生命保険(死亡保険)と医療保険の違いとは?加入に最適なタイミングも紹介
掲載日:2022/12/13 更新日:2024/08/21
生命保険(死亡保険)と医療保険、2つの保険は各生命保険会社から様々な商品が出ています。しかし、どのような違いがあるのかわからない、今の自分が優先すべきはどちらだろう、と悩んでしまうこともあるでしょう。
この記事では、これから初めて保険に加入しようとしている方に向けて、生命保険(死亡保険)と医療保険の違いや特徴をご説明します。加入タイミングや加入前の注意点も解説しますので、生命保険(死亡保険)と医療保険の違いを理解し、自分に合う保障を考える手助けにしてください。
- 保障の対象となる内容が異なる
- 給付金の受取人が異なる
目次
1.生命保険(死亡保険)と医療保険の2つの違い
生命保険とは、広義では死亡・病気・ケガなど生命に関するリスクに備える保険のこと。ただし、狭義で、死亡したときのリスクに備える保険、すなわち死亡保険のことを指すケースもあります。
今回は、狭義での生命保険(死亡保険)と医療保険の違いについて解説します。
1-1.給付金(保険金)が受け取れる条件
生命保険とは、被保険者(保険の対象者)が死亡および高度障害状態になったときに保険金を受取れる保険です。
高度障害状態とは?
2つの保険は給付金(保険金)が受け取れる条件、つまり、保障内容に違いがあります。
保険の種類 | 被保険者の状況 |
---|---|
生命保険(死亡保険) | 死亡または高度障害状態になった場合 |
医療保険 | 病気・ケガで入院や手術を行った場合 |
被保険者とは、保険の対象となる人のことです。生命保険(死亡保険)では、被保険者が死亡または病気やケガで所定の高度障害状態になったとき 保険金が支払われるのが、大きな特徴といえます。
医療保険は、被保険者が病気やケガで入院や手術をしたときに給付金が支払われます。人によっては、給付金が支払われる条件を満たすできごとが、生涯で何度も起きる可能性もあります。
1-2.給付金(保険金)の受取人
生命保険(死亡保険)と医療保険では、給付金の受取人が異なります。
保険の種類 | 給付金の受取人 |
---|---|
生命保険(死亡保険) |
|
医療保険 |
|
※上記は一般的な内容であり、受取人条件は保険会社・商品によって異なります。
生命保険(死亡保険)は、被保険者の同意を得て契約者が契約時に指定した人が受取人になります。とはいえ、誰でも指定できるわけではありません。被保険者の配偶者(妻や夫)のほか、2親等以内の血族を対象とできる保険が一般的です。
2親等以内の血族 とは、戸籍上で被保険者と次の間柄にある人を指します。
● 父母
● 祖父母
● 子ども
● 孫
● 兄弟姉妹
保険にもよりますが、複数人を指定することも可能です。
また、各保険会社が定める条件を満たした 場合に、被保険者の希望する第三者を受取人に指定できます。ただし、血族や配偶者と異なり、保険会社からすると被保険者との関係性を把握しにくく、指定には厳しい条件が設けられることがほとんどです。
医療保険は被保険者が病気やケガで入院・治療を受けた際に支払われるため、受取人は被保険者と定めている保険が一般的です。保険によっては二親等以内の血族も対象となるため、商品ごとの条件を確認しましょう。
2.生命保険(死亡保険)の基礎知識
ここでは、被保険者が死亡または高度障害状態になった場合に給付金(保険金)を受け取れる生命保険(死亡保険)の特徴や種類、メリット・デメリットについて解説します。
2-1.生命保険(死亡保険)の特徴
生命保険(死亡保険)は被保険者が亡くなった、あるいは、高度障害状態になった場合にまとまった額の給付金(保険金)を受け取れる保険です。遺された家族が経済的に困らないように支える役割があります。
高度障害状態とは、被保険者自身が病気やケガにより、今まで通りの生活が送れなくなった状態を指します。どのような状態が該当するかは保険会社や商品によって異なるため、契約時に保険約款の確認が必要です。
2-2.生命保険(死亡保険)の種類
契約後の保障期間や保険料の変動といった違いにより、生命保険(死亡保険)は主に次の3種類に分けられます。特徴と一緒に表でみていきましょう。
定期保険 (無解約払戻金型の場合) |
終身保険 | 養老保険 | |
---|---|---|---|
保険期間 | 契約内容による | 一生涯 | 契約内容による |
保険料 | 更新時に変更の可能性あり | 契約時から一定 | 契約時から一定 |
解約払戻金 | 基本的にはなし | あり | あり |
