ガン保険は何歳から加入すればいい?早期加入のメリットを紹介
掲載日:2021/05/26
FPとして活動していると、「ガン保険は必要ですか?」というご相談をよくいただきます。死亡保障のように必要保障額を算出できないため、どのくらいの保障に加入すればいいのか、お困りの方は多いでしょう。
また、ガンにならなければほとんど給付金を受取ることができない、いわゆる「掛け捨て型」のタイプが多いこともガン保険加入に悩む理由の一つ。そこで今回は、ガンに関するデータをご紹介しながら、ガン保険加入について解説していきます。
目次
ガン保険の加入率や罹患率はどのくらい?
まずは、どのくらいの方がガン保険・ガン特約に加入されているのかデータを見てみましょう。ガン保険・ガン特約の加入率は、男性が43.2%、女性は42.2%。男女とも40歳代の加入率がもっとも多く、特に男性は過半数が加入していることがわかります。


次にガンの罹患率を見てみましょう。国立がん研究センターのデータによると、男女ともに年齢を重ねるにつれてガンの罹患率が上昇し、もっとも罹患率が高いのは95歳~99歳となっています。


「がん登録・統計」(全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ))がん罹患データ(2017年)より
先ほどご紹介したガン保険の加入率のデータでは、40歳代をピークにその後の加入率は減少していました。本来なら年齢が上がるほどガンのリスクが高くなるため、ガン保険・特約の加入率も比例して高くなっていってもいいはずです。つまり、ガン保険の加入年齢と罹患率が高い年齢とではずれが生じていることがわかります。
若いうちに加入するメリットとは
若いうちからガン保険に加入するメリットとして、次のようなことがあげられます。
メリット1.年齢が若いことで保険料が安い
医療保険や死亡保険と同様に、一般的なガン保険も加入する年齢が若いほど、保険料も安く済みます。ただし、10年ごとなどの更新型のガン保険の場合は、更新するたびに保険料が高くなっていくため注意が必要です。長期間加入するのであれば、最初から終身型のガン保険に加入をしていた方が結果的に保険料の総額が安く済む場合があるので、自身の目的に応じてどちらを選ぶのかよく検討するようにしましょう。
また、保険料の払込期間を60歳までにするなど、短期払いにすることで収入がある間に保険料の支払いを終わらせて一生涯の保障を持つ方法もあります。定年するまでに保険料の支払いを終わらせておけば、老後の資金計画を考えるうえでも安心できます。
メリット2.健康状態により加入できなくなるリスクを回避

1度でもガンに罹患してしまうと、その後新たにガン保険に加入することが難しくなってしまいます。最近では完治した後、一定期間を経過すれば加入できる保険もありますが、必ず加入できるとは限りません。
「親族でガンになった人が多いから、いずれは加入しておきたい」と考えている方も多いのですが、その時の健康状態により加入できなくなるリスクを考えると、なるべく若く健康なうちに加入しておく方が安心だと思います。
メリット3.免責期間中に契約が無効となるリスクを回避
ガン保険を検討するうえでぜひ覚えておいていただきたいのが、ガン保険には契約してから90日間(約3ヶ月)の免責期間があるということです。せっかくガン保険に加入しても、契約後90日以内にガンと診断された場合、給付金を受取ることができず保険契約も無効になってしまいます。
なぜこのような免責期間があるのかというと、病気の自覚症状がある人がガン保険へ加入することで、すぐに多額の給付金を受取れてしまうことを防ぐために必要だからです。健康な状態で加入した人と公平になるようにと作られた、いわば保険契約者を守るための仕組みなのです。
いつガンになってしまうかは誰にも分かりませんが、ガン保険への加入はこの免責期間があることを必ず覚えておいて、健康状態が安定しているうちに検討した方が良いと言えます。
メリット4.ガン罹患後の経済的なリスクをカバー
ガンの治療方法は色々ありますが、ときに高額の費用が発生してしまうことがあります。例えば、化学療法の一種で未承認薬を用いた「自由診療」による治療法では、公的医療保険が適用されないためかかった治療費の全額を自己負担しなくてはなりません。
他にも一部のガンに対する重粒子線治療や陽子線治療といった「先進医療」になると、300万円を超える費用が発生してしまうこともあります。こちらも公的医療保険の適用外となってしまいますが、先進医療特約等に加入しておけば、かかった技術料の全額が支払われます。ガン治療の選択肢を広げるためにも、高額になりがちな費用をサポートしてくれるガン保険に加入しておくと安心かもしれません。
若いうちに加入するデメリットとは
一方で、若いうちに加入するデメリットもあります。保険業界では頻繁に新商品が発売され、その度に保障内容が新しく変わってきています。そのため若い時に加入したガン保険のままだと保障内容が古く、最新の治療方法にそぐわなくなってしまう可能性があります。
最近のガン治療は入院しても短期間で、治療は通院しながら行うことが主流になってきているため、入院の保障ばかりに重きをおいたガン保険(またはガン入院も保障される医療保険)では、カバーしきれないこともあります。
また、ライフステージが変わるごとに必要な保障も変わってくるため、元のガン保険の保障内容では保障が足りない場合も出てくるかもしれません。ガン保険は加入したから大丈夫とそのまま放置せず、定期的に保障内容の確認や、必要であれば見直しをするなど、いざという時のためにメンテナンスが必要です。
ガン治療にかかる費用とは
実際にガン治療にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。
以下の表から、公的医療保険で3割負担に抑えられたとしても、高額な治療費が発生してしまうことがわかります。


