生命保険の告知義務違反とは|必要な告知内容から違反時の対応まで解説

掲載日:2022/02/03   更新日:2024/01/31

保険の相談をしている夫婦

生命保険に加入する際には、既往症などの「告知」を行います。この告知内容に誤りがあった場合、「不慮の事故で本人が亡くなったのに、保険金が支払われない!」などの困った事態になる可能性も。

ここでは、生命保険に必要な告知内容から、万一違反してしまったときの対応まで、詳しく解説します。

なお、本記事での「生命保険」は、病気、ケガ、介護、死亡など、人生のリスクに備える、広い意味での生命保険のことを指します。

この記事のポイント

  • 告知義務とは、加入時に健康状態などを申告する義務のこと
  • 告知義務違反とは、この申告で事実を伝えないこと
  • 違反をしてしまった場合は、すぐに保険会社に連絡を

1. 生命保険の告知義務違反とは?

1-1.生命保険の告知義務違反とは

そもそも「告知義務」とは、生命保険に申し込むときに、保険に加入する「被保険者」の現在や過去の健康状態などについてありのままを申告する義務のことをいいます。

そして生命保険の「告知義務違反」とは、この告知義務に対して、現在や過去の健康状態・傷病歴などについて事実を伝えない、もしくは事実ではないことを告知することです。

告知義務違反と認定された場合、保険金が支払われなかったり、保険契約が解除されたりする可能性があります。 つまり、それまで支払ってきた保険料がすべて無駄になるだけでなく、将来受けられるはずだった保障もなくなってしまうのです。

1-2.生命保険の告知はどのような内容?

疑問がある人

生命保険の告知にはどのような項目があるのでしょうか?告知事項は加入する保険や引受ける保険会社によって異なりますが、一般的な告知内容は以下の通りです。

生命保険の告知内容

・直近の健康状態

・過去一定期間内の健康状態

・がんの罹患歴

・直近の健康診断の結果

・身体の障害

・妊娠の有無(女性のみ)

・勤務先名、業種、仕事内容

主には過去、そして現在の健康状態に関して多く聞かれます。特にがんや大病を患った経験のある方は、告知事項にまず該当するでしょう。また妊娠・出産経験のある女性も告知が必要な可能性があります。

勤務先名や業務・仕事内容も申込書に記載しますが、これはとび職など危険度の高い職業に就いているかによって、保険会社の判断が変わる可能性があるからです。

告知事項に該当した場合、保険に加入できなかったり、保障内容が制限されたりする可能性があります。

1-3.告知が必要になるタイミング

では、こうした告知が必要になるタイミングを見てみましょう。

告知するタイミング

・保険に新規加入するとき

・今加入している保険に特約をつけるとき

・今加入している保険を増額するとき

・加入中の保険を他の保険に転換するとき

・失効した保険を復活させるとき

上記のように、保険契約の内容が変わったり、新たな保障内容を追加したりするときに、告知が必要になります。

また告知方法は、告知書に記入するだけのものと、健康診断書や人間ドックの結果、もしくは医師の診査結果の提出が求められるものがあります。

口頭で保険会社や保険代理店の担当者に告知内容を伝えても告知にはなりません。初めて保険に加入するときや保険を見直す際に、気をつけておきましょう。

2.保険加入時に告知義務がある理由

そもそもなぜ告知義務があるのでしょうか?それには保険ならではの「相互扶助」が関わっています。

生命保険は、その加入者が少しずつ保険料を負担して、万一のことがあった方を支えるような仕組みになっています。これが「相互扶助」です。

保険会社はこの仕組みを成り立たせるために、保険や保障内容に見合った保険料を計算して、サービスを成り立たせています。

相互扶助の仕組み

もしもすでに重い病にかかっている方や、この先、健康リスクが大きな方も、健康な方と同条件で保険に加入できてしまったら、加入者間で不公平が生まれてしまいます。また多額の保険料を徴収しないと保険が成り立たなくなってしまうでしょう。

そのため保険会社は告知制度を作り、保険の制度が無理なく、公平に運営できるようにしているのです。

3.告知義務違反をしてしまったときの対応

告知義務違反をしてしまったときは?

