がん保険は掛け捨て型・貯蓄型どちらを選ぶべき?それぞれのメリット・デメリットを紹介

掲載日:2020/03/04  更新日:2023/12/13

保険の文字と薬や注射器、カルテなどのイメージ画像

がん保険加入を検討する際、保障内容以外に確認したいのが、掛け捨て型か貯蓄型なのか、という点です。今回はがん保険の掛け捨て型、貯蓄型の特徴、そしてメリット・デメリットについて解説します。自分に合った保険に入るためにしっかり理解しておきましょう。

この記事のポイント

  • がん保険には掛け捨て型と貯蓄型がある
  • 掛け捨て型の大きなメリットは保険料が割安な点
  • 貯蓄型はがん保障と貯蓄を両立させたい方におすすめ

1.がん保険における掛け捨て型・貯蓄型とは?

がん保険は保障が一生涯続く「終身タイプ」と一定期間まで保障される「定期タイプ」があります。さらに、終身タイプと定期タイプはそれぞれ「掛け捨て型」「貯蓄型」の2種類に分けられます。掛け捨て型と貯蓄型の特徴を確認しましょう。

1-1.がん保険では掛け捨て型が一般的

現在販売されているがん保険のほとんどが掛け捨て型です。掛け捨て型では、解約した場合や、満期を迎えた場合でも払い込んだ保険料は戻らない、もしくは戻ってきてもきわめて少額なのが特徴です。ただし、後ほどご紹介する貯蓄型よりも保険料は割安に設定されています。

1-2.掛け捨て型は、がんの保障のみに特化している

一般的に、掛け捨て型のがん保険は、解約時や満期時に受け取れる解約払戻金(解約返戻金)・満期金がないため、貯蓄目的で加入するのには向いていません。保険料を抑えてシンプルにがんの保障のみを備えたい方におすすめです。

1-3.貯蓄型は解約払戻金や満期金が受け取れる

貯蓄型と掛け捨て型の比較イメージ

貯蓄型のがん保険は、がんにならずに解約、もしくは満期を迎えた場合には解約払戻金や満期金が受け取れます。保障だけでなく、積み立てで貯蓄もしたいというのであれば、貯蓄型を選択するとよいでしょう。

ただし、積立部分があることで、保険料は掛け捨て型よりも割高に設定されています。その点は注意が必要です。

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2.掛け捨て型のメリットとデメリット

メリットとデメリットイメージ

掛け捨て型がん保険のメリットとデメリットを見ていきましょう。

2-1.掛け捨て型のメリット

掛け捨て型のメリットは次のとおりです。

2.1.1.保険料が割安

掛け捨て型の最大のメリットは、積立部分がない分、保険料が割安に設定されていることです。学費やマイホーム購入など、資金をほかの部分に使いたいという方に向いています。

また、保険料が安い分、特約を付加することで保障を充実させることができます。貯蓄より保障を求めるという方には掛け捨て型の保険がおすすめです。

2.1.2.保険の見直しがしやすい

掛け捨て型の保険はいつ解約しても解約払戻金がありません。よって、乗り換えたい保険があればタイミングを気にせず解約や見直しをすることができます

反対に貯蓄型の保険の場合は、解約のタイミングによって受け取れる解約払戻金額が変わります。加入して早い時期に解約してしまうと、払い込んだ保険料と比較して戻ってくる金額が非常に少ないこともあり注意が必要です。

2-2.掛け捨て型のデメリット

掛け捨て型のデメリットも確認しましょう。

2.2.1.払い込んだ保険料が戻らない

掛け捨て型のがん保険を解約しても払い込んだ保険料は戻りません。たとえば、定年などで収入が少なくなった際に、解約してもまとまったお金が入らない点が気になるという方もいるでしょう。

2.2.2.定期タイプの場合、更新時に保険料が上がる

掛け捨て型がん保険の中には「20年間」「60歳まで」など、保障される期間が定められた定期タイプもあります。定期タイプのうち、年満了の保険は満期が来たときに更新が必要ですが、保険料は更新時の年齢で再度計算されるため、加入時よりも保険料が高くなります。この点が気になり、更新せずに保障を終わらせたいという方もいるかもしれません。

しかし、がんは一生涯のうちで「2人に1人がかかる病」と言われています。経済的な負担を避けるためにも、できれば満期が来ても保障は途切れないように更新や見直しをすることをおすすめします。

なお、がん保険の中には、がん(悪性新生物)と診断された場合、保障は継続したままで保険料の払い込みが不要になる「保険料払込免除特約」が付加できるものもあります。 がん (悪性新生物) の治療のために今まで通り働けなくなり、収入が減ったとしても、保険料の支払いは心配ありません。また再発した場合でも保障を継続することができるので安心です。がん保険に加入する際は、保険料払込免除特約を検討するとよいでしょう。