「期間中に退院した患者の本調査の対象である24疾患別の入院医療費の平均」(2019年)より
次に、ガンの平均入院日数を見てみましょう。近年では入院が短期化されているとはいえ、食事代や個室を選択した場合の差額ベッド代などは健康保険が適用されないため、短い入院でも自己負担費用が発生します。


ここでぜひ知っておいていただきたい制度として、公的医療保険の「高額療養費制度」があります。1ヶ月間の医療費の自己負担を限度額までとし、それを超える医療費は公的医療保険が給付するという制度です。
この制度を使うと、1ヶ月あたりの医療費の自己負担限度額は約8.7万円程度※になるため、どんなに治療費がかかったとしてもある程度は抑えることができます。
ただし、食事代や病室の差額ベッド代などは制度の対象外のため、実際に支払う費用は治療費の自己負担限度額にこれらの費用が上乗せされるとして考えておきましょう。
※年収約370万円~約770万円の方の場合です。収入や年齢、家族構成や住んでいる地域などにより異なります。
ガン保険の保障内容

一般的なガン保険の保障は、「ガン診断給付金」「ガン入院給付金」「ガン手術給付金」「ガン通院給付金」「ガン死亡保険金」などがあります。
ガン診断給付金
ガンと診断されたときにまとまった一時金として受取れる給付金です。診断された時点でまとまった金額を受取れるため、治療費だけでなく、家族の生活費や収入の減少に充てるなど色々な費用に活用できます。
また、同じガン保険でも、悪性新生物の場合と上皮内新生物の場合で受取れる給付金額が変わるものもあるので、加入の際には色々な保険会社で比較して確認しておきましょう。
ガン入院給付金
医療保険の入院給付金の場合、1回の入院で支払われる日数や通算の日数には上限があり、これを支払限度日数といいます。これに対し、ガン保険の入院給付金には支払限度日数が無く無制限で保障してくれるため、入院が長期化した場合や入退院を繰り返した場合でも、日数の限度を気にすることなく給付金が受取れます。
ガン手術給付金
ガン治療のための手術を受けた場合に受取れる給付金です。初めに決めた一律の給付金額が受取れるものもあれば、ガンの種類によって給付金額が変わるものもあります。
ガン通院給付金
入院する前後の一定の期間で通院した場合に給付金が受取れます。ガンの治療は短期化傾向にあり、通院での治療が主流になってきていることから、通院治療への備えが注目されています。
ガン死亡給付金
ガンが原因で亡くなった場合に受取れる給付金です。ガン保険によってはガン以外で亡くなった場合でも、入院給付金の10倍の給付金が受取れるものもありますので、給付金の受取り条件を確認しておきましょう。
まとめ
いつガンに罹患してしまうかどうかは誰にもわかりません。もしもガンになってしまったとき、どのような治療方法を選択するかによって治療費は大きく異なります。ガン保険へ加入するか否かに正解はありませんが、まずはガンやガン保険についての知識をつけておくことが大切です。そのうえで、自身に合った保険を探していきましょう。
※上記は一般的な内容です。保険の種類や呼称、保障内容等は商品によって異なりますので、実際にご加入いただく際は商品詳細をご確認のうえご契約ください。

石田 知美(いしだ ともみ)
1級FP技能士、CFP®
大学卒業後、建設会社に勤務していたが、自己啓発のために勉強したファイナンシャル・プランニングに興味を持ち、転職。住宅購入セミナーや企業等での職員向けライフプランセミナー・退職準備セミナーをはじめ、FP資格取得講座や証券外務員対策講座など各種金融関連資格取得講座、各企業・一般消費者向けセミナー等を行う。
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