先進医療特約とは?必要性や費用などよくある疑問を解説

掲載日:2020/10/09   更新日:2024/07/10

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「医療保険に先進医療特約をつけた方がよいのか」と悩んでいる方は多いでしょう。先進医療を受けることになった場合は治療費が高額になることがあり、費用が確保できなければ、最良の治療が受けられなくなってしまう可能性があります。

この記事では、先進医療がどのような治療で、先進医療特約をつける必要性はあるのかを詳しく解説します。医療保険で先進医療を受けるときの注意点も解説するため、ぜひ参考にしてみてください。

医療保険に先進医療特約をつけるか検討する際、意識したいポイントは主に以下の3つです。

  • 先進医療は公的医療保険対象外で費用が高額になる傾向がある
  • 医療保険に先進医療特約をつけておけば治療の選択肢の幅が広がる
  • 複数の保険で先進医療特約をつけても、原則ひとつの保険からしか給付されない

1.先進医療とは

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先進医療とは、厚生労働省に届け出のある医療機関で受けることができる医療技術や治療法で、一定基準の有効性や安全性を満たしてはいますが、公的医療保険制度の対象にするかを評価している段階にある治療・手術のことです。そのため一般的な治療とは異なり、先進医療の技術料は公的医療保険制度の対象外となる特徴があります。2024年(令和6年)2月1日時点で78種類の先進医療技術があり、さまざまな病気の治療等に活用されています。

具体的には、診察や検査、薬、入院などの一般的な医療サービスは公的医療保険の適用となりますが、先進医療特有の技術料や薬剤などは公的医療保険が適用されません。そのため治療費の大部分が自己負担となり、治療全体の費用が高額になる傾向があります。

2.【カテゴリ別】先進医療の例

先進医療は大きく3つのカテゴリに分けられます。それぞれ詳しく解説していきます。

  • がんに関わる先進医療
  • 検査や診断に関わる先進医療
  • その他の医療技術に関わる先進医療

2-1.がんに関わる先進医療

がんに関わる先進医療のうち主なものは次のとおりです。

  • 陽子線治療:約270万円
  • 重粒子線治療:約300万円
  • 抗悪性腫瘍剤治療における薬剤耐性遺伝子検査:約4万円

参考:生命保険文化センター リスクに備えるための生活設計

がんに関わる先進医療は、技術料が高額になりやすいのは事実ですが、先進医療を用いて治療することにより身体に傷を付けずに適切な治療を受けられたり、抗がん剤の不必要な副作用を避けられたりするため、治療法によっては身体に負担をかけずに治療が受けられるものもあるのが特徴です。

2-2.検査や診断に関わる先進医療

検査や診断に関わる先進医療の一例は次のとおりです。

  • 多項目迅速ウイルスPCR法によるウイルス感染症の早期発見:約3万円
  • 細胞診検体を用いた遺伝子検査:約8万円
  • 子宮内膜受容能検査:約13万円

参考:生命保険文化センター リスクに備えるための生活設計

検査や診断に関わる先進医療は全額自己負担となるものの、効果の高さや特定の疾患に特化した治療を受けられることから、先進医療を選択する人は多くなってきています。

2-3.その他の医療技術に関わる先進医療

がんや検査、診断以外の先進医療の例は次のものがあります。

  • 人工内耳植込術:約11万円
  • 自家膵島移植術:約133万円

参考:厚生労働省 先進医療B評価用紙(第2号)
参考:厚生労働省 令和4年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について
参考:厚生労働省 先進医療の概要について

医療技術に関わる先進医療は、上記の例のように多様な種類が存在します。

3.医療保険に先進医療特約をつける必要性

「医療保険に加入するときに先進医療特約をつけた方がよいのか」と悩む方は多いでしょう。厚生労働省の報告によると先進医療を受けた総患者数は年々増加しており、直近3 年間での変動は次のとおりとなります。

先進医療の総患者数と先進医療費の推移のグラフ

出典:厚生労働省「令和4年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」

  • ・2020 年先進医療の総患者数:5,459 人
  • ・2021 年先進医療の総患者数:5,843 人
  • ・2022 年先進医療の総患者数:2 万6,556 人

