医療保険の相場はいくら?年齢や性別などのカテゴリー別に解説

掲載日:2021/08/06   更新日:2023/12/26

聴診器と書類のイメージ画像

本記事では、医療保険における保険料の相場を紹介します。世帯・年齢・性別ごとの相場も紹介しているので、自分の属性に近いものを参考に確認してみましょう。また、医療保険を選ぶポイントや注意点についても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

1.【世帯】生命保険(医療保険を含む)保険料の相場

以下は世帯別の年間払込保険料の相場を年度ごとに表したものです。医療保険以外の保険料も含んだデータになりますが、生命保険センターの調査(令和3年)によると、一番最近の調査結果から、一世帯が一年で払っている保険料が約37万円、月額で換算すると一月に平均3万円程度という計算になります。

年度 世帯年間払込保険料
令和3年(2021年) 約37万円
平成30年(2018年) 約38万円
平成27年(2015年) 約39万円
平成24年(2012年) 約42万円
平成21年(2009年) 約45万円

参照:生命保険文化センター「令和3年度 生命保険に関する全国実態調査」〈図表Ⅰ−50〉世帯年間払込保険料

こちらを見ると世帯別の年間払込保険料の相場は、年々減少傾向にあることがわかります。最近は、感染症の蔓延などにより病気や入院のリスクが高まっていましたが、その一方で、収入が減ってしまったことが保険料の減少に影響していると考えられます。

それでは、所得に差のある年代別で保険料について見てみると、どのような違いがあるのでしょうか。

2.【年齢】生命保険(医療保険を含む)保険料の相場

区分 年間払込保険料
男性 女性
20代 14.7万円 11.4万円
30代 23.5万円 15.1万円
40代 23.2万円 15.6万円
50代 29.3万円 20.6万円
60代 21.0万円 17.4万円

参考:公益財団法人生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」〈図表Ⅵ−7〉年間払込保険料(全生保)〔性・年齢別〕

上の表は、年間払込保険料を性・世代別に示したものです。医療保険のほかに生命保険などのデータも含んでいますが、この表を基に、年代別の保険料の相場と必要性について見ていきます。

30代は、転職や再就職といった働き方の変化だけではなく、結婚や出産などのライフイベントにより、生活スタイルが大きく変わる方も多い年代です。それぞれの変化に合わせて新たに保険に加入したり、20代の頃とは別の保険を選び直したりする傾向にあります。

40代以上になると、病気になるリスクも徐々に高まることで、加入率も比較的高い年代です。さらに、定期タイプの保険は10~20年で満期を迎えるものが多く、見直しのタイミングで保険料が割高になることも多いのがこの年代です。

全年代の中で最も高い保険料を支払っているのが50代です。病気へのリスクが高まることに加え、子育てが一段落するので、老後に向けた資産準備のために保険の見直しや新規加入が多くなる傾向があります。
50代をピークに、それ以降の年代では年間払込保険料の平均が下降傾向にあります。その理由の一つに、子どもの独立により手厚い死亡保障が不要になることが挙げられます。

3.【性別】生命保険(医療保険を含む)保険料の相場

生命保険文化センターが男女別に6つの金額帯(12万円未満、12~24万円未満、24~36万円未満、36~48万円未満、48~60万円未満、60万円以上)、および「わからない」に区分分けしておこなった調査結果を基に、医療保険を含む男女別の年間保険料について解説します。

医療保険を含む男女別の年間保険料(男女別)の平均円グラフ

参考:公益財団法人生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」〈図表Ⅵ−6〉 年間払込保険料(全生保)〔性別〕

2-1.男性は約23万円

男性が支払っている年間保険料の平均金額は、23.4万円であり、最も多い金額帯が12~24万円で、全体の28.3%を占めました。次いで、12万円未満が25.8%という結果となり、半数が年間保険料を24万円未満に留めていることがわかりました。

2-2.女性は約16万円

女性の年間保険料の平均金額は、16.8万円であり、12万円未満と答えた方は全体の40%を占めていました。次に多かった12~24万円未満の割合は、33.1%であり24万円未満と答えた方の割合は全体の7割以上を占める結果となりました。

男女別に年間保険料の相場を見てみると、男性の方が高いことがわかりました。この結果には、平均所得額が女性よりも男性の方が高いということも影響していると考えられますが、男女ともに健康上のリスクは十分に考えられるため、少額であっても早いうちから備えておいて損はないでしょう。

