50代でがん保険は必要か?罹患率や選ぶときのポイントを解説
掲載日:2020/09/15 更新日:2024/04/10
一生涯でがんにかかる可能性は、日本人の場合2人に1人といわれています。がんのリスクに備える方法として有効なのが、がん保険への加入です。
民間のがん保険に加入していれば、がんと診断されたときや治療の際に給付金を受け取れるため、経済的な負担を軽減させ、がん治療に集中できます。現在50代の方のなかには、リスクに備えてがん保険に入るべきか迷っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、50代の方にとってがん保険が必要なのかどうかを解説します。生涯でがんにかかる割合やがん治療に必要な費用などを説明したうえで、がん保険の選び方や注意点も紹介するので参考にしてください。
- ライフステージに合わせて考える
- がんの罹患率自体が著しく高いわけではない
- 50代以降で新たに加入しようとすると保険料が高くなっていく
目次
1.50代でがん保険は必要なケース・不要なケースとは?
1981年から40年以上、死因のトップとなっているがん。医療の進歩により治療すれば治る可能性は高まっていますが、治療には高額な費用が必要です。そのため、がん治療にかかる経済的な負担を軽減したいと考える方には、がん保険は重要であるといえます。50代の今必要か悩んでいる方に向けて、がん保険の必要性が高いケースについて解説します。
出典元:公益財団法人 日本対がん協会
1-1.がん保険が必要なケース
現役で働いている場合は必要性が高い
現役で働いている場合は、がん保険に加入する必要性が高いといえます。
50代の会社員は、勤務先で重要な役職に就くなどして収入がピークになっている方も多くいるでしょう。そのタイミングでがんになると、治療のため働けなくなってしまい収入が減少するリスクがあります。
会社員であれば、病気やケガで働けなくなり十分な収入が得られない場合に健康保険から傷病手当金を受け取れますが、もらえる金額は通算1年6ヶ月にわたって給料の約3分の2なので、足りないこともあるでしょう。
また、自営業者が加入している国民健康保険には傷病手当金の制度がないため、がんで働けなくなった自営業者は収入が途絶えてしまいます。自営業者は特に、がんに罹患して長期的な治療が必要になったときの経済的リスクに備えておくとよいでしょう。
子どもの教育費がかかるなら必要性が高い
子どもの教育費がこれからもかかるのであれば、がん保険に加入する必要性が高いといえます。
晩婚化が進んでいる日本では、50代の両親が子育て真っ只中というケースもめずらしくありません。子育てにおいて教育費は大きな出費となるため、計画的に備える必要があります。
両親ががんで働けなくなると収入が減ってしまうので、今後も教育費がまだまだかかる予定であればがん保険で経済的なリスクに備えることが大切です。
家族にがんの病歴がある場合は必要
特に、家族に遺伝性の高いがんの罹患者がいる場合には、がんリスクが高いためがん保険の加入を検討したほうがよいでしょう。例えば、大腸がんや乳がん、卵巣がんといったがんの一部は遺伝性腫瘍といい、遺伝しやすいがんであることがわかっています。
もちろん、家族に遺伝性の高いがんの罹患者がいるからといって、必ずしもがんに罹患するわけではありませんが、そうでない人と比べるとがんリスクが高いことから、がん保険に加入しておくと安心です。
先進医療や自由診療を受けたい場合は必要
もし自身ががんに罹患した際、先進医療や自由診療も含めて選択肢を広く持ちたいと考えるのであれば、がん保険に加入しておくことをおすすめします。がん保険には先進医療や自由診療での治療に備えた商品があります。
先進医療や自由診療は公的医療保険の対象ではないため、費用のすべてを自己負担しなければなりません。先進医療や自由診療は高額なものが多く、例えばがんの放射線治療のひとつである陽子線治療の平均治療費は約270万円です。
がん保険ではこうした先進医療や自由診療を保障してくれるものが多いため、先進医療や自由診療の可能性にも備えたいのであればがん保険に加入しておきましょう。
精神的な安心を得たい場合は必要
リスクにしっかりと備えておくことで安心感を得たいという人も、がん保険の加入を検討しても良いかもしれません。もしがんになってしまったら、と考えたときの不安材料として、症状や治療内容はもちろんですが、お金の心配というのも大きいのではないでしょうか。思うように働けない間の生活費や医療費、あるいは家族に金銭的な負担を負わせてしまうかも、と考える人もいるはずです。
