死亡保険金はいくら必要なのか?決めるときのポイントを解説

掲載日:2021/09/07   更新日:2024/07/24

天秤の上にお金と家が乗っているセピア色のイメージ図

「死亡保険金はいくら必要なのか」と想像してみても、なかなか明確な答えが出せないという人は多いでしょう。死亡保険金額は家族構成や資産状況などによって異なりますが、自身と生活環境が近い方の平均額を参考にすることで、目安を知ることができます。本記事では、死亡保険金額の平均額や死亡時に実際にかかる資金などをわかりやすく解説しているため、記事の終わりにはあなたに必要な保険金額がわかってくるはずです。それぞれ詳しく解説するため、ぜひ参考にしてみてください。

この記事のポイント

  • 死亡保険金の平均額を知ることで、保険金額設定時の目安になる
  • 死亡時や死亡後に必要になる費用から、準備すべき必要保障額がわかる
  • 死亡保険金を設定する時のポイントや注意点がわかる

1.死亡保険金平均額

書類とペンのイメージの画像

死亡保険金の金額は、年齢や性別、家族構成などによって異なります。また、実際の必要保障額は資産状況を考慮して決定する必要があるため、まず自身の生活環境が近い方の平均額を参考に、死亡保険金額を決める目安を理解することが大切です。 死亡保険金額の平均額をそれぞれ詳しく解説します。

1-1.世帯主の年齢別

年齢別の世帯主の死亡保険金平均額は、次のとおりです。

年齢別の世帯主の死亡保険金平均額
年齢 死亡保険金額の平均
全年齢平均額 2,027万円
29歳以下 1,754万円
30~34歳 2,516万円
35~39歳 2,525万円
40~44歳 2,714万円
45~49歳 2,980万円
50~54歳 2,296万円
55~59歳 2,312万円
60~64歳 2,033万円
65~69歳 1,478万円
70~74歳 1,460万円
75~79歳 1,058万円
80~84歳 876万円
85~89歳 1,104万円
90歳以上 684万円

参考:生命保険文化センター2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査

死亡保険の平均金額は30代から40代にかけてピークを迎えていることから、子育て世代が万一のことがあった場合に備えて、遺された家族の生活費や養育費を確保していることを示しています。またピークを越えたあと、死亡保険金額が徐々に減少していく背景には、子どもの独立や収入の減少、貯蓄額の増加などがおもな要因と考えられるでしょう。

1-2.家族構成別

家族構成別の死亡保険の平均額は、次のとおりです。

家族構成別の死亡保険の平均額
世帯タイプ 世帯主平均加入死亡保険金額
夫婦のみ(40歳未満) 1,282万円
夫婦のみ(40~59歳) 1,326万円
末子乳児 1,945万円
末子保育園児・幼稚園児 1,961万円
末子小・中学生 2,093万円
末子高校・短大・大学生 1,709万円
末子就学終了 1,112万円
高齢夫婦有職(60歳以上) 873万円
高齢夫婦無職(60歳以上) 577万円

参考:生命保険文化センター2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査

夫婦のみ世帯では、年齢にかかわらず死亡保険の平均額はおおよそ1,300万円となっていることがわかります。一方で、子どもがいる世帯では死亡保険金額が徐々に増加していき、末子小・中学校時にピークに達します。このことから、子どもがいる世帯は、最も教育費がかかる期間に備えて、死亡保険金をより高額に設定しているといえます。

1-3.男女別

男女別の死亡保険金の平均額は、次のとおりです。

男女別の死亡保険金の平均額
男性 女性
全体 1,373万円 647万円
20歳代 1,001万円 751万円
30歳代 2,065万円 768万円
40歳代 1,883万円 807万円
50歳代 1,629万円 737万円
60歳代 1,071万円 507万円
70歳代 582万円 395万円

参考:生命保険文化センターリスクに備えるための生活設計

男女別でみた死亡保険金額の平均は、男性で1,373万円、女性で647万円です。男性の場合、30代が最も高い金額となる2,065万円になっています。一方で、女性は40代が最も高額となり、死亡保険の平均額は807万円です。

また、男女別の加入保険平均金額の分布を見ると、男性では500万〜1,000万円未満の層が最も多く、全体の16.0%を占めています。それに次ぐのは200万〜500万円未満の層で、全体の15.8%です。女性の場合、全体の半数以上が1,000万円以下の死亡保険金を準備しており、中でも約4人に1人が200万〜500万円未満に加入しているのが実状です。