4.医療保険の入院給付金の相場

女性に相談する夫婦の様子

ここまでは医療保険を含む生命保険に加入した際の年間払込保険料について見てきましたが、もちろん支払うお金だけでなく受け取ることのできるお金もあります。どのくらいの金額が保障されているのか、その相場についても見ていきましょう。

4-1.入院給付金(日額)

入院給付金は、医療保険の基本的な保障の一つです。病気やケガで入院する際に保険会社から支払われ、入院費や入院期間中の収入減をカバーできます。次の表は、一日あたりの入院給付金の金額を年度・男女別で示したものです。

どの年も男性の方が少し高いですが、年度別、男女別で見ても、それほど際立った変動がないことがわかります。

年度 男性 女性
令和4年(2022年) 9,600円 8,100円
令和元年(2019年) 10,900円 9,100円
平成28年(2016年) 10,800円 9,200円
平成25年(2013年) 10,900円 9,000円
平成22年(2010年) 11,000円 9,200円

参考:公益財団法人生命保険文化センター「1日あたりの入院保障額はどれくらい?」疾病入院給付金の日額(※全生保)

上の表は、入院1日あたりの入院給付金(日額)の平均金額です。男女ともに約1万円前後となっており、入院給付金額に関しては大差ない結果となっています。

4-2.入院給付金(一時金)

入院給付金には日額タイプのほかに、入院日数に関わらず、決められた金額が支払われる一時金タイプもあります。一時金タイプは日帰り入院から対応可能なものも多く、入院日数に関わらず入院一時金を受け取れるのが魅力です。入院一時金を主契約としている場合、給付金額は10~30万円で設定できるものが多いようです。

医療技術の発達などにより、入院日数が短くなっている現在では、日額タイプのものより、一時金タイプを選択する方が多い傾向にあります。

5.医療保険を選ぶときのポイント

男性がボードの前で説明している様子

医療保険の相場から、年代や性別により、加入する保険の保障額が少しずつ異なっていることがわかりました。では、自分にあった医療保険を選択するためには、どのような点に注意すればよいでしょうか。ここからは、医療保険を選ぶ際のポイントについて解説します。

5-1.保険期間と保険料払込期間

保険期間(保険が有効である期間)には、定期タイプと終身タイプの2種類があります

定期タイプは、月々の保険料が割安な傾向がありますが、一定期間経過後(満了)となると保障が切れてしまい、さらに満期後に更新すると、年齢が上がっているために一般的に保険料が高くなってしまうデメリットがあります。

終身タイプは保障が一生続き、解約した際は返戻金が受け取れるのがメリットですが、定期タイプに比べると保険料が割高なのがデメリットです。

また、終身タイプの保険では、保険料の払込期間が選べるという特徴があります。60歳までに払い終えるといったように一定の年齢までに支払い終えるものと、一生涯の払い続けるものがあります。

それぞれメリット・デメリットがあるため、自分に合うものを選ぶようにしましょう。定期タイプ・終身タイプについて詳しく知りたい人は、以下のコラム もチェックしてみてください。

関連記事|定期タイプと終身タイプ、医療保険ではどちらを選ぶ?

5-2.入院給付金のタイプ

入院給付金は、入院1日につき1万円といったように日額を設定するもの、または一時金を設定するものがあります。日額は5,000円から1万円で設定される方が多い傾向があります。二人部屋や個室を希望した際に発生する差額ベッド代も心配であれば1万円程度は欲しいところです。

最近では、日額タイプに特約で入院一時金をつける形が主流です。例えば、1泊2日の入院で手術もなければ、日額1万円のタイプに加入していても、2万円しか受け取れません。入院一時金を5万円つけておくと、日額の2万円に一時金が追加されるので、7万円の給付金が受け取れます。

5-3.1入院における、日額や支払限度日数を決める

医療保険では、1入院あたりの入院日数ごとに支払われる金額が決められています。日額タイプの入院給付金が支払われる保険では、支払対象となる入院日数に上限があり、60日か120日を選択するものが一般的です。

最近の入院日数は短くなっている傾向にありますが、病気の回復状態によっては入院が長期化することもあるので、そこも加味して選ぶようにしましょう。

また、入院給付金のほかに手術給付金等もありますが、受取には条件が定められているため、必ず給付金の受け取り条件を確認しましょう。

関連記事|手術給付金ってどんな保障?

