医療保険の通院保障とは?本当に必要なの?|医療保険ならチューリッヒ生命
掲載日:2021/01/27
医療保険に付加できる「通院保障」。契約するとき「本当に通院保障も必要なのかな?」と迷ってしまうかもしれません。どんなリスクをどれくらいカバーしてくれるのか、保険料を追加してでも付加したほうがいいものなのか、判断に役立つ「通院保障の基礎知識」について詳しく解説していきます。
目次
医療保険の通院保障とは?
まずは、医療保険の通院保障とはどのようなものなのか整理しておきましょう。
医療保険の通院保障の内容
医療保険は病気やケガのリスクに備えるための保険です。そのため、医療保険では入院や手術をカバーする保障が基本になっています。通院保障に関しては、基本保障に追加できる特約(オプション)として、付加するかどうかを選択できるという保険会社が多いです。
通院保障は、病気やケガで病院に通ったときに給付金が受取れるというものです。通院でお金が受取れると聞くと、「普段、風邪で病院に行ったときでもお金が受取れる」と思うかもしれませんが、そうではありません。
通院保障の通院は、「入院前の通院」や「退院後の通院」など一定の条件が付いているものが一般的です。条件は保険会社によって異なり、さらに通院保障の特約の名称にも微妙に差があります。例えば、表1のとおりです。


通院しただけでは保障されない
医療保険の通院保障は、基本的に「入院前」や「退院後」といった条件が付いていることからもわかるとおり、入院が必要な病気やケガがあることが前提になっています。
そのため、「今日はちょっと体調が悪いから、念のため病院で診てもらった」というようなケースでは、通院保障の対象にならないことがほとんどでしょう。ここで言う通院は、例えば大きな病気やケガになったあとの経過観察のような検査や投薬などが想定されています。
通院給付金の支払いのタイミング
通院の条件が保険会社によって異なるのと同様に、いつまで保障の対象になるのか、何日分まで対象になるのかも差がありますのでチェックしておきたいところです。(オプション)として、付加するかどうかを選択できるという保険会社が多いです。
例えば、上述の例のA社では、保障される範囲は図1のとおりです。


退院の翌日から120日以内なら、30日分の通院を限度に保障されます。全体としての限度日数は1,095日までと設定されています。通院の回数が多くなり「30日分」や「1,095日まで」といった限度日数を超えてしまうと、その後も通院していても給付金は受取れなくなります。
また、通院保障はどこの保険会社も同じではありません。複数の保険会社を比較してみると違いがわかりやすくなります。保険に加入している側としては、保障される期間が長い、受取れる金額が大きいなど、保障が手厚いほどいざというときに助かります。ただし、保障が手厚い分、支払う保険料が高くなりがちなので、バランスも考えて検討したいところです。
最近の医療は通院の重要性が増す傾向
近年、入院が短期化していることや、在宅医療が増えていることなど、医療環境が変化していることをご存じでしょうか。医療保険や通院保障の必要性を判断するため、最近の入院や通院の事情について知っておきましょう。
入院や外来の患者数
厚生労働省の調査によると、外来で診療を受ける人の数は長らく横ばいの状況が続いていますが、入院する人の数は2005年ごろから減少傾向にあります。




入院日数
入院日数の推移を見ると、近年特に顕著に短くなっていることがわかります。


平均の入院日数は29.3日ですが、さらに詳しく統計を見てみると、退院患者の約7割は14日以内に収まっています。
もちろん、傷病や重症度によっても大きく変わりますが、主な傷病の平均入院日数は表2の通りです。アルツハイマー病や統合失調症の場合は入院日数が長くなりやすいものの、胃ガンや心疾患は平均19日程度となっています。


入院日数が短くなっている背景
入院する人の数や入院日数が近年減ってきている理由としては、医療の進歩が挙げられます。
例えば、以前であれば身体にメスを入れて手術をして、傷がふさがるまで様子を見るために入院が必要だった患者さんでも、今は腹腔鏡やロボット手術など身体への負担が少ない状態で手術ができる方法が確立されてきています。
結果、切開が小さく済んだり出血が抑えられたりするため、術後の回復も早くなり、退院までの日数が短くなったというわけです。
ただそれに伴って、従来なら入院していた患者さんでも退院して在宅医療に移行したり、退院後に定期的に通院したりしながら治療を続けるケースも出てきています。


今後の動向
今後も入院日数は少なくなり、退院後の通院治療重視にシフトしていく傾向は続きそうです。こうした医療の変化は医療保険にも影響します。
例えば、かつてガンという病気は「死の病」のような扱いだったため、ガンの保障といえば「死亡」や「長期入院」が一般的でした。それが医療の進歩の結果、ガンになっても短期の入院だけですぐに仕事に復帰して、ときどき通院する程度で済む方も増えたため、今は「通院治療」に重きが置かれるように変わっています。
医療保険に通院保障は必要か?
医療保険に通院保障を付加しておくべきなのか迷ったら、以下の3点を踏まえて検討しましょう。
通院保障の内容
先述のとおり、どんな通院がいつまで何日間、いくら保障されるのかは保険会社によって異なります。重要なポイントですので必ず確認するようにしましょう。
保険料
いざというときにお金で困らないための保険なのに、その保険料の負担が大きいために家計を圧迫し、つらい思いをすることになっては本末転倒です。通院保障を付加することでどれくらいの保険料になるのか、それは自分の家計にとって支払ってもいいと思える金額なのか考えましょう。
通院にかかる費用
通院にかかる費用を知っておくことも、通院保障の必要性を判断するために重要です。厚生労働省によると、おもな疾病の入院外の医療費は表3のとおりです。


