日帰り入院は医療保険の対象?通院との違いも解説
掲載日:2021/02/03 更新日:2023/01/18
現在は「日帰り入院」から保障される医療保険が主流になっていますが、そもそも「日帰り入院」とはどのような入院なのかご存知でしょうか。日帰り入院と通院の違いを判断するポイントや給付金請求時の注意点などについて解説します。
1.日帰り入院とは?通院との違い
保険会社の基準では、一般的に次の2つの条件を満たした入院のことを「日帰り入院」としています。
・受診した医療機関により「入院基本料」等が算定されている
・入院日と退院日が同一である
これら2つの条件を満たしていない場合、基本的に「通院(外来)」での治療・検査となります。
1-1.入院基本料が算定されているかは領収書で確認できる
入院基本料とは、公的医療保険制度における診療報酬の項目のひとつで、病院が患者に提供する入院医療サービスへの基本的な対価のことをいいます。入院基本料を支払った場合は、病院から発行される領収書の入院料等の項目に点数が記載されるため、記載の有無で入院医療が行われたのかを確認できます。
入院基本料は、医師が入院の必要性を認めて病室に入院させ、入院医療が行われた場合に算定できることになっており、単に覚醒や休養等を目的する入院(滞在)では算定されません。
1-2.日帰り入院になるのは入院当日の24時までに退院した場合
入院日数は0時を基準に数えます。例えば23時に入院し、翌日の朝に退院した場合は0時をまたいでの入院となるため、入院日と退院日が異なり、入院日数は2日と数えます。
日帰り入院に該当するのは入院日と退院日が同一、つまり入院当日の24時までに退院した場合に限られるのです。
2.日帰り入院であるか判断に迷ったら医師や保険会社に確認
入院した当日中に退院し、医療費の領収書の入院基本料の項目に点数が記載されていれば、日帰り入院に該当する可能性は高いといえます。判断に迷う場合は自身で判断せず、担当の医師や生命保険会社に確認しましょう。
2-1.担当の医師に確認する
入院に該当するためには、入院の必要性を医師が認めて入院させた場合に限られています。そのため、入院かどうかは担当の医師に確認するのが最も確実な方法です。
窓口での支払いの際は領収書の記載内容をすぐに確認しましょう。診察時に医師から入院と聞いていたのに入院料等の欄に記載がないなど、内容に相違があれば医師に確認してなるべくその場で解決しておくことが大切です。
2-2.保険会社に支払対象の入院か確認する
保険会社や加入している商品によって、給付金の支払対象となる基準が異なる場合もあります。給付金請求をする前に保険会社や代理店の担当者、コールセンターなどに入院したことや治療内容などを伝え、支払対象となるのかを確認しておきましょう。
3.日帰り手術は日帰り入院に該当するのか?
日帰り手術は「外来での手術」となる場合と「入院での手術」となる場合のいずれの可能性もあります。「入院での手術」となるのは医師が入院を必要と判断した場合です。医師に直接確認するほか、医療費の請求書や領収書などの「入院料等」の欄に記載があるかどうかで判断できます。
麻酔からの覚醒や休養などのため病室やベッドを使用したのみで、入院医療が伴わないケースでは入院料等は発生せず外来での手術となる可能性が高いです。
3-1.入院の有無で手術給付金の給付額が変わることも
日帰りの手術でも、日帰りの入院を伴う手術なのか、外来での手術なのかによって、受取れる手術給付金の金額が変わることがあります。入院中と外来で手術が区分される医療保険の場合、一般的に外来手術の手術給付金は入院中の手術よりも少なくなります。
3-2.日帰り手術となることの多い手術
日帰りで行われることの多い手術としては、次のような手術があります。
日帰りで行われることの多い手術(例)
・ 鼠径(そけい)ヘルニア根治術
・ 下肢静脈瘤
・ 痔核根治術
・ 眼科手術
・ 胆石などに対する腹腔鏡手術
・ 食道静脈瘤の内視鏡手術
・ 内視鏡的ポリープ切除術
・ 体外衝撃波腎尿管結石破砕術(尿管結石)など
腹腔鏡や胸腔鏡、内視鏡などを使った、いわゆる「低侵襲手術」は開腹や開胸を伴う手術に比べて傷が小さく体への負担が少ないのが特徴です。入院期間も大幅に短縮され、日帰り手術で済むケースも増えています。
4.日帰り入院から保障してくれる保険か?医療保険を選ぶときのポイント