5-3.必要な特約をつける

医療保険は、メインの契約にさまざまな特約を組み合わせることで、さらに手厚い保障内容を受けられるようになります。特約の一例を挙げると、女性疾病特約、通院特約、先進医療特約、特定疾病一時金特約、がん診断特約など、その種類は実にさまざまで数も豊富です。

しかし、特約を追加すればするほど、保険料も増額されていくため、本当に必要な保障であるかどうかをしっかり検討する必要があります。なかには、がんなどの遺伝性の高い病気に関する特約について、家族にがん罹患者が多いかどうかなどを判断材料にする若い世代の方もいます。

契約の途中で特約を追加できない場合もあるので、加入の際には先々を考慮して検討するようにしましょう。

6.医療保険の保険料を抑えるには

デスクでパソコン、電卓で試算をする手元の様子

保険期間や入院日数により、保険料が変わることがわかりました。では、保険料をなるべく安く抑えるには、どのような方法があるのでしょうか。

6-1.控除を申請する

医療保険の保険料は生命保険料控除の対象となるため、申請すると住民税や所得税の負担が軽減されます。生命保険料控除とは、年間保険料の一定額を所得から控除できる制度のことを指し、課税対象となる所得額を減らせるために節税できるというしくみです。

6-2.保障内容を見直す

保障内容が充実すればするほど保険料は一般的に高くなるため、保険料を抑えるためには、保障内容の見直しが必須。特に医療保険の保障内容を見直す際は、特約の保障内容と、医療保険以外の保険の保障が重複していないか確認してみましょう。

自身の資産状況に保険料が合っているかどうかを確認することも重要です。すでに保険に加入した後であれば、現在の資産状況と保険料をもう一度照らし合わせてチェックしてみましょう。

関連記事|医療保険の加入・見直しのタイミングっていつ?

7.医療保険を検討する際に理解しておくべきこと

女性からタブレットを見ながら説明を聞く夫婦の様子

医療保険は、契約する際の年齢やプランに応じて、保険料に差が出ます。ここからは、医療保険を実際に検討する際に理解しておくべきことについても見ていきましょう。

7-1.実際にかかる医療費について

厚生労働省が発表しているデータによると、令和2年の人口一人当たりの医療費は約34万円です。自己負担額の割合は年齢や所得によって異なりますが、実際にかかる医療費はこのくらいの額であることを理解した上で医療保険を検討することが大切です。

参考:令和2(2020)年度 国民医療費の概況‐厚生労働省

7-2.医療保険には掛け捨て型と貯蓄(積み立て)型がある

医療保険には、掛け捨て型と貯蓄(積み立て)型があります。「貯蓄型」の場合、解約したときに受け取れる「解約払戻金」や、満期を迎えたときに受け取れる「満期保険金」など、病気やケガになったとき以外に受け取れるお金があります。

掛け捨て型の場合、一般に解約した場合でも、満期を迎えた場合でもお金が返ってくることはありません。病気やケガで入院や手術をしたときだけ給付金を受け取れるシンプルな保険になっています。また、医療保険では掛け捨て型が主流です。

8.まとめ:医療保険の相場を知って適切な保険に加入しよう

この記事では、払込保険料の平均額や保険加入の際のポイントなどを通して医療保険について見てきました。やはり、年代別で見ると、健康上のリスクが高まる40~50代の方が最も高い保険料を支払っていることがわかりましたが、年代ごとに医療保険に対するニーズは異なるため、それぞれの年代に適した保障内容やプランを検討することが大切です。

ただし、ライフステージの変化にともない、その都度保障内容を見直すことはきわめて重要です。保険料や特約を現在の状況と照らし合わせて確認することで、家計の見直しにもつなげられます。

もし、医療保険の加入を検討している、あるいはすでに加入している方で「保険料の負担が大きい」「今の保障内容では合っていないかも」と思ったら、ぜひ現在の契約内容や加入状況を見直すことをおすすめします。

※上記は一般的な内容です。保険の種類や呼称、保障内容等は商品によって異なりますので、実際にご加入いただく際は商品詳細をご確認のうえご契約ください。

【執筆・監修】

宮里 恵の写真

宮里 恵 (みやざと めぐみ)

  • ファイナンシャルプランナー
  • M・Mプランニング 代表

保育士、営業事務の仕事を経て、ファイナンシャルプランナーに。
独身、子育て世代から定年後の方までお金に関する相談を受けて、16年目になります。主婦FPとして等身大の目線でのアドバイスが好評です。家計・保険・老後・相続などの個別相談を主に、マネーセミナー、お金の専門家として記事の監修、テレビ取材なども受けている。「人生100年時代の今、将来のための自助努力、今からできることを一緒に考えていきましょう。」

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