がん保険の診断給付金(一時金)の必要性
掲載日:2022/12/14 更新日:2024/01/24
がん保険というと、あまり保険に詳しくない方でも「がんになると大きなお金が受け取れるもの」といったイメージを抱くのではないでしょうか。ここでいう「大きなお金」の代表例が「がん診断給付金(一時金)」であり、がん治療にかかる経済的な負担を低減してくれることはもちろん、精神的な安定を得ることにもつながる重要な給付金です。
そこで今回の記事では、この診断給付金の意義や受け取り条件について確認しつつ、診断給付金とはどのようなものか見ていきましょう。
- 診断給付金(一時金)とは、がんと診断された場合に受け取れる給付金
- 診断給付金(一時金)の設定金額に比例して保険料も割高になる
- 使い道は自由だが、事前に考えておくことで必要な給付金額がわかる
目次
1.ガン保険の一時金とは?
ここではまず、がん保険のがん診断給付金(一時金)について解説します。
1-1.がん診断給付金(一時金)の保障内容
がん保険の診断給付金(一時金)は「一時金」とも呼ばれ、医師からがんと診断された際に受け取れる給付金のことです。受け取った給付金は用途が限定されていないため、治療費に限らず自由に利用できます。
また、がん診断給付金(一時金)を受け取れる保険はがん保険に限りません。昨今では、医療保険に特約としてがん診断給付金(一時金)を付加できる商品も見受けられます。ただし、がんに罹患した場合の保障については保険によって大きな差があるため、加入前にしっかりと調べることが大切です。
1-2.がん診断給付金(一時金)の特徴や仕組み
がん診断給付金の特徴や仕組みは以下の通りです。
- がんと診断された段階で受け取れる
- 金額が自分で設定できる
- 商品によっては複数回受け取れる場合もある
詳しくは後述しますが、がん診断給付金(一時金)はがんと診断された時点で受け取れるほか、受け取る金額についても保険会社が定める範囲内であれば自分で自由に設定が可能です。また、がんは再発や転移などにより、他の疾病に比べて長期化する恐れが高く、商品によってはがん診断給付金(一時金)を複数回にわたって受け取れます。回数や諸条件は各保険会社によって異なるため、加入前にきちんと確認しておくことがおすすめです。
2.ガン保険の一時金は必要?
がん診断給付金(一時金)の概要について理解したところで、本当にがん診断給付金(一時金)が必要なのかどうか判断に迷っている方も多いのではないでしょうか。自分にがん診断給付金(一時金)が必要かどうかの判断には、メリットとデメリットをそれぞれ理解した上で検討しましょう。
2-1.がん診断給付金(一時金)のメリット
がん診断給付金(一時金)を受け取る主なメリットを3つ紹介します。
- 診断後、すぐに給付金が受け取れる
- 使い道が自由
- 当面の生活費の不安が減る
それぞれについて、見ていきましょう。
2-1-1.診断後、すぐに給付金が受け取れる
がん診断給付金(一時金)はがんと診断された時点で、所定の金額を受け取ることができます。入院給付金や通院給付金などは実際に通院・入院した日数に応じて給付金が支払われる一方、がん診断給付金(一時金)は給付金の支給に入院や手術等の条件がないのが特徴として挙げられるでしょう。
すぐに給付金を受け取れることから、診断後の金銭的な負担を大きく軽減できるだけでなく、がん診断給付金(一時金)には税金が課せられないのもうれしいポイントです。
2-1-2.使い道が自由
がん診断給付金(一時金)の使い道は、がん治療に限らず自由に選べます。そのため、家族の生活費に充てることはもちろん、遠方の病院に通院する際の交通費としても使えます。
また、一般的にがんに罹患すると治療のため働けなくなってしまった場合、収入が下がるほか、ウィッグやサプリメントなどの諸経費が必要になるケースも珍しくありません。こうした突発的な用途にも柔軟に対応できるのが、がん診断給付金(一時金)のメリットといえます。
2-1-3.当面の生活費の不安が減る
先にも述べたように、がん治療によって休職や収入の減少が起こり得る一方で、迅速にまとまったお金が受け取れることで、これまで通りの生活を維持しやすくなるでしょう。また、すぐにお金を受け取れることは精神的にも安心感を得られるはずです。
2-2.がん診断給付金(一時金)のデメリット
がん診断給付金(一時金)には、デメリットも存在します。
2-2-1.保険料が高くなる
がん診断給付金(一時金)は、給付金の中で唯一治療前に受け取れる保障である一方、保険料が割高に設定されている傾向にあります。また、高い給付金を設定するとなれば、それに伴い保険料も高くなるでしょう。そのため、保障内容に対して保険料が見合っているか、また身の丈に合った保障プランであるかどうかを判断することが大切です。
2-2-2.がんのステージや種類など、条件によっては受け取れない
商品によっては給付金を受け取るために一定の条件を設けています。例えば、がんは「悪性新生物」と「上皮内新生物」の2種類に大別され、一般的にがんと呼ばれるのが「悪性新生物」です。一方「上皮内新生物」は転移がほとんどない状態のがんであるため、給付金の減額や対象外になる保険商品も少なくありません。がんのステージにおいても同様のことがいえます。このように、条件次第では保険金が受け取れないケースがあることも理解しておかなければなりません。
なお、「悪性新生物」と「上皮内新生物」については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてみてください。
あわせて読みたい|上皮内新生物とは?悪性新生物との違いは?がん保険で保障される?