通院日数や医療費は、病状の重さなどによって変わってきますので平均値はあくまで一つの参考です。ただ、こうした金額、保障内容、保険料の3つのバランスを見れば、医療保険に通院保障を付加するべきかどうか判断しやすくなります。
ガン保険の通院保障とは?
医療保険の通院保障とは別に、ガン保険の通院保障もあります。「通院保障」という点では同じでも、保障の中身が大きく異なります。
通院をカバーできる保障が複数ある
ガンの通院治療をカバーできる保障は、大きく分けて次の4つがあります。
・ガン通院給付金
医療保険の通院保障に似ているが、それよりも保障が手厚いことが多い。
・ガン治療に関する給付金
抗がん剤、ホルモン剤、放射線など、該当する治療を受けたときに給付金が受取れる。入院を伴わない通院で受けた治療も対象になる。
・ガン退院療養給付金
ガンで入院後、退院したときにまとまったお金が受取れ、その後の通院治療などに利用できる。
・ガン診断一時金
ガンと診断されたときに受取れる「診断一時金」を通院費用に充てることも可能。
ガン保険の通院保障は、一般的に医療保険と違って入院前や退院後の通院でなくても保障の対象になることが多いです。保険会社や特約によって差があるので確認は必要ですが、ガンに特化している分、手厚い保障を受けやすい傾向があります。
ガン治療の通院も増えている
先述のとおり、入院の短期化と通院治療へのシフトは、ガン治療においても顕著です。




(出典:厚生労働省「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」)
ガンの通院患者数は年々増えていて、2008年の調査以降は入院患者の数を外来患者の数が上回るようになりました。
ガンの通院治療は、抗がん剤の使用などで1回あたりの医療費が高額になりやすいうえに、複数回にわたって病院に通うことになり、期間も長くかかる傾向があります。
ガン保険の通院保障は、高額になりやすい医療費の負担に備えることができ、入院しなくてもお金を受取ることができます。どちらかというと医療保険の通院保障よりも必要性が高いと言えるかもしれません。
ガン保険の通院保障についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
「ガン保険に通院保障は必要? | ガン保険ならチューリッヒ生命」
通院費用をまかなえるのは通院保障だけじゃない

通院にかかる費用を保険でカバーしたい=通院保障となりがちですが、その他にも方法はあります。
医療保険の入院一時金
医療保険の中には、入院したら通常の「1日あたりいくら」で計算される入院給付金とは別に、入院一時金としてまとまった金額を受取れる特約を付加できるものもあります。
入院一時金は主に差額ベッド代、パジャマ代、交通費など入院に伴う医療費以外の費用負担の軽減に使うことが想定されていますが、これを退院後の通院費用の補てんに充てる方もいます。
傷害保険
傷害保険は、ケガによる入院、手術、死亡などのリスクに備えられる保険です。傷害保険であれば、ケガが原因の通院の場合、入院を伴わなくても給付金を受取れるものがあります。ただし、傷害保険はあくまでケガの保障がメインのため、病気による通院は対象にならないケースが多いです。傷害保険のような内容を「ケガの特約」などとして医療保険に付加することができる保険会社もあります。
高額療養費制度
医療費の負担を抑えられるのは民間の保険だけではありません。社会保険も知っておきましょう。例えば医療費の自己負担が一定額以上になったら、超えた分は「高額療養費」として健康保険から払戻しが受けられます。
病気やケガで会社を休んだときでも給与の約3分の2が受取れる「傷病手当金」、医療費が一定額を超えるときに確定申告をすることで所得税が軽減される「医療費控除」などもあります。
通院費用、何でカバーする?
医療保険の通院保障、入院一時金、傷害保険のほか、もちろん社会保険でまかなえる部分もありますし、保険ではなく自分の貯蓄でまかなうという方法もあるでしょう。
どんなリスクをどこまで保険でカバーしたいのか、そのためにいくらまでなら保険料を支払ってもいいのかなど、その人の価値観によっても最適な方法は違い、唯一の正解があるわけではありません。
通院が必要になったときにかかる費用と保険料のバランスを見ながら、自分に合った備え方を考えてみましょう。
まとめ

医療保険の通院保障は、基本的に入院を伴う病気やケガによる通院が対象で「入院前」や「退院後」などの条件があります。保険会社によって保障される通院の条件、保障される日数、保険料などが異なりますので、しっかり確認して検討するようにしましょう。
※上記は一般的な内容です。保険の種類や呼称、保障内容等は商品によって異なりますので、実際にご加入いただく際は商品詳細をご確認のうえご契約ください。

馬場 愛梨 (ばば えり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
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