現在販売されている医療保険は日帰り入院にも対応した、入院1日目から入院給付金を受取れる商品が主流になっていますが、少し前の医療保険だと一定の日数以下の入院では入院給付金が支払われない場合があります。
「入院2日目から保障」「5日以上継続入院した場合、5日目から保障」「20日以上継続入院した場合、1日目から保障」など、入院日数に条件がある医療保険では日帰り入院は保障されません。医療保険に加入している人は、入院何日目からの保障となっているか確認しておきましょう。
日帰り入院を含む短期の入院には貯蓄で備えるのもひとつの考え方であり、保障内容を理解して加入しているのであれば、日帰り入院が保障されない医療保険でも問題ありません。やはり短期の入院も保障される保険がいいと考えるのであれば、日帰り入院も短期の入院も保障してくれる保険を検討すると良いでしょう。
最近では入院日数に関係なく、入院すればまとまった一時金が受取れるタイプの医療保険もあります。入院日数に応じて入院給付金が受取れる保険の場合、日帰り入院では1日分の給付金しか受取れず、請求の手間や診断書を取得する費用を考えると割に合わないケースもありますが、このようなタイプの医療保険であれば、日帰り入院でも短期の入院でもまとまった給付金を受取ることができます。入院前後の治療や検査にかかる費用にも備えられるため、短期入院の保障を手厚くしたい人におすすめです。
5.日帰り入院の請求手続きの注意点
日帰り入院で給付金を請求するには、自身で手続きをする必要があります。手術の有無によって手続きに必要な書類や手続きが変わるため、あらかじめ確認しておきましょう。
5-1.日帰り入院のみ(手術なし)の請求手続き
手術を伴わない日帰り入院の場合は入院給付金のみ請求します。請求手続きは保険会社や代理店の担当者、またはコールセンターに連絡をし、指示に従って請求に必要な書類を提出して行います。連絡する前に保険証券を用意して治療内容や発病日(受傷日)、入院日(退院日)を正確に答えられるようにしておくとスムーズです。
入院のみであれば診断書や証明書は必要なく、病院が発行した領収書や診療明細書、退院証明書などのコピーなどで請求できる場合もあります。診断書や証明書を発行してもらうには通常5,000円程度かかってしまうため、診断書を発行する前に保険会社に確認しておくと良いでしょう。
診断書や証明書の提出が必要な場合は、医師に保険会社所定の書式で記入してもらいます。複数の保険会社の医療保険に加入している場合、所定の診断書の原本を提出しなければならない保険会社と、他社所定の診断書のコピーで代用できる保険会社があるため、コピーで代用できるなら代用し、取得する診断書の枚数はなるべく減らしたいところです。
5-2.手術をしているときの請求手続き
手術を伴う入院の場合、入院給付金と手術給付金をあわせて請求します。請求手続きは基本的に入院のみの場合と同様ですので、連絡する前には正式な手術名を確認しておきましょう。また、給付金の請求手続きに診断書が必要かどうか、必要な場合は保険会社所定の診断書が必要なのか、病院の書式のもので良いのか保険会社に確認しましょう。
5-3.給付金の請求期限は一般的に3年
給付金の請求期限は一般的に入院や手術など支払事由が発生したときから3年以内となっており、請求期限を過ぎると給付を受けられない可能性があります。しかし、3年を過ぎたからといって請求ができないわけではないので、まずは保険会社へ相談しましょう。
6.まとめ
日帰り入院に該当するかは、入院日と退院日が同じであり、領収書の入院基本料等欄に点数の記載があるかどうかで概ね判断できますが、入院給付金の支払対象であるかを判断するのは保険会社です。支払対象となる可能性が少しでもあるなら、まずは自身で判断せずに保険会社へ問い合わせるようにしましょう。
※上記は一般的な内容です。保険の種類や呼称、保障内容等は商品によって異なりますので、実際にご加入いただく際は商品詳細をご確認のうえご契約ください。
【執筆・監修】
竹国 弘城(たけくに ひろき)
- 1級FP技能士
- CFP®
証券会社、生損保総合代理店での勤務を経てファイナンシャルプランナー(FP)として独立。相談者の利益を第一に考え、自分のお金の問題に自分自身で対処できるようになるためのコンサルティングや執筆活動などを行う。
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