がんにかかるかどうかということや、その時期などは予測できるものではありませんが、金銭面での備えをしておくことで、不安は軽減できるでしょう。実際がんに罹患した際にも、金銭的な不安を抱えながら治療と向き合うよりも、ストレスが少なくなるという側面もあります。
1-2.がん保険が不要なケース
50代の方はがんのリスクに備えてがん保険に入ることをおすすめしますが、以下のようなケースではがん保険が不要なこともあります。
十分な貯蓄がある場合
十分な貯蓄がある50代の方は、がん保険への加入が不要なこともあります。
がん保険に入る目的は、働けないあいだの生活費や入院や治療にかかる費用をカバーすることです。十分に貯蓄があり、入院費用も高額な治療費用もこれまでに貯めたお金で賄えるのであれば、がん保険に加入する必要性は低いでしょう。
ただし、がんの治療のため公的保険適用外の先進医療を受ける場合は、数百万円の自己負担額が発生することもあります。適切な治療を受けるための費用を賄えるだけの貯蓄があるかどうか、慎重に確認しておきましょう。
がん以外の病気までカバーしたい場合
がん以外の病気も幅広くカバーしたい場合は、がん保険に加入しなくても良いケースがあります。
50代以降に発症するリスクが高まる病気は、がんだけではありません。心筋梗塞や脳卒中なども、加齢によって発症する可能性が高まります。深刻な病気でなくても、年齢を重ねることで病気やケガをして治療が必要な事態になることは考えられます。
がんだけでなく幅広い病気やケガのリスクに備えるためには、医療保険への加入が適しています。医療保険に加入してがんの特約も付加していれば、別途がん保険に入らなくても一定の保障を受けられます。現在加入している他の保険の内容も考慮し、がんのリスクにどう備えるか考えてみましょう。
2.生涯でがんにかかる割合
一生涯でがんにかかる日本人の割合は2人に1人といわれているため、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。ここで、年齢別のがん罹患率や50代でかかりやすいがんの種類について見ていきましょう。
2-1.年齢別のがん罹患率
がんの罹患率は、30代前後から上昇します。年齢を重ねていくとがん患者も増えていくため、経済的リスクに備えなければなりません。ここで、すべてのがんの年齢階級別罹患率を確認しましょう。
出典:平成31年(令和元年)全国がん登録 罹患数・率 報告 II結果の概要 第3章 正表 表3-1.年齢階級別罹患率(人口10万対,100歳以上まるめ): 部位別、性別
40代を超えたあたりからがんになる方の増加が顕著になり、50代前半から後半にかけて特に増加しているのがわかります。がん罹患者全体の比率から考えると50代でのがん罹患率が高いわけではないものの、50代になるとそれまでに比べて男女ともにがんの罹患リスクが高まることから、50代でがん保険に加入するのは重要といえそうです。
2-2.性別ごとのがん罹患率
男女ともに年齢を重ねるにつれてがん罹患率が上昇しますが、性別によって上昇するタイミングに違いがあります。
女性は20代後半、男性は30代前半から罹患率が徐々に上昇。また、50代までは女性のほうががん罹患率は高く、60代以降は男性の罹患率が女性を大きく上回っています。
男性は、加齢によってがんにかかるリスクが顕著に高まり、50代以降は急激にリスクが上昇するため、がん保険で備えておくと安心です。
女性は乳がんや子宮頸がんなど女性特有のがんにかかる可能性があるため、50代までの罹患率が高いといえます。ただし、50代までにがんにならなかったとしても加齢によって罹患リスクが高まる傾向はあるので、経済的リスクに備えておくことが大切です。
2-3.50代で罹患率が高いがんの種類
50代の男女における罹患率が高いがんの種類は異なります。50代で罹患率が高いがんの種類は、以下のとおりです。
1位 | 2位 | 3位 | |
---|---|---|---|
50代男性 | 胃がん | 大腸がん | 肺がん |
50代女性 | 乳がん | 子宮がん | 大腸がん |
出典:平成31年(令和元年)全国がん登録 罹患数・率 報告 II結果の概要 第3章 正表 表3-1.年齢階級別罹患率(人口10万対,100歳以上まるめ): 部位別、性別
男性は40代以上になると胃や大腸、肝臓など消化器系のがん罹患が増え始め、50代でもその傾向が続きます。女性は40代まで乳がんや子宮頸がんの割合が大きくなっていますが、加齢によって徐々に割合は減少。50代以上になると、胃や大腸、肝臓などの消化器系がんと肺がんの割合が大きくなっていきます。