※「保険料払込免除」の条件は加入される保険の保障内容をご確認ください。

3.貯蓄型のメリット・デメリット

選択イメージ

ここまで、掛け捨て型がん保険のメリット・デメリットをご紹介しました。では、貯蓄型のメリット・デメリットについても見ていきましょう。

3-1.貯蓄型のメリット

貯蓄型のメリットは以下のとおりです。

3.1.1.解約払戻金や還付給付金がある

貯蓄型がん保険は、がん治療に対する保障だけでなく、保険料の積み立てもできる保険です。よって、解約をすれば積立部分が解約払戻金として戻ってきます。また、一定の年齢までがん給付金が支払われなかった場合、払い込んだ保険料を還付するがん保険もありますので、「支払った保険料を無駄にしたくない」という方には貯蓄型が向いています。特に、保険とは別に貯蓄や投資で資産形成していない、する予定がない方に貯蓄型はおすすめです。

ただし、加入から早い時期に解約した場合、解約払戻金の額は非常に少なくなってしまう点に注意が必要です。貯蓄型がん保険への加入を検討する際は、支払った保険料に対して、解約時にどれだけの金額が戻ってくるかを示している「返戻率」を確認しましょう。なお、返戻率は各保険会社で異なりますので、比較して検討するとよいでしょう。

3-2.貯蓄型のデメリット

貯蓄型のがん保険のデメリットは以下のとおりです。

3.2.1.保険料が高い

貯蓄型がん保険の最大のデメリットは、掛け捨て型がん保険より保険料が高いという点です。学費や住宅ローン返済など、ほかの支出がある家庭の場合、保険料の負担が大きいと保険の継続が難しくなるケースも出てくるかもしれません。

また、最近のがん保険には「働けなくなったときの保障」「がん先進医療特約」などさまざまな特約を付加できます。主契約のがん保険の保険料が高すぎると、保険料の負担が気になって他の必要な特約を付加できなくなる可能性もあるかもしれません。

3.2.2.解約払戻金が少ない場合も

貯蓄型のがん保険は、解約すると解約払戻金が受け取れますが、加入から早い時期の解約の場合、解約払戻金がほとんどない場合があります。「いざというときのため」に貯蓄型に加入しても、期待していたほどの金額が受け取れない可能性もありますので、解約するタイミングには注意してください。

特に、将来の学費や老後資金のために貯蓄型がん保険に加入するのであれば、解約予定時期の返戻率を事前に確認してから加入しましょう。

4.掛け捨て型・貯蓄型、どちらを選べばよい?

夫婦がパソコン画面を見ながら悩む様子のイメージ画像

「がん保険に加入したいが、掛け捨て型と貯蓄型どちらを選ぶべきか」を迷っている方も多いのではないでしょうか。そこで、それぞれのタイプに向いている方について解説します。

4.1.保険料を抑えたい・資産形成は別で行いたい方は「掛け捨て型」

掛け捨て型がん保険に向いている方は以下のような方です。

4.1.1.できるだけ保険料を抑えたい方

掛け捨て型のメリットは保険料が低めに設定されていることです。できるだけ保険料を抑えて、日々の経済的な負担を減らしたいという方には掛け捨て型がん保険が向いています

4.1.2.ほかの手段で資産形成をしたい方

掛け捨て型の場合、貯蓄型よりも保険料が安いため、浮いたお金をほかの資産形成に回すことができます。貯蓄や投資など、自分で金融商品を選び資産形成をしたいという方には掛け捨て型の方がおすすめです。

4.2.がんに備えつつ、資産形成をしたい方は「貯蓄型」

4.2.1.がん保障と貯蓄を両立させたい方

貯蓄型の保険では、解約時に解約払戻金が、がんの給付金を受け取らず一定の年齢になれば還付給付金が支払われます。「がんの保障も欲しいが将来のためのお金も貯めたい」という方には貯蓄型がおすすめです

4.2.2.自分で金融商品を選べない方

株式・NISA・投資信託などの貯蓄にまつわる金融商品があるものの、どれがよいかわからず選べない、という方には貯蓄型がおすすめです。

貯蓄型であれば、保険で積み立てもできますので、わざわざ他の金融商品を探す必要もなくなります。

がん保険の掛け捨て型と貯蓄型に向いている方についてご紹介しましたが、そもそもがん保険の選び方自体が分からないという方は、以下のコラムを参考にしてください。

あわせて読みたい|がん保険のおすすめは?年代別の選び方から必要性まで全解説

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5.まとめ:掛け捨て型と貯蓄型、それぞれの特徴を確認してがん保険の選択を!

掛け捨て型がん保険と貯蓄型がん保険は、どちらもがんのリスクに備える保険ですが、保険料や解約払戻金の有無などの違いがあります。

保険料の安さを重視したいのであれば、掛け捨て型がおすすめですが、解約払戻金がないことを認識しておきましょう。また、がん保険で貯蓄もしたいという方には貯蓄型がありますが、保険料が高くなる点はデメリットともいえます。

がん保険を選ぶ際は、掛け捨て型、貯蓄型のそれぞれの特徴と、生活費や子供の教育費など、保険以外でかかるお金のことなど、将来設計と合わせて考えることをおすすめします。

※上記は一般的な内容です。保険の種類や呼称、保障内容等は商品によって異なりますので、実際にご加入いただく際は商品詳細をご確認のうえご契約ください。

【執筆・監修】

たじりひろこの写真

田尻 宏子 (たじり ひろこ)

証券会社営業、生命保険会社営業サポート、銀行コールセンター等複数の金融機関で勤務した後、2016年末からライターとして活動開始。現在は、主に投資・保険・不動産・ローンなどのジャンルを中心に金融系サイトで執筆中。

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