ガン保険は不要って本当?必要性や必要な人を解説!
掲載日:2020/03/23 更新日:2023/03/10
ガンにかかるリスクや必要な費用が分からず、ガン保険は必要なのかと迷う人は多いのではないでしょうか。
筆者は保険販売をしない独立系ファイナンシャルプランナーですが、多くの人にガン保険の加入をおすすめしています。その際「ガンは遺伝する病気で、身内にガンを患った人がいないから、ガン保険は必要ない」と言われることも。自分自身がガンにかかる姿は、なかなか想像できないものですし当然のことだと思います。
今回は、実際ガンにかかるリスクや、ガン治療にかかる費用について詳しく解説します。ガン保険加入をおすすめする理由や、逆にガン保険が必要ないケースもあわせて説明しますので、ガン保険の加入を迷っている人はぜひチェックしてみてください。
目次
1.2人に1人がガンにかかる時代!ガンのリスクとは?
*罹患率:推計患者数を人口10万対であらわした数受療率(人口10万対)=推計患者数/推計人口×100,000
出典:国立がん研究センター「がん情報サービス」 *罹患率:推計患者数を人口10万対であらわした数
受療率(人口10万対)=推計患者数/推計人口×100,000
出典:国立がん研究センター「がん情報サービス」 出典:国立がん研究センター「がん情報サービス」(2019年データに基づく)
生涯のうち2人に1人がガンにかかるという言葉は、耳にしたこともあるのではないでしょうか。国立がん研究センターによる「がん情報サービス」では、生涯のうちにガンにかかる確率は女性なら51.2%、男性なら65.5%となっています。つまり、約2人に1人が生涯でガンを経験するということです。
上の図を見てもわかる通り、男女ともに30代後半から徐々にガンになるリスクが高まることがわかります。また、男性はリタイア後の70歳あたりからガンになる確率が女性を大幅に上回り、女性は30歳から60歳までの間にガンになるリスクが男性より高いという特徴も。
なお、男性の場合は前立腺ガンが最も多く、次いで大腸ガン、胃ガンとなっています。女性の場合は乳ガンが最も多く、次いで大腸ガン、肺ガンが多いという結果に。以下の図では男女別でガンの罹患者の上位5位まで紹介しているのでチェックしてみてくださいね。
※国立がん研究センター「がん情報サービス」(2019年データに基づく)1-1.ガンで亡くなる人の割合は?
国立がん研究センターの「5年相対生存率」では、ガンと診断された人のうち5年後に生存している人の割合と、日本人全体*で5年後に生存している人の割合を比較し、どの程度低いかをデータで発表しています。
100%に近いほど治療で生命を救えるガン、0%に近いほど治療で生命を救うのが難しいガンであることを意味します。
以下の図から、ガンの部位別生存率を見ていきましょう。
参照:国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービス「5年相対生存率」2009年~2011年診断例図を見てわかる通り、男女ともにすい臓、胆のう・胆管、肝臓にできたガンは生存率が低いことがわかります。一方で、甲状腺や皮膚、前立腺や乳房にできたガンは生存率が比較的高く、治療によって改善しやすいといえるでしょう。
図を見ると「治療すれば治る」と安堵するかもしれませんが、これは5年で完治したというデータではないのです。ステージによっても変化しますが、一度ガンを患ってしまうと、再発・転移など長期的に治療をし続ける場合があることも念頭においておきましょう。
2.ガンになった場合にかかる費用は?
参照:公益社団法人全日本病院協会「医療の質の評価・公表等推進事業 2019年度 重症度別 年間集計」
ガンの罹患部位やステージなど、さまざまな要因で費用は異なりますが、どのガンでも入院1日あたりにかかる費用は平均6.5〜9万円といえます。
なお、この平均金額は健康保険などの公的医療保険制度が適用されたあとの金額です。つまり、実際に窓口で支払う治療費の平均額を表しています。
1回あたりの入院費用は直腸ガンが最も高く、およそ100万円かかります。ただし、ガンの進行度合いによって長期間治療をしなければならない場合は、さらに費用がかさむことも。入院日数が短いと費用も抑えられるため、費用面でも早期治療が大切です。
下表にガンの部位別の入院平均日数についても取り上げてみました。
参照:厚生労働省「平成29年(2017)患者調査の概況」医療技術などの発展によって従来に比べると平均入院日数は短くなっているものの、それでも相応の日数がかかることがわかります。
また、入院前や退院後の通院治療でも1回あたり平均6,000円程度の入院治療費が生じるといわれています。ガンで長期にわたる入院や通院治療が必要となった場合、かなりの費用が必要になるでしょう。
2-1.ガン保険で受取れる給付金は?