統計から明らかなように、2022 年度は前年度、前々年度を大幅に上回る数字となりました。このように厚生労働省のデータからみても、多くの方が先進医療を選択し、治療を受けていることがわかります

次に、2021年7月~2022年6月までの期間でどのような先進医療にいくらの治療費がかかったのか見てみましょう。

技術名 先進医療総額 平均入院期間 年間実施件数 1件あたりの平均額(円)
陽子線治療 3,482,033,800円 14.9日 1,293件 2,692,988円
重粒子線治療 1,777,483,000円 5.3日 562件 3,162,781円
抗悪性腫瘍剤治療
における
薬剤耐性遺伝子検査
8,494,927円 44日 227件 37,422円

参考:厚生労働省 令和4年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について

高額な治療費がかかることから、資金面での準備が必要なのは間違いなさそうです。例えば、年間実施件数の多い陽子線治療の平均治療費が約269万円であることを考えても、この費用を全額自己負担することは大きな負担になると考えられます。

資金面での解決策としては、医療保険への加入が挙げられます。先進医療の費用を医療保険でカバーすることで、治療の選択肢を広げ、同時に治療費に対する不安も軽減されるため、医療保険に先進医療特約をつけることを選択する人は少なくありません。

3.先進医療特約付きの医療保険を選ぶポイント

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医療保険に先進医療特約をつけるときのポイントは以下の3点です。

  • 給付される額の上限
  • 先進医療一時金の有無
  • 給付金が受け取れるタイミング

それぞれ詳しく解説していきます。

3-1.給付される額の上限

医療保険の先進医療特約の給付の上限は、保険会社や商品によって異なります。以下は、通算の給付額の一例です。

【先進医療特約の給付額の上限の例】

  • ・通算2,000万円が支払限度額(技術料と同額)
  • ・通算500万円が支払限度額(技術料と同額)

このように各保険会社や商品によって支払限度額が異なるため、具体的な給付内容と、給付額の上限がどれくらいなのかを比較検討することが大切です。

3-2.先進医療一時金の有無

先進医療特約には、技術料と同額の保障が受けられる以外にも、一時金や支援金が受け取れるものもあります。例えば、次のような保障内容があります。

【先進医療特約の一時金や支援金の保障例】

  • ・通算2,000万円が支払限度額(技術料と同額)
    先進医療にかかる技術料相当額の20%の一時金
  • ・通算2,000万円が支払限度額(技術料と同額)
    先進医療にかかる技術料相当額の10%(50万円上限)の一時金
  • ・通算2,000万円が支払限度額(技術料と同額)
    支援給付金15万円

一時金があると先進医療以外にかかる費用に充てられるのがメリットです。先進医療の治療を受ける場合、指定の医療機関で受ける必要があるため、自身や家族の交通費がかかることがあります。そんな時に、一時金があることで治療以外にかかる費用にあてられるのが嬉しいポイントです。

3-3.給付金が受け取れるタイミング

先進医療特約の給付金がいつ受け取れるか、というのはとても重要です。もし給付金の受け取り時期が医療機関への支払い期限よりも後になってしまうと、一時的に全額を自己負担で支払う必要が出てくるかもしれません。このような事態を避けるためにも、給付金がいつ手元に入るのかを事前に確認しておく必要があります。

なお、保険会社によっては、先進医療の治療費を直接医療機関に支払うサービスを行っているところもあります。ただし、適用できる医療技術や医療機関に制約がある場合もあるため、こちらもしっかり確認しましょう。

4.先進医療特約を付加する際の注意点

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先進医療特約を付加する際の注意点は、次のとおりです。

  • 先進医療給付金を受け取るためには、所定の医療技術・病院等の条件がある
  • 将来は保障の対象外になる可能性がある
  • 先進医療特約は重複して加入できない