満期金 | 基本的にはなし | なし | あり |
生命保険(死亡保険)には 、保険期間が満了になっても受け取れる満期保険金はなく、また途中で解約しても受け取れる解約払戻金はない「掛け捨て型」と、一定期間後や満期時、または中途解約時に解約払戻金が受け取れる「貯蓄型」があります。
定期保険は掛け捨て型で、途中で解約しても解約払戻金がありませんが、比較的割安な保険料で保障を得られます。ただし、更新時には年齢の上昇に伴い保険料が上がる可能性がある点に注意が必要です。
一方で終身保険や養老保険は貯蓄型に分類されます。養老保険は、契約が満了を迎えると満期保険金が支払われますが、途中で解約する場合にも解約払戻金が戻ります。終身保険には満期保険金がありませんが、中途解約した場合には解約払戻金が支払われる仕組みです。 これらの貯蓄型保険は不測の事態に備えるだけでなく、将来的に資産としての価値をもつため、保障を得ながら貯蓄もしたい人におすすめです。
2-3.生命保険(死亡保険)のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
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生命保険(死亡保険)のメリットとデメリットをそれぞれ挙げました。詳しく解説します。
生命保険(死亡保険)のメリット
生命保険(死亡保険)は、万一に備えたお金の確保に役立ちます。保険内容や加入時の年齢にもよりますが、保険料の支払い総額以上の保険金を設定することも可能です。自分に何か不測の事態が起きても、家族や親族にまとまったお金を残せることにメリットを感じる人は多いのではないでしょうか。
給付金(保険金)を配偶者や子が受け取る場合は、相続税の対象になりますが、生命保険(死亡保険)に関しては、「500万円×法定相続人の数」までは非課税というのもメリットです。
また、生命保険の保険料のうち最高12万円を所得から控除する生命保険料控除という制度により、被保険者が存命の間の節税にも役立ちます。
参考:No.1140 生命保険料控除|国税庁参考:No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金|国税庁
生命保険(死亡保険)のデメリット
定期保険は、保障期間が決まっており、保険料は掛け捨てとなります。そのため「生命保険で将来の資産形成をしたい」と考えている人にとってはデメリットといえるでしょう。ただし割安な保険料で大きな保障に加入したいと思う人は定期保険がおすすめです。
貯蓄性のある終身保険は、加入後の経済の状況がインフレになった場合、資産価値が目減りすることが考えられます。インフレとは物価が上昇し、お金の価値が下がる状態です。契約時に定められた返戻率は、物価が上昇しても調整は行われないため、支払われる金額の価値が減少し、保障額が不足する可能性があるでしょう。
しかし終身保険には、投資の成果により保険金額や解約払戻金が変わる変額終身保険や、保険料支払いから保険金の受け取りまでを外貨ベースで行い、インフレの影響を軽減できる外貨建て終身保険などがあります。これらの保険商品は、経済状況の変化に柔軟に対応できますが、投資リスクや為替リスクがあるため、保険を検討する際は十分に理解することが大切です。
ほかにも貯蓄性の高い保険は保険料が高いという面も持ち合わせています。将来のことに備えたとしても、今の家計を圧迫してしまっては本末転倒になり兼ねず、加入時には無理なく支払い続けられる保険料か、ということも十分考慮してください。
3.医療保険の基礎知識
医療保険には、大きく分けると民間の医療保険と公的医療保険の2つがあります。医療保険の基礎知識を確認していきましょう。
3-1.医療保険の特徴
民間医療保険は、病気やケガなどで治療を目的に入院・手術をした際に、公的医療保険ではカバーできない出費を支えてくれる保険です。です。任意加入のため、必要に応じて加入できます。
前提として、日本の医療保険制度は「国民皆保険制度」です。これは、職業や年齢などで加入する保険は異なりますが、いずれも原則として所得に応じた保険料を納めることで、病院など窓口で支払う医療費が一部負担で済む制度です。
しかし、公的医療保険でまかなえるのは、保険適用の医療費のみです。民間の医療保険があれば、治療費以外の経済的負担を軽くでき、安定した生活を送りやすくなります。
参考:我が国の医療保険について|厚生労働省3-2.医療保険の種類
がん保険 | 定期タイプ・ 終身タイプの医療保険 |