ここでは、治療のステップ別にガン保険で受取れる主な給付金についてご紹介します。
ガン診断
ガンと診断された場合に診断給付金が受取れます。ガン保険のタイプや契約内容によって異なるものの、診断給付金の金額は50万円、100万円、200万円あたりに設定されているケースがほとんど。使用用途が限定されていないため、治療以外でも収入が減った場合の生活費の補てんなどに充てることもできるので、治療に先立つお金として非常に有効です。
入院
ガンで入院した場合、入院日額と入院日数に応じて入院給付金が受取れます。入院日額は5,000~30,000円の間で設定できるのが一般的です。医療保険は60日型、120日型など入院日数を限定するものが多いなか、ガン保険の場合は入院日数が無制限となっていることも少なくありません。
通院
ガンで通院した場合、通院給付金が受取れます。ただし、保険会社によっては通院給付金がそもそも受取れないほか、入院を伴う通院のみを対象とするケースもあるので注意しましょう。
先進医療
ガンで先進医療を受けた場合に最高2,000万円まで技術料(実費)が受取れるタイプなどがあります。先進医療とは、公的医療保険(いわゆる健康保険)制度に基づく評価療養のうち、厚生労働大臣が「先進医療」と定めたものを指します。令和5年2月15日現在で86種類ありますが、この技術料は3割負担とならず全額自己負担となります。
抗ガン剤(ホルモン剤)治療
抗ガン剤治療を受けた月ごとに一定額の給付金が受取れます。前述の通り、ガンの状況によっては抗ガン剤治療を受ける期間が非常に長くなるケースもあります。ただし、保険会社によって給付の回数に制限がある場合がありますので、加入時には回数制限があるかをしっかり確認しましょう。
なお、注意点として、ガン保険には加入から90日間は保障が受けられない「待ち期間」がある場合があります。
つまりガン保険に加入していても、ガンが見つかったのが加入から90日以内の場合は、これらの給付金を受取ることができません。
※保障内容などについては、保険会社ごとに取扱い要件が異なりますので事前にご確認ください。
3.ガン保険は必要?
ガン保険が必要な理由として、以下の4点が挙げられます。それぞれについて詳しくみていきましょう。
3-1.まとまったお金を受取れる
先にも述べたように、ガンと診断された際に「診断給付金」と呼ばれる一時金を受取れます。一般的には100万円前後を受取れることが多く、使い道も自由です。そのため、治療費に充てることはもちろん、生活費をカバーすることもできます。
3-2.働けない期間の収入をカバーできる
ガン保険に加入することで働けない期間の収入をカバーできます。会社員であれば最長1年6ヶ月にわたって傷病手当金(給料の3分の2)を受取れますが、その期間が経過したあとは収入が保障されません。そのため、場合によっては家計が回らなくなってしまうこともあるでしょう。ガン保険から支払われた給付金があれば、それらをいくらか補うことができます。
3-3.治療が長期に及んだ場合の治療費を確保できる
以前に比べ、ガンで入院する期間は短くなっているものの、そのぶん通院によって治療を継続するケースが増えています。治療が長くなればなるほど当然治療費はかさむため、家計に与えるダメージは少なくありません。ガン保険に加入しておけば、入院給付金や手術給付金、抗ガン剤治療給付金などが支払われるため、治療が長期に及んだとしても安心できるでしょう。
3-4.ガンに特化した手厚い保障が受けられる
ガン保険では、ガンの保障に特化した手厚い保障が受けられます。とくに、通常の医療保険では入院給付金の支払い日数に上限が設けられているケースが多いのに対して、ガン保険では入院した日数分だけ無制限に入院給付金が支払われることも多いのが嬉しいポイント。また、放射線治療や抗ガン剤治療にも対応しているのが特徴といえるでしょう。
4.ガン保険が必要ないケースもある?
ガン保険が必要ないケースとして、以下のようなケースが考えられます。
・世帯収入や貯蓄が十分にあり、治療費について心配がない
・通常の医療保険にガンの特約を付加している
・ガン以外の保障を手厚くしたいと考えている
世帯収入や貯蓄が十分にある場合、ガン保険の必要性はそれほど高くないかもしれません。また、すでに通常の医療保険にガンの特約を付加している人や、ガン以外の保障を手厚くしたいと考えている人にとっても、急いでガン保険への加入を検討する必要はないかもしれません。
とはいえ、ガンの治療に高額の費用がかかることは間違いないため、自分のニーズと家計状況を照らし合わせて、必要な保障を備えられているか見直しや確認をすることは大切です。
5.まとめ
自分が将来ガンになるかどうかは誰にも予想できません。
しかし、罹患率だけみれば、およそ半数の人が人生で一度はガンにかかる可能性があり、発症した場合、長期にわたって治療を受けるケースが多いでしょう。長期入院で働けなくなってしまうと、収入は途絶え、治療費による支出ばかりが増えてしまうもの。公的医療保険からの給付はあるものの、高額なガンの治療費すべてをカバーすることはできないことを考えれば、あらかじめ保険で備えておくことが必要です。
ガンにかかると医師から「ガン保険に入っていますか?」と聞かれることがあります。そのときに「加入しておけばよかった」と後悔しても遅いのです。ガンにかかる高額な治療費をカバーできるほど潤沢な資金を自分で準備をするのか、月々一定の保険料で不安を解消するのか、どの選択肢をあなたは選びますか?
【執筆・監修】
高野 具子 (たかの ともこ)
40社の保険会社を扱う来店型保険相談ショップの元店長。
保険だけに留まらず、より広い視野で顧客へ金融アドバイスをするため長年勤めた保険ショップを退職。
「出会ったすべての人の懐を温め、心豊かにすること」をテーマに、将来の資金作りのプランナーとして現在活動中。
特に自身の経験に基いたコンサルティングは30代40代の女性に「話しやすく何でも相談でき安心できる」と定評あり。
ライター記事一覧 >
※著者に記載いただいた内容をもとに一部チューリッヒ生命で編集しています。
チューリッヒ生命カスタマーケアセンター
0120-680-777
月~土午前9時~午後6時 ※日曜・祝日は除く
保険に関するご質問・ご相談など
お気軽にお電話ください。
専門のオペレーターが丁寧にお応えします!