それぞれ詳しく解説します。

4-1.先進医療給付金を受け取るためには、所定の医療技術・病院等の条件がある

先進医療特約の保障を受けるためには、次の条件をすべて満たさなければなりません。

  • ・厚生労働大臣が定める先進医療技術であること
  • ・先進医療技術ごとに定められた適応症(対象となる疾病・病状など)に対するものであること
  • ・先進医療技術ごとに定められた施設基準に適合する医療機関で受けたものであること

例えば、認められた適応症であっても基準を満たしていない施設の場合には、先進医療として認められません。先進医療を受ける際は、厚生労働省の先進医療技術の一覧を確認し、該当する施設で治療を受ける必要があります。

4-2.将来は保障の対象外になる可能性がある

先進医療として定められている治療法は、将来的に保障の対象外となる可能性があります。

例えば、従来まではほとんどの陽子線治療が先進医療扱いだったため公的医療保険制度の対象外でしたが、現在は以下の病気に対しての陽子線治療については公的医療保険制度の対象となっています

  • ・前立腺がん
  • ・大型の肝細胞がん
  • ・肝内胆管がん
  • ・膵臓がん
  • ・大腸がん術後再発
  • ・骨軟部腫瘍
  • ・頭頚部がん
  • ・小児がん など

このように保険適用となった場合には、先進医療特約の利用ができなくなります。その分、新たな医療が先進医療として定められる可能性はありますが、先進医療の技術は常に増減していることは留意しておきましょう。

なお、先進医療特約の保障対象外となっても、公的医療保険の対象となれば医療費の自己負担は1~3割に軽減されるのと、治療費の一部の払い戻しが受けられる高額療養費制度などが利用できるため、どちらの場合でも費用面の負担は抑えられることになります。

4-3.先進医療特約は重複して加入できない

先進医療特約は医療保険やがん保険に付加できますが、1ヶ所の保険会社で先進医療特約に重複して加入するのは一般的に認められていません。

また、異なる保険会社の保険に先進医療特約をつける際の取り扱いに関しても、原則は重複して給付金を受け取れません。そのため、先進医療特約を付加する際は重複して加入しないよう、加入中の保険や加入予定の保険の保障内容を確認しておきましょう。

5.チューリッヒ生命の先進医療対応の医療保険

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チューリッヒ生命で先進医療特約を付加できる保険は以下のものがあります。

  • 終身医療保険プレミアムZ
  • 終身医療保険プレミアムZ Lady
  • 終身医療保険プレミアムZ ワイド
  • 終身ガン治療保険プレミアムZ

それぞれ先進医療特約を中心に詳しくみていきましょう。

5-1.終身医療保険プレミアムZ

先進医療の保障を中心に「終身医療保険プレミアムZ」の保障内容と年齢別の保険料の一例を紹介します。

項目 内容
保障範囲
  • 入院給付日額:5,000円(60日型)
  • 手術給付金:入院中5万円、外来2.5万円
  • 放射線治療給付金:5万円
  • 骨髄ドナー給付金:5万円
  • 保険期間・保険料払込期間:終身
月々の保険料
(2024年3月19日時点)
男性/35歳:1,134円/40歳:1,339円/
50歳:1,949円
女性/35歳:1,104円/40歳:1,224円/
50歳:1,644円
先進医療の保障
患者申出療養の保障
先進医療または患者申出療養にかかる
技術料と同額
(通算2,000万円を限度)
+先進医療・患者申出療養支援給付金
15万円限度

チューリッヒ生命の「終身医療保険プレミアムZ」は、病気やケガによる入院・手術を一生涯変わらない保険料で保障する医療保険です。また、患者が自ら未承認薬などの先進的な医療に関して申し出て、承認されることで受けられる「患者申出療養」と、医療機関が新たな医療技術を用いた「先進医療」の両方が給付金の対象となっているため、保障範囲が広いのも特徴です。 さらに、先進医療を受けた場合は技術料と同額の給付金が受け取れるだけでなく、療養1回につき最大15万円の給付金が受け取れるため、医療機関への交通費や宿泊費などに活用できます。

女性の方であれば、女性特有の病気やガンへの保障が手厚い「終身医療保険プレミアムZ Lady」も同様の先進医療の保障を付加することができますので、保障内容を比較して検討するとよいでしょう。