参考:公益財団法人 がん研究振興財団「がんの統計 2022」P14
3.がんの治療に必要な費用
一般的に、がんの治療には高額な費用が発生します。がん治療にかかる費用の内訳を知り、万一の事態に備えられるようにしましょう。
3-1.入院費用
がんの治療のため入院する場合は、入院費用がかかります。入院費用の自己負担額は3割なので、窓口で支払う金額は20〜30万円が相場です。しかし、高額療養費制度が適用されることで、自己負担額は9万円ほどになります。
高額療養費制度は、窓口で支払う医療費が1ヶ月の上限を超えたとき、超えた金額を支給してくれるもの。しかし、高額療養費制度を利用しても10万円近くの費用を負担しなければならないことに加え、入院時に発生する差額ベッド代や食事代、生活用品の購入費用などは全額自己負担です。
自己負担額をできるだけ軽減させたいのであれば、がん保険に加入して備えるのがいいでしょう。
3-2.介護や支援サービスの利用料
末期がんで介護が必要になった場合、設備費用や介護サービスの利用料がかかることがあります。要介護者の介護に要する平均費用は月々8.3万円で、利用施設別だと以下の通りです。
- 在宅介護の場合の平均介護費用 約4.8万/月
- 施設介護の場合の平均介護費用 約12.2万/月
- (参考)ベッドや手すり設置などの一時費用 平均約74万
※生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/2021(令和3)年度より
日本では40歳になると公的介護保険制度への加入(保険料の徴収)が義務となり、原則として65歳以上で介護が必要になった人は公的介護保険が適用され自己負担1割で介護サービスを利用することが可能です。ただし、40歳~64歳の人でも、特定の疾病により介護が必要になった場合、公的介護保険を適用することができます。がんは病状によって公的介護保険が適用になるかが異なるため、適用外であれば介護費用が上記の平均額を上回る可能性があるでしょう。がんが理由で介護サービスの利用を検討しているのであれば、公的介護保険の適用条件も確認が必要です。
3-3.健康保険適用診療以外の費用
がんの治療法には、健康保険が適用されないものもあります。以下のような保険適用外の治療は全額自己負担となるので、がん保険や貯蓄などで十分備えておかなければなりません。
- 臨床試験への参加
- 保険適用されない先進医療
- 患者申出療養
先進医療にかかる自己負担額は、100万円を超えることもめずらしくありません。がんに罹患した際の治療の選択肢を広げるためにも、貯蓄やがん保険で備えておくことが大切です。
4.50代ががん保険を選ぶときのポイント
がん保険を選ぶ際は以下の点を明確にしておくと、スムーズに決めることができます。
保険期間と保険料払込期間を選ぶ | 一生涯保障の終身タイプと一定期間保障の定期タイプの種類があります。終身タイプは払込期間を終身払・短期払から選べるケースが一般的です。 |
---|---|
診断給付金の金額を決める | がんと初めて診断されたときに受け取れる給付金。一般的には50万円から200万円が設定できます。 |
通院給付金の金額を設定 | がん治療のために通院した日数に合わせて受け取れる給付金。1回の通院あたり数千円〜数万円で設定でき、入院前後の通院を保障するものもあります。 |
入院給付金の金額を設定 | がんの治療のために入院したときに受け取れる給付金。入院1日あたり数千円〜数万円で設定できるのが一般的です。 |
先進医療や自由診療の保障有無 | 先進医療や自由診療を受ける際の費用をカバーするためには、がん保険に先進医療特約や自由診療特約が付いているかどうかを確認することが重要です。 |
特約の内容 | 特約を付けることで保障内容を充実させられるので、必要なものがあれば活用しましょう。 「悪性新生物保険料払込免除特約」「がん通院特約」「がん治療特約」などが一例で挙げられます。 |
がん保険を選ぶ際は、自分で給付金額を設定するケースがほとんどです。まずは、加入の目的と現状の貯蓄額を把握しておくことでスムーズに選びやすくなりますよ。
チューリッヒ生命の「終身ガン治療保険プレミアムZ」に加入している51歳〜65歳に人気の特約は、1位の悪性新生物保険料払込免除特約(Z03)が74.2%となっていて、ほとんどの方がこの特約を付加する傾向にあるようです。50代の方は定年退職を見据える時期に入る方もいることから、がんと診断されて以後の支払いが不要になり、保障が継続する特約が最も人気となっているようです。