このように、加入している死亡保険平均額は男性の方が高額な傾向があります。男性に万一のことがあった場合には、生活に大きな影響が出ると懸念している方が多いということかもしれません。

2.死亡したときに必要になるお金

墓石の上に白いバラを乗せているイメージ画像

実際に死亡時にはどのような費用がかかるのか、細かいところまで明確に分かる人は少ないかもしれません。死亡したときに必要となる費用の例は、次のとおりです。

  • 葬儀にかかる費用
  • 遺族の生活費
  • 子どもの教育費用

それぞれの平均額を詳しくみていきましょう。

2-1.葬儀にかかる費用

葬儀費用の平均額は、次のとおりです。

葬儀費用の平均額(2022年)
項目 平均額
総額 291万円8,000円
基本料金(斎場料、火葬場料、祭壇、棺、遺影、搬送費など) 67万円8,000円
飲食接待費(通夜、告別式での飲食費) 20万円1,000円
返礼品費用(返礼品、香典返し) 22万円8,000円
お布施(読経料、戒名料、心づけ) 22万円4,000円
墓地代 158万円7,000円

参考:第5回お葬式に関する全国調査2022年 葬儀の平均価格推移
参考:第13回お墓の消費者全国実態調査2022年 一般墓の平均購入価格

葬儀費用の総額の平均は291万8,000円となりますが、に受け取る香典も考慮する必要があります。
受け取る香典の平均は47万2,000円となっており、実質的な葬儀費用は総額から香典を差し引いた244万6,000円となります。2020年以降、感染症や葬儀形式の多様化によって葬儀代の平均金額が下がっているものの総額は約240万円と高額になるため、生前にまとまった資金を準備しておく必要があるといえるでしょう。

2-2.遺族の生活費

家計を支える世帯主が亡くなった場合、世帯収入が大幅に減少してしまうため、遺された遺族が経済的に困窮する可能性が出てくる家庭もあります。総務省統計局「家計調査報告」によると2022年の2人以上世帯の月平均支出額は29万865円で、物価の上昇が続いていることから、2年連続で支出額は増加しています。支出は各世帯によって異なるため、自身の生活費や資産の状況を正確に把握することが大切です。遺された家族が経済的困難に直面しないように、十分な死亡保険金を準備できるのが理想ともいえます。

参考:総務省統計局家計調査報告

2-3.子どもの教育費用

子どもがいる世帯の場合は、万一のとき教育費の負担が大きいという懸念があります。

すべて公立の学校に通わせると仮定した場合の教育費の目安は、幼稚園から高校までだと約157万円かかるとされています。また、大学費用は国公立か私立、学部などによって異なりますが約240万~2,300万円とされています。

このように、教育費は高額となるため、準備ができていないことで子どもは将来の進学を諦めることになるかもしれません。教育費は子どもの年齢に応じて、この先必要となる費用を死亡保険金で準備しておくと安心です。

参考:文部科学省令和「3年度子どもの学習調査の結果を公表します」
参考:文部科学省国公私立大学の授業料等の推移

3.死亡保険金を決めるときのポイント

積み木とコインが積みあがっているイメージ画像

死亡保険金は「期間」と「金額」がポイントとなります。次の世帯別の「期間」と「金額」を軸にして、詳しくみていきましょう。

独身世帯

夫婦のみ世帯

子どもがいる世帯

「自分で死亡保険金額を決めるのは難しい」と思う方はチューリッヒ生命の保険診断を活用してみましょう。チューリッヒ生命なら希望の保障内容に合わせてオンラインですぐにシミュレーションができます。月々の保険料も算出できるため、ぜひ活用してみてください。

3-1.「期間」と「金額」の軸で考える

死亡保険金を決めるときには、ライフステージ別に期間を決め、その期間中に必要となる金額を定めることが大切です。例えば、子どもが成人する前に自身に万一のことがあった場合の、子どもの将来の教育費や生活費を確保できなくなるリスクを避けるために、大きな死亡保険金が必要と考える方は多いでしょう。

しかし、子どもが独立したあとは教育費の必要がなくなるため、今までと同じ死亡保険金は不要になると考えられます。このように「期間」と「金額」を考慮し、その時に必要な死亡保険金額を明確にして見直していくことが大切です。

また、自身が亡くなったときに受け取れる遺族年金や、中高齢寡婦加算などの公的保障を理解し、足りない分を死亡保険でカバーすることで、無駄のない死亡保障を備えることができます。

