医療保険の受取人は誰がなる?指定のルールから税金の違いまで詳しく解説

掲載日:2023/01/17

契約書を入力している写真

医療保険に加入するときは、申込み時に給付金の「受取人」を決める必要があります。この受取人は一体誰がなるのでしょうか。

この記事では、受取りの際に問題が起きないよう、医療保険における受取人の決め方や税金のかかり方について詳しく解説します。

この記事のポイント

  • 医療保険の受取人は「被保険者」
  • 被保険者は本人・配偶者・2親等以内の血族
  • 本人に代わり請求を行う「指定代理人」も定められる

1.医療保険の受取人になれるのは誰?

保険会社や保障プランによって異なりますが、最近の医療保険では、給付金の受取人は「被保険者」と決められているのが一般的です。
被保険者とは、病気やケガをしたときに保障を受けられる、保険をかけられている人のことを指します。

被保険者になれるのは、契約者本人・配偶者・2親等以内の血族(父・母・子ども・兄弟姉妹・祖父母・孫)。仲のよい友人やお世話になっている人を指定したくても、本人や近親者以外は被保険者にはなれないということになります。

受取人(被保険者)が病気やケガで入院等をした場合には、下記のような給付金を受取ることができます。

医療保険で受取れるお金の例

※会社によって給付金の名称や支払条件は異なります。また、会社やプランによっても受取れる給付金が異なります。

上図でご紹介した給付金について、どのようなときに受取れるお金かを簡単に確認しておきましょう。

給付金の受取り条件
入院給付金 入院したとき(支払限度日数あり)
手術給付金 手術を受けたとき
通院給付金 入院後に通院したとき
延長入院給付金 支払限度日数を超えて入院したとき
放射線治療給付金 放射線治療を受けたとき
先進医療給付金 先進医療を受けたとき

被保険者と受取人が同一であれば、加入している保険の内容を理解しているため給付金の請求をスムーズに行うことができます。しかし、受取人(被保険者)本人が意識不明など自身で給付金を請求することが難しい状況になる可能性もあります

このようなときのために、保険では本人に代わって請求を行える「指定代理請求人」を設定することができます。

指定代理請求人とは

契約書を渡している女性の写真

指定代理請求人とは、受取人が自分で請求できない事情がある場合に、本人に代わって保険会社に給付金の請求を行える人を指します。被保険者と受取人が同一となっている契約に限り、給付金が代理で請求できるようになります。

<ケース1>

病気や事故などで意識不明状態となり、給付金などを請求する意思表示ができない場合。

<ケース2>

当社が認める傷病名(ガンなど)の告知や余命6ヶ月以内であることの告知を家族のみが受け、被保険者(受取人)本人には知らせていない場合。

指定代理請求人を指定できるのは契約者のみで、指定するには被保険者の同意を得る必要があります。また、被保険者の同意があれば途中で指定代理請求人を変更することも可能です。

会社によって指定方法は異なり、主契約に「指定代理請求特約」を付加する会社と、契約時に指定代理請求人を指定する会社があります。

指定代理請求人として指定できる範囲は、被保険者の「戸籍上の配偶者」「直系血族」「兄弟姉妹」「被保険者と同居、または被保険者と生計を一にしている被保険者の3親等内の親族」とされていることが一般的です。

指定代理人の範囲

しかし、同居要件なしだったり、事実婚・同性パートナー・婚約者もOKだったりと、指定代理請求人になれる人の範囲や条件は保険会社によって異なるので、確認が必要です。わかりにくければ、各保険会社に問合せましょう。

2. 医療保険の受取人によって税金の種類は変わる?

医療保険の給付金は基本的に非課税のため、医療保険の給付金を受取ったときの確定申告は不要です。

しかし、医療費控除を受けたい場合には確定申告が必要になるので、忘れずに申告しましょう。

医療費控除とは?

1年間に支払った医療費(生計を一にする配偶者や親族の分も対象)が一定額を超えるときに受けられる所得控除のことです。

医療費控除の金額(最高200万円)=

医療費の合計-受取った医療保険の給付金や高額療養費など-10万円(※)

(※)所得が200万円未満の人は所得の5%の金額

会社員の場合は、医療費控除を受けることにより給与から天引きされた所得税の還付が受けられます。

ただし、以下のように受取人以外の人が受取ったお金や、身体の傷害に基因せず支払われたお金は、課税対象になります。

相続税の対象になる場合…受取人が給付金を受取る前に死亡し、遺族が代わりに受取ったとき

所得税の対象になる場合…契約者(=受取人)が健康お祝い金や解約返戻金を受取ったとき

また、死亡保険金の場合は、契約者・被保険者・受取人の関係によって課税区分が異なります。

死亡保険金の受取り時にかかる税金

「契約者=被保険者≠受取人」のときは相続税

契約者と被保険者が同一で受取人は別の人の場合、死亡保険金は遺産として扱われるため、相続税の課税対象となります。

死亡保険金にかかる相続税には非課税枠があり、「500万円×法定相続人の人数」の金額を受取った保険金から差し引くことができます。

※前出した「受取人が医療保険の給付金を受取る前に死亡し、遺族が代わりに受取った場合」には、非課税枠は適用されません。受取った金額全てが相続税の課税対象となります。

「契約者=受取人」のときは所得税

契約者と受取人が同一の場合は、一時所得扱いとなり所得税の課税対象となります。一時所得も控除があり、「死亡保険金-支払保険料-特別控除(50万円)」で計算します。

「契約者≠被保険者≠受取人」のときは贈与税

契約者も被保険者も受取人も全て別の人の場合は、契約者から受取人にお金が贈与されたとみなされ、贈与税の課税対象となります。

3. 医療保険の受取人を変更したいときは

給付金の受取人が被保険者に指定されている商品は受取人の変更はできませんが、受取人を自分で決められる保険では、被保険者の同意があれば変更可能です。

一般的に、受取人は以下の手順で変更することができます。

受取人変更手続きの流れ

受取人を変更する場合には、必ず各社所定の手続きが必要になります。

通常は書面での手続きとなりますが、なかには電話や契約者専用サイト上で変更手続きを完結できる保険会社もあります。手続き方法の詳細は、各保険会社のホームページなどで確認しておくと良いでしょう。

もし受取人が誰になっているかわからない場合は、下記のような方法で確認できます。

<受取人が誰かを確認する方法>

①保険証券

②契約者専用サイト

③保険会社から定期的に送付される通知  など

4.まとめ

医療保険の受取人を変更できるのは、受取人を自分で決められる商品の場合のみです。加入している保険や、これから加入する予定の保険がどのようなルールとなっているかは、「ご契約のしおり・約款」を確認するか、生命保険会社に問合せてみるとよいでしょう。

被保険者=受取人と決められている場合は、自分で給付金を請求できない状態になる恐れがあるため、指定代理請求人の設定をしておくことをおすすめします。

医療保険の給付金は基本的には非課税ですが、「誰が受取るか」や「どのような理由で支払われる給付金か」によって、税金がかかる場合があります。そして、死亡保険金の受取りでは、契約者・被保険者・受取人の関係によって課税区分が変わってしまいます。

税金のことまで考えた上で、受取人を決めることが大切です。

【執筆・監修】

さくま みどりの写真

佐久間 翠(さくま みどり)

ファイナンシャルプランナー/ライター。証券会社のオペレーターや生命保険会社でファイナンシャルアドバイザーを務める。その経験を活かして、2016年からフリーライターとしてマネー系記事を中心に執筆。

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