引受基準緩和型医療保険は持病があっても入れる?加入条件や検討時のチェックポイント

掲載日:2023/03/15

看護師が高齢女性の血圧を測っている画像

CMやネットで「持病があっても入りやすい保険」と紹介されているのが、引受基準緩和型医療保険。特に健康に不安がある人にとって候補のひとつにあがる保険になりますが、保障内容や保険料の面で注意が必要な保険でもあります。

この記事では、引受基準緩和型医療保険の特徴やメリット・デメリット、選び方に加え、比較対象となる通常の医療保険や無選択型医療保険について解説していきます。

この記事のポイント

  • 引受基準緩和型医療保険は持病の悪化・既往症の再発も保障対象
  • 通常の保険より保険料が割高で、保障の削減期間がある商品が多い
  • まずは通常の医療保険に申込むのがおすすめ

1.引受基準緩和型医療保険とは?

通常の医療保険・引受基準緩和型医療保険・無選択型医療保険の比較の図

引受基準緩和型医療保険は、加入条件が通常の保険よりも緩くなっている医療保険です。告知項目が3~6つ程度と少ないことから、限定告知型や選択緩和型とも呼ばれています。引受基準緩和型医療保険は、保険料が変わらず、保障が一生続く終身タイプが一般的です。

無選択型医療保険は告知不要であることから、基本的に誰でも加入することができ、告知がないことから無告知型とも呼ばれています。無選択型医療保険は、更新時に保険料が上がり、更新できる年齢に限度がある定期タイプが一般的です。

どちらも通常の生命保険より保険料が高く設定されていて、通常<引受基準緩和型<無選択型の順に割高になっていきます。

無選択型は、引受基準緩和型よりもさらに保険料が割高で、持病や既往症は対象外、加入後一定期間は一切保障が受けられないなど、支払い条件が厳しくなっています。通常の保険や引受基準緩和型医療保険でも加入できなかった場合に、最終手段として検討したい保険です。

2.引受基準緩和型医療保険は入るべき?

引受基準緩和型医療保険の必要性を考えるために、メリット・デメリット、向いている人・向いていない人を確認しておきましょう。

引受緩和型医療保険のメリット・デメリット

特徴的なのは、「持病の悪化・既往症の再発も保障対象になる」ことと、「告知項目全てが“いいえ”であれば加入できる」こと。通常の医療保険では、持病は対象外(※1)になったり、保険料が割増になったりする場合があるので、少ない告知事項で加入できるのは安心感が大きい部分といえるでしょう。

(※1)「特定部位・特定疾病不担保」といい、一定期間または全期間にわたり特定の部位・疾病への保障はしないという条件のこと。それ以外の部位や疾病は通常通り保障される

ただし、持病を保障対象にする代わりに、保障額の削減期間(加入から1年間は半減となるのが一般的)を設けていたり、特約のラインナップを減らしたりして保障内容を調整していることがあります。これらの制限を許容できるかが、加入を検討する際のポイントです。

そして、健康に不安がある人の中でも、引受基準緩和型医療保険が向いている人と向いていない人がいます。

向いている人は、貯蓄があまりない人。公的医療保険のおかげで実際に支払う医療費はそれほど高額にはなりませんが、多少なりとも自己負担はあります。急な持病の悪化や既往症の再発もあり得るため、ある程度の貯蓄ができるまでは民間の医療保険に入っていたほうが安心でしょう。医療保険に入りたいけれど通常の保険で加入を断られた人、持病も保障対象にしたい人も加入を検討するのがおすすめです。

向かない人は、貯蓄が十分にある人と、持病以外のケガや病気に備えたいと考えている人です。まず、貯蓄が十分にあるならば医療費をまかなうことができるでしょう。また、持病以外のケガや病気に対しての保障でよいのであれば、わざわざ割高の引受基準緩和型医療保険に加入する必要はありません。一般的な医療保険に加入できる可能性は大いにあるので、まずは通常の医療保険を検討しましょう。

ここまで引受基準緩和型医療保険の必要性についてお伝えしてきましたが、ひとつ忘れないでいただきたいのは、「持病があっても通常の医療保険に加入できる可能性はある」ということです。

通常の医療保険は、詳細に告知するぶん、現在の病状など細かな状況を考慮して引受可否を判断してくれます。持病があると一定期間は部位不担保になったり、保険料がやや割高になったりすることも多いですが、好条件で加入できるケースもあります。

各社で引受基準が異なるので、1社に断られたからといって、ほかの保険会社にも断られるとは限りません。同様に、どのような条件が付くか、条件が付く・付かない自体も保険会社によって異なります。引受基準緩和型医療保険の告知項目を全てクリアしているのであれば、通常の医療保険へも検討の幅を広げてみるのがよいでしょう。

子どもに持病があり引受基準緩和型医療保険を検討している人もいるかと思いますが、そもそも子どもが入れる引受基準緩和型医療保険は数が限られ、年齢によっては申込みすらできない可能性があります。