『終身医療保険プレミアムZ』はこちら >

『終身医療保険プレミアムZ Lady』はこちら >

他にも、保険の加入に際して自身の健康状態に不安を感じている方向けに、持病があっても加入しやすい医療保険「終身医療保険プレミアムZ ワイド」があります。「終身医療保険プレミアムZ ワイド」では基本的な告知項目が3つしかなく、質問がすべて「いいえ」となった場合に申し込みが可能のため、健康状態に不安がある方も加入しやすくなっています。

『終身医療保険プレミアムZワイド』はこちら >

5-2.終身ガン治療保険プレミアムZ

先進医療の保障を中心に、「終身ガン治療保険プレミアムZ」の保障内容と年齢別保険料の例を紹介します。

項目 内容
保障範囲
  • 抗がん剤治療給付金:
    1ヵ月につき10万円(基準給付月額)
  • 自由診療抗がん剤治療給付金:
    1ヵ月につき20万円
  • ガン手術給付金:10万円
  • ガン特定手術給付金:5万円
  • ガン放射線治療給付金:10万円
  • ガン通院給付金:5,000円
  • 悪性新生物保険料払込免除
  • 保険期間・保険料払込期間:終身
月々の保険料(2024年3月19日時点) 男性/30歳:1,090円/40歳:1,570円/
50歳:2,460円
女性/30歳:1,180円/40歳:1,535円/
50歳:1,910円
先進医療の保障
患者申出療養の保障
ガンで先進医療を受けたとき、
先進医療にかかる技術料と同額
(通算2,000万円を限度)
+ガン先進医療支援給付金20万円

チューリッヒ生命の「終身ガン治療保険プレミアムZ」は、ガンの3大治療とされる、抗がん剤治療、手術、放射線治療を中心に手厚い保障が一生涯準備できるガン保険です。 通院でも入院でも、抗がん剤治療を受けた月ごとに10万円が受け取れて、所定の自由診療抗がん剤治療を受けた場合には、治療を受けた月ごとに20万円が受け取れます。さらに、ガンで先進医療を受けた場合は技術料と同額の給付金が受け取れて、かつ療養1回につき20万円の給付金が受け取れます。交通費や宿泊費はもちろん、抗がん剤で髪の毛が抜けてしまったときのウィッグ代としても給付金を活用できます。

『終身ガン治療保険プレミアムZ』はこちら >

6.まとめ

先進医療は治療費が高額になることが多く、技術料や薬剤など全額自己負担となるのが一般的です。もしも最良の治療法が先進医療だった場合に、経済的な負担を理由に治療を諦めなくてはならないケースもあるかもしれません。治療の選択肢を広げるためにも、先進医療の保障を備えておくことは重要であるといえます。

チューリッヒ生命の保険の先進医療特約では、技術料と同額の保障に加えて、支援給付金などの一時金も受け取れるため、入院時の交通費や家族のお見舞い、宿泊費などの費用として活用することも可能です。

チューリッヒ生命のサイトでは、実際に医療保険に先進医療に関する特約を付加した場合に保険料がいくらかかるのかシミュレーションができるため、ぜひ活用してみてください。

※上記は一般的な内容です。保険の種類や呼称、保障内容等は商品によって異なりますので、実際にご加入いただく際は商品詳細をご確認のうえご契約ください。

【執筆・監修】

宮里恵の写真

宮里 恵 (みやざと めぐみ)

  • ファイナンシャルプランナー
  • M・Mプランニング 代表

保育士、営業事務の仕事を経て、ファイナンシャルプランナーに。独身、子育て世代から定年後の方までお金に関する相談を受けて、16年目になります。婦FPとして等身大の目線でのアドバイスが好評です。家計・保険・老後・相続などの個別相談を主に、マネーセミナー、お金の専門家として記事の監修、テレビ取材なども受けている。「人生100年時代の今、将来のための自助努力、今からできることを一緒に考えていきましょう。」

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チューリッヒ生命カスタマーケアセンター

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