3-2.独身の場合

独身の方の場合は、家族への仕送りなどをしていなければ、最低限葬儀費用と遺品整理費用を賄える死亡保険金を準備しておくと安心です。葬儀費用の平均額は約240万円となるため、250万円程度が目安となります。

また遺品整理費用は自宅の広さによって異なりますが、約3万~60万円が相場です。そのため、葬儀費用と合わせて300万円程度準備しておくとよいでしょう。ただし両親と同居していて自身が生計をたてている場合には、遺された両親の生活費も考慮して死亡保険金額を決めたほうがよいという場合もあります。

3-2.妻と夫だけの場合

夫婦のみの世帯の場合には、葬儀費用のほかに配偶者の生活資金の準備が必要です。共働き夫婦で自身の収入だけで生活できるのであれば不要なケースもありますが、配偶者が専業主婦(主夫)の場合には、当分の生活資金に備えられるくらいの死亡保険金が必要になります。

夫が厚生年金被保険者であった場合、妻は子どもの有無に関係なく遺族厚生年金が受け取れるため、死亡保険金を決める際は遺族厚生年金の金額を確認しておきましょう。 なお、子どものいない30歳未満の妻であれば、5年間の有期年金の対象になります。

3-2.子どもがいる場合

夫婦2人と子どもがいる世帯の場合、配偶者が葬儀費用・生活費・子供の教育費を1人で負担することになり、最も経済的リスクが高いケースといえます。今は共働き夫婦であっても、1人で家事・育児をするとなると時短勤務や保育所の延長が必要になり、収入の減少や支出の増加が発生する可能性があります。

このように万一のときには、生前に想定していなかった支出や、収入の減少が発生する可能性があるため、死亡保険金を決めるときには、万一のときの生活や受けられる制度定して金額を決めるようにしましょう。

4.死亡保険金に関する注意点

リスクを取り除くイメージ画像

死亡保険金に関する注意点は次のとおりです。

  • ライフステージごとの見直しが必要
  • 請求には期限が定められている
  • 税金が課せられる場合がある
  • 加入できる年齢に制限がある

それぞれ詳しく解説します。

4-1.ライフステージごとの見直しが必要

ライフステージとは人生の各段階や状態を指す言葉です。例えば成人してからは、次のようなライフステージが考えられます。

・転職

・結婚

・妊娠

・出産

・子どもの独立

・定年

・老後

死亡保険金は年齢や経済状況、家族構成、キャリアの進行状況などによって必要保障額が変動します。例えば、子どもが小さいうちは、将来の教育費に備えて大きな死亡保障が必要になりますが、子どもの独立後は教育費の必要はなくなるため、必要な死亡保障は減少します。

このように、ライフステージによって必要な死亡保保障額が変動するため、ライフステージの変化に合わせた保険の見直しが必要になります。チューリッヒ生命のWebサイトでは、それぞれに合わせたおすすめプランを紹介しています。保険金額や保険期間の具体例も確認できるため、ぜひ参考にしてみてください。

チューリッヒ生命の死亡保険『定期保険プラチナ』>>

以下では保険の見直し方について詳しく解説しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。

関連コラム|生命保険を見直すタイミングはいつ?メリットから注意点まで詳しく解説

4-2.請求には期限が定められている

保険金や給付金の請求には期限が定められており、請求権は3年で消滅してしまいます。死亡保険金であれば、保険の対象となっている方が亡くなった場合に、保険会社に対して保険金の支払い請求権が発生します。

請求権には保険法第95条によって3年の時効があると定められているため、注意が必要です。消滅してしまわないように、自身が加入している保険内容を家族に知らせておくことや、万一のときに遺族が保険に加入していることがわかるようにしておくと安心です。

なお3年を経過した場合でも、保険会社によっては申し出ることで請求に応じてもらえる可能性もあります。

4-3.税金が課せられる場合がある

死亡保険金の受け取りは「所得税」「相続税」「贈与税」のいずれかが課せられる場合があります。死亡保険金の受け取りは「所得税」「相続税」「贈与税」のいずれかが課せられる場合があります。

所得税(契約者と受取人が同一で、被保険者が異なる場合)