また、ガン通院特約(Z03)が67.8%、ガン治療特約が58.7%となっていて、近年のがん治療で主流となっている通院治療を保障する特約も人気となっています。若い時に入ったがん保険は、入院や手術の保障が主になっているので50代で見直すという方もいらっしゃるかもしれません。
このように自分と同世代の人がどのような傾向にあるのかを見てみるのもよいでしょう。
チューリッヒ生命:通信販売契約者集計
※契約日2021年4月1日~2022年11月18日(2022年11月18日時点有効契約)
「終身ガン治療保険プレミアムZ」加入傾向
詳しくがん保険の選び方を知りたい方は、こちらのコラムをチェックしてみてください。
あわせて読みたい|がん保険の選び方を解説!人気の給付金額や特約も紹介
5.50代でがん保険に加入する場合の注意点
50代でがん保険に加入する場合はいくつか注意点があるため、理解したうえで契約手続きを進めましょう。
5-1.保険料が高くなる
50代でがん保険に加入する場合、若い年齢で入るより保険料が高くなるため注意が必要です。
がん保険に限らず一般的な民間保険では、加入時の年齢が高くなるほど保険料も高くなります。年齢が高くなることでがんをはじめとする病気にかかるリスクが高まるので、より多くの保険料を支払わなければ万一の際に手厚い保障を受けられなくなるからです。
50代でがん保険への新規加入や乗り換えを検討する際は、月々の保険料がいくらになるかを確認しましょう。特約を付ける場合は、特約込みの金額をチェックすることが大切です。
5-2.保険自体に加入できない可能性がある
健康状態やがんの罹患歴によっては、50代の方でもがん保険に加入できないことがあります。
がん保険は医療保険とは異なり、過去に病気をしていてもがんに関わるものでなければ加入しやすい傾向があります。しかし、過去にがんになっていた場合は加入しにくくなる保険もあるため、注意しなければなりません。
がん保険に加入する場合は、保険会社が加入審査をおこなうための告知が必要です。正確な病歴を申告しなければ告知義務違反となり、給付金が支払われなかったり契約を解除されたりするおそれもあるため、告知は正確におこないましょう。
チューリッヒ生命のがん保険の告知は4項目でOKであり、さらに罹患したことがあっても、がん完治から5年以上経っていればチューリッヒ生命の引受基準緩和型医療保険の特約であれば、抗がん剤治療などの特約で一部がんの再発に備えられます。がんになったことがある方でも加入しやすい保険なので、詳細を確認してみてください。
5-3.免責期間に気をつける
がん保険に加入する場合、免責期間(待機期間や不てん補期間とも言います)に気を付ける必要があります。
がん保険には、90日間の免責期間(不てん補期間)があります。これは、がん保険を契約してから90日のあいだにがんに罹患した場合、保障が受けられないという期間のことです。免責期間は他の生命保険や医療保険には見られないがん保険の特徴なので、覚えておきましょう。
免責期間があるということは、がんの自覚症状があったり疑いが指摘されていたりするときに急いでがん保険に加入しても、給付金が受け取れないということ。がんの罹患率が高まっていく50代の方は、免責期間があることを考慮して早めに保険に加入しておくことが大切です。
6.まとめ
がんに罹患するリスクが徐々に高まってくる50代の方は、必要に応じてがん保険に加入して備えることが大切です。現在の貯蓄状況や万一の場合に発生する経済的リスクを考え、がん保険が必要かどうか判断しましょう。
がん保険の保障内容は幅広く、給付金の種類や特約の有無を選択することで自分に合う保険にカスタマイズすることが可能です。50代の方ががん保険に加入する際の注意点も確認したうえで、十分な保障内容のがん保険を選んでください。
※上記は一般的な内容です。保険の種類や呼称、保障内容等は商品によって異なりますので、実際にご加入いただく際は商品詳細をご確認のうえご契約ください。
【執筆・監修】
鳥居 佳織(とりい かおり)
大手生命保険会社にて8年間勤務。保険コンサルティングでは個人、法人、問わず生命保険や損害保険を幅広く販売。
金融ジャンルの専業ライターとして活動中。金融全般に関するさまざまな相談に応じてきた経験があり、実体験ベースでの執筆が得意。保険、年金、資産運用など幅広く執筆している。
ライター記事一覧 >
チューリッヒ生命カスタマーケアセンター
0120-680-777
月~土午前9時~午後6時 ※日曜・祝日は除く
保険に関するご質問・ご相談など
お気軽にお電話ください。
専門のオペレーターが丁寧にお応えします!