ただ、結論からいってしまえば、子どもは持病があったとしても医療保険に入る必要性は低いといえます。なぜなら、乳幼児医療費助成制度・子ども医療費助成制度のほか、小児慢性特定疾病の医療費の助成もあるなど、公的保障がかなり手厚くなっているからです。子どもには教育費もかかるので、用途フリーの「貯蓄」を作り上げていくほうが適しているかもしれません。

3.要チェック!引受基準緩和型医療保険の基本的な条件や、検討時のチェックポイント

ここでは、引受基準緩和型医療保険の告知項目について見ていきましょう。

基本の告知は3つ程度、特約(オプション)を付ける場合は2~3つの告知が追加されるのが一般的で、全ての条件に該当しなければ申込みが可能となります。告知項目の一例は次の通りです。

・過去2年以内に入院・手術をしたことがある

・過去5年以内にガンで入院・手術をしたことがある

・今後3ヶ月以内に入院・手術の予定がある

・現時点でガン・肝硬変と医師に診断または疑いがあると指摘されている

・現在までに公的介護保険の要介護認定を受けたことがある

引用:生命保険文化センター「健康状態に不安がある人でも、契約できる医療保険とは?」

告知項目は、各社公式サイトの商品ページに提示されているため、チェックしてみてください。

商品の比較検討時には、通常の医療保険と比べて手薄にならないか、ご自身の持病も保障の対象になるのか、「保険料払込免除特約」があるかをチェックしましょう。保険料払込免除特約とは、所定の診断をされたときに保険料負担をなくす特約です。

チューリッヒ生命の「終身医療保険プレミアムZ ワイド(引受基準緩和型医療保険)」には保険料払込免除特約があり、ガンと初めて診断されたとき、または心疾患・脳血管疾患で所定の入院・手術をしたときに保険料の払込みが免除されます。これらの特定疾病にかかると、働けなくなるケースもあるため付加しておくと安心です。

そして、終身タイプである引受基準緩和型医療保険は、払込期間を「終身払い」と「短期払い」の2通りから選ぶことができるので、それぞれどのような特徴があるか確認しておきましょう。

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短期払いにはさらに、55歳払済・60歳払済のように年齢を指定して保険料を払込む「歳満了」と、10年払済・15年払済のように期間を指定して保険料を払込む「年満了」があります。

終身払いのほうが月々の負担が少ないですが、短期払いなら現役のときに支払いが終えられるメリットも。いつまで支払いたいか、保険料は家計を圧迫しないかなどの観点から、無理のない払込期間を設定することが大切です。

4.引受基準緩和型医療保険の注意点とは?

引受基準緩和型医療保険には、注意したい点が3つあります。

4-1.加入後、一定期間は保険金が削減されることがある

加入から1年間は保障が半額になるケースが多くあります。保障がゼロになるわけではないですが、受取れる金額が少ない期間に備えて、貯蓄も多めに蓄えておく必要があるでしょう。

最近では削減期間がない商品も増えてきています。チューリッヒ生命の引受基準緩和型医療保険も削減期間がないタイプのため、加入直後から満額の保障を受けられるのが特徴です。

4-2.特約を付帯する際は、告知項目が増える場合もある

告知項目は2~3つが基本ですが、特約を付けたい場合はさらに3つ程度告知が追加される商品が多いです。主に、特定疾病・ガンなどの三大疾病に対する特約を付加したい場合に告知が増える傾向にあります。保障を手厚くするためには、加入条件がやや厳しくなると覚えておきましょう。

4-3.保険料が高かったり、保障内容が緩すぎるものがあったりする

入りやすければ入りやすいほど、リスクが高い人の保障も引受けることになるため、保険会社が給付金を支払う確率が上がります。そのため、保険料が高く設定されている場合がほとんどです。保障内容が薄すぎる場合もあるので、入る意味のある保障内容かどうか、よく吟味することが大切です。

5.まとめ

引受基準緩和型医療保険は、持病があっても入りやすい保険です。持病がある人にとって心強い保険ですが、保険料が割高になったり、保障額の削減期間があったりと、加入者にとっては悩ましいデメリットもあります。

持病や既往症があっても通常の医療保険に加入できる可能性はあるので、まずは通常の医療保険に申込んでみましょう。保険会社によって審査が異なるのはもちろんのこと、持病の種類や現在の病状などによっては特別条件が付かないこともあります。

もし、通常の医療保険で希望と異なる保障内容になってしまったら、引受基準緩和型医療保険を検討するという流れがおすすめです。

※上記は一般的な内容です。保険の種類や呼称、保障内容等は商品によって異なりますので、実際にご加入いただく際は商品詳細をご確認のうえご契約ください。

【執筆・監修】

さくま みどりの写真

佐久間 翠(さくま みどり)

ファイナンシャルプランナー/ライター。証券会社のオペレーターや生命保険会社でファイナンシャルアドバイザーを務める。その経験を活かして、2016年からフリーライターとしてマネー系記事を中心に執筆。

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