所得税が課せられるケースは、契約者と受取人が同一で、被保険者が異なるときです。

死亡保険金を一時金で受け取った場合には一時所得、年金として受け取った場合には雑所得が課せられます。課税の計算式は、次のとおりです。

  • 契約者

    A

  • 被保険者

    B

  • 死亡保険金受取人

    A

課税所得 計算式
一時所得 (死亡保険金額+配当金-払込保険料の総額
-特別控除)×1/2
雑所得 その年中に受け取った年金額-受取金に対応する払込保険料

課税される死亡保険金は、ほかの所得と合算され、所得控除を差し引いたあと、所得税率を乗じて計算されます。

参考:国税庁No.1750死亡保険金を受け取ったとき
参考:国税庁No.2260所得税の税率

相続税(契約者と被保険者が同一の場合)

相続税が課せられるケースは、次契約者と被保険者が同一となるとき。です。相続税には次の基礎控除額があり、非課税限度額が設けられています。

  • 契約者

    A

  • 被保険者

    A

  • 死亡保険金受取人

    B

税目 計算式
相続税 3,000万円+(法的相続人の数×600万円)
雑所得 その年中に受け取った年金額-受取金に対応する払込保険料

ほかにも死亡保険金の相続税対象額に関しては、「500万円×法定相続人の数」が非課税となります。

例えば契約者と被保険者が夫、受取人が妻、相続人が妻と子ども2人の3人のケースでみてみましょう。なお、ほかの相続財産はないものとします。

  • 受け取る死亡保険金額:3000万円
  • 相続税基礎控除:3000万円×3人×600万円=4800万円
  • 死亡保険金非課税限度額:500万円×3人=1500万円
  • 非課税額合計:4800万円+1500万円=6300万円
  • 課税額:3000万円-6300万円=0

このように非課税額が死亡保険金額を上回るため、相続税はかかりません。反対に死亡保険金額が非課税額を上回った場合には、課税対象となります。

参考:国税庁No.4155相続税の税率
参考:国税庁No.4114相続税の課税対象になる死亡保険金

贈与税(契約者、被保険者、受取人がすべて異なる場合)

贈与税が課せられるケースは、契約者、被保険者、受取人がすべて異なるときです。贈与税の課税所得の計算式は、次のとおりです。

  • 契約者

    A

  • 被保険者

    B

  • 死亡保険金受取人

    C

税目 計算式
贈与税 死亡保険金額-110万円(基礎控除)

贈与税の基礎控除は、1年間で受け取った贈与の総額から差し引かれるものです。死亡保険金以外にも贈与を受けている場合、その金額も加えて計算しなければなりません。贈与税の計算式で求めた課税価格に対して、10%〜55%の範囲の税率が適用され、最終的な税額が算出されます。

日本では金額が大きくなるほど税率も高くなるという累進課税制度が採用されているため、計算を容易にするためには速算表を利用してみてください。

4-3.加入できる年齢に制限がある

死亡保険は85歳を加入上限としている保険会社が一般的です。ただし90歳を上限とする保険商品も存在するため、加入希望の保険商品がある場合は、希望商品を取り扱っている保険会社に確認するようにしましょう。

5.自分の状況に合った死亡保険金を設定しよう

死亡保険金額は年齢や家族構成などによって異なりますが、年代別・家族構成別の平均額を知ることで、自身に必要な保障額の目安がつかめたのではないでしょうか。死亡保険金額の設定には、ほかにも資産状況や経済状況を考慮する必要があります。

例えば貯蓄が十分にある方は、大きな死亡保障を用意する必要がないかもしれません。また、毎月の保険料が家計を圧迫している場合には、保障額を小さくするなど保険の見直しが必要かもしれません。このように1人ひとりが異なる環境で生活しているため、死亡保険金額はそれぞれの状況に合った額に設定する必要があります。

チューリッヒ生命のWebサイトでは、それぞれのニーズに対応したおすすめの保険プランや具体的な保障金額、保険期間の例を提供しています。
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※上記は一般的な内容です。保険の種類や呼称、保障内容等は商品によって異なりますので、実際にご加入いただく際は商品詳細をご確認のうえご契約ください。

【執筆・監修】

みやざと めぐみの写真

宮里 恵(みやざと めぐみ)

  • ファイナンシャルプランナー
  • M・Mプランニング 代表

保育士、営業事務の仕事を経て、ファイナンシャルプランナーに。独身、子育て世代から定年後の方までお金に関する相談を受けて、16年目になります。婦FPとして等身大の目線でのアドバイスが好評です。家計・保険・老後・相続などの個別相談を主に、マネーセミナー、お金の専門家として記事の監修、テレビ取材なども受けている。「人生100年時代の今、将来のための自助努力、今からできることを一緒に考えていきましょう。」

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