追加費用で付帯できるのが一般的です。保険会社によっては自由診療による治療を保障する商品もあります。
どの治療法が合っているかは一人一人違うため、先進医療や自由診療の保障は万が一のために備えておきましょう。

2.40代にがん保険が必要な理由

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40代の方には、がん保険の必要性は高いと考えます。理由としては、40代になるとがんの罹患率が高くなる一方で、働き盛り、子育て真っ最中の方が多い年代であり、特に生活にお金がかかる時期でもあるためです。以下で、40代の方ががん保険で備えるべき理由を詳しく解説します。

2-1.働き盛りで休職による収入減少が打撃になりやすい

40代は働き盛りの方が多い年代ですが、がんになると一定期間仕事ができなくなる可能性があります。病状によっては休職も視野にいれなければいけません。仕事を休職すると収入が減り、生活費だけでなく治療費の負担がのしかかってきます。同時に治療が長期間になった場合は、経済的に苦しい期間が長くなるということです。

がん保険に加入していると、一般的にがんと診断された時点で、診断給付金から50~100万円といったまとまったお金を受け取ることが可能で、診断給付金はがん診断確定後に保険会社に請求することができ、使用用途が自由なので、そのまま生活費に充てることができます。

また、通院給付金も一緒に備えておく必要があります。がん治療は長期化で通院治療が主流になっていることから、通院にかかる金銭的負担も一緒にカバーしておきましょう。

2-2.子育て中など家庭でお金がかかることが多い

もう一つ40代にがん保険の必要性が高いといえる理由として、子育て中の方が多いことがあげられます。

子供を育てるには、生まれてから大学卒業まで1,000~3,000万円が必要と言われています。子供が大きくなるにつれて教育費や食費も増え、その最中にがんになってしまった場合は治療費がかかり家計を圧迫する原因になってしまうかもしれません。そのため、子供がいる家庭ではがんになってしまったときのことを考えて、ある程度のお金を確保できるようにしておくことが大切です。

仕事が制限されたり、休職が余儀なくされたりすることも考えられるため、収入が減ることを視野に入れてがん保険に加入しておきましょう。

2-3.40代男女の健康リスク

男女ともに40代に入ると、さまざまな病気のリスクが高くなります。特に生活習慣が影響する病気の罹患率が高くなり、心疾患、糖尿病、がんなどが代表的な40代でかかりやすい病気として挙げられます。40代という働き盛り世代ということもあり、生活習慣や、ストレス・運動不足も病気につながる大きな一因となります。

3.40代のがん罹患率

国立研究開発法人国立がん研究センターの年齢階級別がん罹患数を見てみましょう。

2015年年齢階級別がん罹患数

参考:国立研究開発法人国立がん研究センター 2015年 年齢階級別癌罹患数

前提として、年代ごとにそれぞれ人口が異なり、特に現代の日本では少子高齢化が顕著なため、純粋に「罹患者数」だけでリスクを比較できるものではありません。しかし、40代を境にがん罹患リスクがぐんと上がるのは事実です。

参考:国立がんセンター「『最新がん統計』がん罹患率(累積罹患リスク「全部位2019年」)」

また、40代の男女がこれからがんになる確率は、男性の場合10年後には1.6%、20年後には6.6%となっています。生涯では66%の高確率でがんになることを示しています。女性の場合は、10年後は4.1%、20年後には10.5%と男性より高い確率ということがわかります。しかし、30年後、40年後には男性がリスクを上回ります。生涯で見ると50%と男性に比べて低い結果が出ているため、男性は女性よりもがんになるリスクが高いため注意が必要です。

3-1.入院理由

40代で多い入院理由は、次の厚生労働省のデータから詳しく知ることができます。

1位 2位 3位 4位
男性 精神および行動の障害 循環器系の疾患 損傷・中毒およびその他の外因の外相 消化器系の疾患
女性 精神および行動の障害 がん 神経系の疾患 循環器系の疾患

参考:政府統計の総合窓口(患者調査 令和2年患者調査 確定数 全国編 報告書) 表番号9 確定数
全国編 報告書第9表 推計入院患者数,性・年齢階級(5歳) × 傷病分類 × 病院-一般診療所別

男女ともに1位は「精神および行動の障害」という結果になっています。男性の結果を見ると、がんの入院は上位に見られませんでした。一方、女性は2位に「新生物(腫瘍)」が入っています。データから読み取れるのは、40代女性は他の病気に比べてがんになるリスクが比較的高いということです。40代の女性はがんのための入院保障を手厚く準備しておくとよいかもしれません。

3-2.死亡理由

40代の死亡理由は、40代前半と40代後半に分けて発表されています。

男性 1位 2位 3位
40~44歳 自殺 がん(悪性新生物) 心疾患
45~49歳 がん(悪性新生物) 自殺 心疾患
女性 1位 2位 3位
40~44歳 がん(悪性新生物) 自殺 脳血管疾患
45~49歳 がん(悪性新生物) 自殺 脳血管疾患