2-2-3.長引く治療には備えられない
がん診断給付金(一時金)は、がんと診断された場合にのみ給付される保障であり、他の疾患やケガに対する保障は含まれません。そのため、がんの治療が長引いた場合には、がん診断給付金(一時金)だけでは、治療費や生活費をカバーすることは難しいでしょう。
がんは再発や転移の可能性がある病気であるため、今まで通りに働くことが困難になるケースも少なくありません。治療にかかる費用を十分に確保できていない場合、がん診断給付金(一時金)と併せて、他の保障も検討することをおすすめします。
2-2-4.給付金を受け取れない期間がある
がん診断給付金(一時金)に限らず、がん保険には90日(約3ヶ月)の免責期間が設けられています。
免責期間とは上の図でいうと保障されない期間のことです。そのため、免責期間中にがんと診断された場合、たとえ保険料を支払っていたとしても給付金は受け取れません。また、ケースによっては契約が無効になる恐れがあります。
なお、免責期間については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてみてください。
あわせて読みたい|がん保険の免責期間とは?給付金は受け取れない?
2-2-5.原則として本人しか請求できない
がん診断給付金(一時金)は基本的に本人が請求する必要があります。とはいえ、場合によっては家族の意向などによって本人へのがん告知が避けられるケースもあるでしょう。そのような場合に利用を検討したいのが「指定代理請求制度」です。
指定代理請求制度とは以下のような事情で被保険者が給付金を受け取れないときに、あらかじめ指定された代理人が被保険者に代わって給付金を請求できる制度のことです。
- がんの進行によって寝たきり状態となり、本人が意思表示をするのが難しい場合
- がんであることや余命などを本人に告知しておらず、家族のみが知っている場合
指定代理請求制度はがん保険に新たに加入する際はもちろん、契約途中であっても付加できるのが一般的です。一度自身が加入している保険会社に確認してみることをおすすめします。
3.がん診断給付金(一時金)はいくら必要か
診断給付金(一時金)がいくら必要かは、使い道や経済状況などで変わるため、一概にいうことはできません。ただし、がんの治療費や、診断給付金の使い道を考えておくことで、自分にはいくら必要かを知る手掛かりになるでしょう。
3-1.がん治療費の平均は?
厚生労働省「医療給付実態調査」から、がん種別の平均医療費を一部抜粋すると以下のようになっています。
胃がん | 約67万円/1件あたり医療費 |
---|---|
肺がん | 約72万円/1件辺り医療費 |
白血病 (血液のがん) |
約168万円/1件あたり医療費 |
実際には自己負担は上記の3割程度の額となりますが、別途、差額のベッド代や食事代など、入院で生じるそのほかの費用が必要となります。
それらを踏まえた上で、一時金である程度の治療費をカバーできるだけの保障を用意しておきたいのか、あくまでも収入減に備えたいのか、自身の目的を明確にした上で、診断給付金(一時金)の金額設定をすることが大切です。
3-2.がん診断給付金(一時金)の使い道から金額を設定する
がん診断給付金(一時金)の金額を決める際、以下のような使用目的から設定するのもひとつの手です。
- がんの治療費
- 治療費以外に発生する費用
- 収入の補てん
多くの方がまず思い浮かべるのはがんの治療費かもしれませんが、がん治療では治療以外にも以下のようにさまざまな費用がかかります。
これらを考慮した上で、がん診断給付金(一時金)の金額を決める必要があります。また、がん治療が長期化すればするほど家計への負担は大きく、仮に退院したとしてもすぐに仕事に復帰できるとは限りません。そのため、先のことも見越した上で収入の補てんとしてがん診断給付金(一時金)の金額を決めることも大切です。
一方で、自分では細かい部分まで把握することが難しいこともあるでしょう。その場合は、保険会社をはじめ、ファイナンシャルプランナーといった専門家に相談することをおすすめします。
4.ガン保険の一時金に関するQ&A
ここでは、がん保険の診断給付金(一時金)について、よくある疑問について回答します。
4-1.1回タイプと複数回タイプどちらがいいですか?
がん診断給付金(一時金)には、がんと診断されたときに「1回だけ」受け取れるタイプと、「複数回」受け取れるタイプの2種類があります。先にも述べたように、がんは再発・転移の可能性がある病気です。そのため、いったんがん治療が終わったとしても、その後に再度がんと診断されるケースも珍しくありません。このように長期化する恐れがあるがん治療に備えて、複数回タイプを選ぶとより安心といえるでしょう。
4-2.受取った一時金に税金はかかりますか?
がん診断給付金(一時金)は、非課税となり税金はかかりません。そのため、税務署への申告も不要です。ただし、確定申告で医療費控除を受ける選択をした場合、「負担した医療費-受け取った入院給付金など」の計算式で差し引く必要があります。
5.自分に合った保険を選ぶことが大切
医療技術の進歩により、昔と比べてがんは治る病気になってきました。とはいえ、がんと診断された際の不安は計り知れません。安心して治療に専念するためにも、がん保険に加入する際は保障内容と金額のバランスが自分に合っているかということと、がん診断給付金(一時金)についても確認しましょう。
それでも、自分に合ったがん保険の見分け方がわからないと悩んでいる方は多いかもしれません。その場合、以下のコラムでがん保険の選び方についてまとめているので参考にしてみてください。
あわせて読みたい|がん保険の選び方!がん治療の実態に合わせて必要な保障内容(給付金)を考える
※上記は一般的な内容です。保険の種類や呼称、保障内容等は商品によって異なりますので、実際にご加入いただく際は商品詳細をご確認のうえご契約ください。
【執筆・監修】
織瀬 ゆり(おりせ ゆり)
- 2級FP技能士、AFP
- 宅地建物取引士
元信託銀行員。AFP・ 2級FP技能士をはじめ、複数の金融・不動産資格を所持。それらの知識をもとに、「初心者にもわかりやすい執筆」を心がけている。2児の子育て中でもあり、子育て世帯向けの資産形成、女性向けのライフプラン記事を得意とする。
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