女性医療保険 | 就業不能保険 所得補償保険 |
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---|---|---|---|---|
保障対象 | 悪性新生物 上皮内新生物 (一部例外あり) |
病気・ケガ | 病気・ケガ 乳房、子宮、卵巣などの悪性新生物や上皮内新生物 乳房や女性性器疾患 妊娠や分娩に関わる合併症など |
病気やケガによって働けなくなったとき |
主な保障内容 | 診断給付金 入院給付金 手術給付金 通院給付金 |
入院給付金 手術給付金 |
入院給付金 手術給付金 女性入院給付金 |
就業不能給付金 |
その他の保障内容 | 治療給付金 がん先進医療給付金など |
通院給付金 先進医療給付金 女性疾病給付金など |
通院給付金 先進医療給付金 特定疾病一時金 出産祝金など |
高度障害給付金など |
免責期間 | 一般的には90日間 | 一般的にはなし | 契約内容により制限あり | 契約内容による |
通算入院支払限度日数 | 一般的には無制限 | 契約内容により制限あり | 契約内容により制限あり | 契約内容による |
がん保険と就業 不能保険・所得補償保険、女性医療保険について、保障内容を簡単に説明します。
がん保険は、胃がん・乳がんなど幅広いがんが対象です。一般的には、がんで入院・手術した場合や、がんと診断を受けたときの3つのタイミングで給付金が支払われます。
所得補償保険は、より短期間な収入減少をカバーするための保険で、就業不能保険は仕事復帰が難しく今後の就業が困難な場合を想定した保険です。どちらも収入減に備えるための保険といえます。
女性医療保険は、女性特有の病気に対し手厚い保障が受けられる医療保険です。子宮筋腫や子宮がんのほか、出産時の帝王切開なども保障の対象となり、女性特有の病気で入院した際には、入院給付金に保障が上乗せされる保険が主流となってきています。
3-3.医療保険のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
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医療保険のメリットとデメリットをそれぞれ挙げました。詳しく見ていきましょう。
医療保険のメリット
医療保険のメリットは、病気やケガによる入院・手術の際の経済的な負担を軽減できることです。保険の内容や特約にもよりますが、例えば先進医療は公的医療保険の対象外ですが、民間の医療保険ではこれをカバーできるものもあります。
また、女性向けやがんに特化したものなど、保険の内容もさまざまです。例えば「保険料がお手頃なものを選ぶ」や「保険料は高いけど一生涯保障が受けられるがん保険を選ぶ」など、ライフステージに合わせたさまざまな選択ができます。
そのほか、2012年1月1日以降に契約した医療保険に支払った保険料は、介護医療保険料控除に使用できることも覚えておきましょう 。
医療保険のデメリット
医療保険のデメリットは、加入する際に健康状態の確認やこれまでの病歴、職業などの告知を求められることが多く、持病があるなど、健康面に不安がある場合は希望通りの医療保険に加入できない可能性があること。告知を不要とする医療保険(引受基準緩和型・無選択型)もありますが、保険料が割高になるので注意が必要です。
また、保険に加入すれば月々の保険料の支払が発生するのが一般的ですが、無理な金額設定をしたり、収入状況が変わったりすると、支払そのものが経済的な負担になってしまう場合もあります。
4.生命保険(死亡保険)・医療保険の加入・見直しのタイミング
多くの人が加入する生命保険(死亡保険)と医療保険ですが、加入や見直しのタイミングは人によってさまざまです。どのようなタイミングがおすすめなのか、解説していきます。
4-1.生命保険(死亡保険)の加入・見直しのタイミング
ライフイベントが発生したことをきっかけに、保険の加入を検討する人は少なくありません。具体的には、次のタイミングが挙げられます。
● 結婚したとき
● 子どもが生まれたとき
● 子どもが就職したとき
● 定年退職したとき
結婚したとき
結婚したとき、夫婦どちらか一方の収入に頼っている場合は、生命保険(死亡保険)へ加入することで不測の事態が起きた際に備えやすくなるため、死亡保障額を手厚くした生命保険(死亡保険)がおすすめです。
子どもが生まれたとき
また、子どもが生まれた際に生命保険(死亡保険)へ加入することで、妻か夫どちらかに万一のことがあったとしても養育費や教育費が確保できます。