告知義務を違反する気が無くても、「過去に通院していたことをすっかり忘れて、告知漏れしてしまった」「あとで記入しようと思って、告知の記入を飛ばしたまま提出してしまった」など、うっかりしたミスをすることもあるでしょう。しかしそのまま放置しておくと、万一の際に保険金が支払われなくなる可能性があります。

もし告知忘れや告知漏れに気づいた場合、その時点ですぐに保険会社に連絡し、追加の告知を行いましょう。

しかし、現在まで治癒が困難であったり、死亡する危険が高い疾患にかかっていたり、あるいは現在かかっている方は、重大な告知義務違反と見なされて、保険金が支払われないことがあります。

どちらにせよ、まずは保険加入時に正確に告知することを大前提として、万一、記入漏れなどのミスに気がついたら早急に保険会社に連絡して修正することを徹底することが大切です。

4.告知が多くても生命保険に加入できる?

書類に記名する女性

では、告知が多い方でも保険に加入する方法はあるのでしょうか?現在は多種多様な保険が用意されていますので、既往歴のある方でも保険に加入できる可能性が十分にあります。

よくあるのは、健康状態や持病に合わせて「特別条件」をつけて保険に加入できるケースです。特定の期間や疾患は対象外になってしまいますが、それ以外はほかの被保険者と同様に保障を受けることができます。

また近年は告知が必要ない「無選択型保険」や告知条件を通常より緩和している「引受基準緩和型保険」を取り扱う生命保険会社もあります。病歴や年齢などの制限によって通常の保険には入れない方を対象としているもので、生命保険だけでなく医療保険も用意されています。

もしも告知事項が多くなりそうで心配な場合は、保険に加入する際に保険会社や代理店の担当者に正直に相談してみましょう。あなたに合ったアドバイスをしてくれるはずです。

5.なかなか保険に入れない…そんなときに役立つ公的制度

制度が記載された書類のイメージ

生命保険や医療保険に加入できないと、万一のときの不安も大きいと思います。その際は、公的制度をフルに活用するのも手段のひとつです。万一に役立つ制度を簡単にご紹介しましょう。

5-1.病気やケガで会社を4日以上休んだら「傷病手当金」

「お休みの日に子どもと遊んでいたら、骨折してしまった!」など、業務外の理由で病気やケガのために仕事を連続して3日間休んだ場合、それ以降の欠勤日に対して「傷病手当金」が受取れます。

ただし、自営業者などの国民健康保険加入者は対象外となりますのでご注意ください。

5-2.一時的に高額の医療費を使ってしまったら「高額療養費」

思わぬ病気やケガでひと月10万円以上など年齢や所得による上限を超える医療費がかかってしまったら、会社で加入している健康保険や国民健康保険から「高額療養費」を受取れます。すべての医療費を補てんすることはできませんが、支出の軽減にはなるので、知っておいて損はありません。

5-3.残された家族へ「遺族年金」

厚生年金や国民年金に加入されている方が死亡した場合、「遺族厚生年金」や「遺族基礎年金」が給付されます。ただし被保険者が一定期間保険料を支払っていないと、年金は受取ることができません。民間の保険だけでなく、公的年金保険の加入状態も、事前に確認しておくとよいでしょう。

6.まとめ

生命保険の告知は、保険に加入するうえで非常に重要な内容です。悪質な告知義務違反の場合は、保険契約の解除もあり得ます。

もしも「告知義務違反をしているかも!」と思ったら、速やかに契約中の保険会社へ連絡し、告知を修正しましょう。万一のときに保険金が支払われるよう、今のうちに確認してみてくださいね。

※上記は一般的な内容です。保険の種類や呼称、保障内容等は商品によって異なりますので、実際にご加入いただく際は商品詳細をご確認のうえご契約ください。

【執筆・監修】

かなさしあゆみの写真

金指 歩(かなさし あゆみ)

  • 証券外務員1種・2種
  • ファイナンシャルプランナー3級

大学卒業後、大手信託銀行にて住宅ローンや個人資産運用の営業に従事。その後不動産会社や証券会社に勤務したのち、2017年よりフリーライターとして独立。金融系記事や取材記事の執筆をしている。最近は編集者としても活動。

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