参考:厚生労働省 令和4年度「人口動態統計 年報」第7表 死亡数・死亡率(人口10万対),性・年齢(5歳階級)・死因順位1) 別

40代男性の場合、40代前半後半で多少の前後はありますが、ほとんど結果は変わらず「自殺」とがんが1位となっています。女性の1位もがんという結果でした

3.40代のがん保険加入率

加入者数 全生保 民保
男性 2,141 38.0 35.3
20歳代 235 14.0 12.3
30歳代 275 42.9 40.4
40歳代 375 46.4 43.2
50歳代 358 45.5 43.9
60歳代 422 45.0 40.5
70歳代 447 30.0 28.0
加入者数 全生保 民保
女性 2,703 40.0 35.1
20歳代 210 21.9 18.6
30歳代 366 46.4 42.1
40歳代 534 50.6 44.9
50歳代 508 49.2 43.3
60歳代 505 38.2 31.9
70歳代 546 27.3 23.8

単位:%

参考:生命保険文化センター 令和4年度 「生活保障に関する調査(がん保険加入率)」

令和4年度の生命保険文化センターの調査では、40代男性のがん保険加入率は46.4%、40代女性は50.6%です。約2人に1人の方ががん保険に加入しています。他の年代と比べると、40代に入ってからのがん保険の加入率は男女ともにトップという結果です。

40代はがんに対しての意識が一番高まる時期だと考えられそうです。

4.40代がん保険選びで迷ったときにすべきこと

チェックリストのイメージ画像

40代に入り、いざがん保険に入ろうと思ってもなかなか行動を起こせない方がほとんどではないでしょうか。がん保険を選ぶときにすべきことは主に次の2つです。

●FPに相談する

●更新のタイミングで保険を見直す

具体的にどのように検討していくのか、それぞれ説明していきます。

4-1.FPに相談する

一つ目は、FPに相談する方法です。
FPとは「ファイナンシャルプランナー」の略称で、家族や個人の収支・資産状況を見ながら、将来のマネープランを立案・計画を立てる専門家です。一人一人に合ったマネープランを提案してくれるので、自分にはどんながん保険が必要なのかが分かります。がん保険に新規加入を考えている方も、すでに保険に加入している方も、一度相談してみるのがおすすめです。

その方に合った保険プランをいくつか提示してくれるので、経済状況を見ながら最適なプランを選ぶことができます。

4-2.更新のタイミングで保険を見直す

すでに医療保険や生命保険に加入している方の中には、更新型の保険に加入している方もいるでしょう。更新型の保険に加入している場合は10年更新が多く、一般的には更新後は保険料が高くなります。そのため、更新後保険料の負担を減らそうと、保障額を減額して更新前とあまり変わらない保険料で保険を継続する人もたくさんいます。

しかし、40代はまだ働き盛りで子育て真っ最中の方が多いため、保障額を極端に減らすのは避けたいところです。保険の更新をきっかけに、保険をじっくり見直してみましょう。10年たつと生活状況も変わっているため、新たに必要な保障、減らす保障が出てきます。いらない保障を削ってがんの保障を手厚くしたり、保険を他社に替えて保険料を抑えたりして、がん保険を新たに加入することも検討してみましょう。

5.まとめ

40代に入ると、健康面が一番不安になってくる年代です。仕事でも、これまでの努力が認められ、それなりの役職に就いたり大きなプロジェクトを任されたりという機会も増えてくるのではないでしょうか。そのため、40代というのは保険の必要性が今まで以上に出てくる年代であり、さまざまリスクに備えておくことが大切です。

その中でも、40代でぐんとリスクが上がる、がんに対しての備えはしっかりしておきましょう。がんは入院ではなく通院しながら治療ができる時代になりつつあります。働き盛りの世代にとって、仕事をしながら治療ができるというのは通院治療の大きなメリットです。現代の治療法や自分の年齢を考慮して、自分に適したがん保険を持ち、健康への不安や金銭的負担を軽減できるよう準備しておきましょう。

※上記は一般的な内容です。保険の種類や呼称、保障内容等は商品によって異なりますので、実際にご加入いただく際は商品詳細をご確認のうえご契約ください。

【執筆・監修】

宮里 恵の写真

宮里 恵 (みやざと めぐみ)

  • ファイナンシャルプランナー
  • M・Mプランニング 代表

保育士、営業事務の仕事を経て、ファイナンシャルプランナーに。
独身、子育て世代から定年後の方までお金に関する相談を受けて、16年目になります。主婦FPとして等身大の目線でのアドバイスが好評です。家計・保険・老後・相続などの個別相談を主に、マネーセミナー、お金の専門家として記事の監修、テレビ取材なども受けている。「人生100年時代の今、将来のための自助努力、今からできることを一緒に考えていきましょう。」

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