子どもが就職するタイミングでは、すでに加入している生命保険(死亡保険)があれば、今後も継続すべきか検討しましょう。代わりに、病気やケガで働けなくなるリスクを考え、医療保険やがん保険に加入したりするなど、自分のニーズに合わせた内容を検討するとよいでしょう。
そして、定年退職時が生命保険(死亡保険)の加入タイミングとしておすすめなのは、保障が切れる保険が出てくるからです。高齢になると介護や病気のリスクも高まるため、改めて生命保険(死亡保険)の内容を見直しましょう。
4-2.医療保険の加入・見直しのタイミング
医療保険には、公的医療保険の制度を活かしつつ、民間の医療保険でカバーするという前提があります。そのポイントを踏まえ、加入を検討するとよいタイミングは次の3つです。
● 乳幼児医療費助成制度が終了したとき
● 結婚や子どもが生まれた、退職したなどライフイベントが起きたとき
● 40代以降など病気のリスクが高まったとき
結婚や子どもが生まれた、退職したなどライフイベントが起きたとき
結婚した場合は、夫婦個別に医療保険があると、万一のことがあっても家計費を節約せずに生活しやすくなります。特に、子どもが産まれるタイミング、住宅を購入するタイミングなど、支出が増える可能性がある場合は、万一の病気やケガのリスクに備えて医療保険の加入を検討するのがおすすめです。
また、妊娠を予定する女性は、帝王切開や切迫早産など異常分娩の保障が受けられる商品を選んでおくと安心です。妊娠中は医療保険へ加入しづらくなることも多いので、妊娠を計画している人ははやめに加入しておくとよいでしょう。
40代以降など病気のリスクが高まったとき
病気のリスクが高まる40代以降も、加入のタイミングの1つといえます。医療保険では過去の病歴や今の健康状態の告知が求められ、健康状態に不安がある場合は加入できない・保障の一部が受けられない可能性が生じるため、病気のリスクが高まる前に加入を検討してみましょう 。
5.生命保険(死亡保険)・医療保険に加入する際の注意点
保険への加入前後の注意点を2つ、理由とともに解説します。
5-1.保険の満期と満了は別物
生命保険(死亡保険)や医療保険をみていくと、満期と満了というよく似た言葉に触れる機会がありますが、意味は全く異なるため、条件を確認する際は注意しましょう。
満期とは「保険の契約が終了」したタイミング、満了は「保険料の支払いが終了」するタイミングを示す言葉です。同じ意味の言葉として受け取ってしまうと、思わぬ間違いにつながる可能性もあるため、注意しましょう。
5-2.保険料控除には申請が必須
医療保険も生命保険(死亡保険)も、生命保険料控除の制度を活用することで所得税や住民税の控除が受けられます。ただし控除を受けるには、確定申告や年末調整での申告が必要です。
制度を使うには会社員の場合は年末調整にて、保険会社から送付されてきた保険料控除証明書の内容を元に情報の記載が必要です。個人事業主は、個別に書類を作り、確定申告にて申請をおこないます。
5年間までさかのぼって控除を受けられますが、期限内に申請できるよう用意を進めておきましょう。詳しくは以下のコラムで解説しているので、チェックしてみましょう。
関連記事|医療費控除や生命保険料控除って何?控除金額の計算方法や手続きについて解説
6.まとめ
生命保険(死亡保険)と医療保険は、給付金(保険金)が受け取れる条件や給付金の受取人が異なります。保険の目的も、生命保険(死亡保険)は「死亡時のリスクに備える」ものであり、医療保険は「病気やケガで入院した際のリスクに備える」ものです。
どちらも不測の事態に備えるための保険ですが、選び方や加入タイミングによっては、保険料の高さなどデメリットが起きることもあります。
保険の持つメリットを活かすためにも、保険への理解を深めつつ、自分に合う保険かどうかライフステージの変化に合わせ検討を進めていきましょう。
※上記は一般的な内容です。保険の種類や呼称、保障内容等は商品によって異なりますので、実際にご加入いただく際は商品詳細をご確認の上ご契約ください。
【執筆・監修】
鳥居佳織 (とりい かおり)
大手生命保険会社にて8年間勤務。保険コンサルティングでは個人、法人、問わず生命保険や損害保険を幅広く販売。金融ジャンルの専業ライターとして活動中。金融全般に関するさまざまな相談に応じてきた経験があり、実体験ベースでの執筆が得意。保険、年金、資産運用など幅広く執筆している。
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