女性特有の疾病・病気とは?

掲載日:2023/01/06

聴診器とハートの画像

保険の見直しや加入を検討する際、女性特有の病気への備えを考えておいたほうがよいのか、迷われる方もいらっしゃるでしょう。この記事では、女性疾病についての概要と、病気の種類、罹患者数、治療費についてご紹介します。その上で、女性特有の病気への備えについて、どう考えればよいのかご説明します。

この記事のポイント

  • 女性特有の疾病は様々なものがあり、疾病によっては若いうちから罹患率が高いものもある
  • 女性特有の疾病に罹患した場合、給付金が上乗せされる保険もある
  • 女性だからこそ、安心して治療を受けるための十分な備えが必要

1.女性特有の病気とは?

女性特有の病気について、身体の部位別にどのようなものがあるのかご紹介します。女性特有の病気は、他の病気の原因になる場合があります。今回ご紹介する疾病以外にも女性疾病にはさまざまなものがあり、罹患する人が多い年代もそれぞれ異なります。

部位別の女性疾病・女性に多い病気の種類
部位 病名 症状
子宮
子宮筋腫 子宮の壁(筋層)にできる良性の腫瘍。悪性化するケースは稀。
子宮内膜症 子宮内膜に似た組織が子宮内腔以外の場所にでき、増殖、剥離を繰り返す。20~40代に多い。閉経後の症状はほぼなくなる。
子宮の良性新生物 子宮に発生する良性新生物。
子宮脱 子宮が本来の位置から下がり、子宮の一部または全部が膣外に出た状態。違和感や痛みを感じる。
子宮体ガン 子宮内膜から発生するガン。50~60代に多い。早期から不正出血が生じる。
子宮頸ガン 子宮頸部に発生するガン。20~30代に多い。進行が進むと子宮や卵巣の摘出を要する可能性がある。
子宮外妊娠 受精卵が子宮内膜ではなく、他の場所に着床した妊娠。頻度は1~2%。開腹手術に至る場合もある。
卵巣
卵巣のう腫 卵巣の中に液状の成分が溜まり、腫れたりしこりができたりする症状。多くの場合、良性。一般的に初期の自覚症状はなく、腫れが大きくなると下腹の張りや下腹部痛等を感じる。激しい腹痛が起きる場合もある。
卵巣機能障害 卵巣が正常機能を果たさない状態。月経周期の乱れや無月経などを引き起こす。幅広い年代で発症する可能性がある。
卵巣出血 排卵や外的刺激等によって生じる卵巣の傷から出血するもの。20~30代に多い。
卵管留膿症 卵管が炎症によって癒着して、膿が溜まった“できもの”が生じる。慢性的に下腹部に痛みを感じる。
卵巣の良性新生物 卵巣にできる良性新生物。
卵巣ガン 卵巣に発生するガン。進行すると下腹部の張りやしこりなどの症状がでる。早期段階での自覚症状はほとんどない。
卵管ガン 卵管に発生するガン。発生率は極めて低い。早期段階での自覚症状はほとんどない。
乳房
乳ガン 乳房に発生するガン。30~50代に多い。
乳腺症 女性ホルモンのバランスの崩れにより、しこりなどが生じる。乳ガンの疑いがある場合もある。
乳腺炎 母乳や細菌が乳腺で詰まることによる炎症。乳房の痛み、発熱が生じる。
乳房の良性新生物 乳房にできる良性新生物。
その他
関節リウマチ 身体のさまざまな関節に慢性的な炎症が生じて痛みを感じる。関節が変形を起こす場合もある。男性より女性に多い。
膀胱炎 細菌による膀胱の炎症。尿の白濁、血尿、排尿時の痛みが生じる。男性より女性に多い。
胆のう炎 肝臓とすい臓の間にある胆のうに炎症が生じる。右上腹部の発作的な痛みが特徴。40代以上の女性に多い。
バセドウ病 甲状腺ホルモンが過剰分泌される病気。若い女性に多く発症。動悸などの身体的症状と苛立ちなどの精神的症状がある。
橋本病 甲状腺の慢性的な炎症により、甲状腺ホルモンの分泌低下が生じる。30~40代の女性に多い。

2.どれくらいの人が罹患しているの?

女性特有の病気とひと口にいっても、先ほどご紹介した通り、さまざまな病気があります。それらの病気の中から一部、厚生労働省の令和2年患者調査をもとに、どれくらいの人が罹患しているのかについてご紹介します。

女性疾病・女性に多い病気の罹患者数
病名 総患者数
子宮内膜症 171,000人
子宮体ガン 54,000人
子宮頸ガン 47,000人
卵巣機能障害 128,000人
卵巣の良性新生物 50,000人
卵巣ガン 42,000人
乳ガン 832,000人
乳房の良性新生物 900人
関節リウマチ 614,000人
膀胱炎 97,000人
胆のう炎 600人
甲状腺炎 162,000人
参照:厚生労働省「令和2年患者調査」

調査結果を見ると、女性特有の病気の中には数万人どころか、10万人を超える人が罹患している病気も多いことがわかります。この数字は外来患者の推計であるため、必ずしも入院を要するケースばかりではありません。しかし、女性特有の病気に罹患するということが、女性にとって他人事ではないと感じられるように思います。

また、これらの病気から他の病気につながって入院を要する可能性もあるため、今回ご紹介した病気が入院を要するケースばかりではないとはいえ、手放しで安心できるものではないでしょう。

3.どれくらい治療費がかかるの?

女性にとって他人事ではない女性疾病。その治療費の自己負担は、どれくらいかかるのかについて、罹患者数が多い「乳ガン」を例に挙げてご説明します。

乳ガンの場合の治療費

乳ガンの治療にかかる費用は、進行具合によって異なります。

初期の段階で乳ガンと診断された場合、乳房部分切除術(乳房温存手術)または乳房全切除術が行われます。また、手術後に放射線治療が行われる場合もあります。さらに乳ガンの進行が進むと薬物治療も導入されるため、身体への負担も大きくなります。

入院や手術など医療費そのものについては、公的医療保険の高額療養費制度を活用することによって、一定額まで自己負担額を抑えることができます。乳房全切除術が行われた後の乳房の再建手術についても、以前は自己負担でしたが現在は公的医療保険の適用を受けることができます。そのため、1ヶ月の自己負担は10万円程度が一般的といえます。

しかし、薬物療法による頭髪の脱毛が生じた場合の医療用ウィッグ購入費用は数十万円程度、また大部屋での療養を避けるために個室を希望した場合の差額ベッド代は入院中に毎日数千円かかり、1日で見れば数千円でも1週間入院が続くとなれば数万円となります。
そして、これらの治療外費用は全て自己負担となるため、負担が重いと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

乳ガンの治療そのものにかかる費用に対する自己負担は、公的医療保険制度のおかげである程度抑えることができますが、治療費以外にかかる費用が発生することにも目を向けておく必要があります

高額療養費制度とは

高額療養費制度とは、公的医療保険に加入している方の医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で1ヶ月に支払う医療費が一定額を超えた場合、その超えた額を支給する制度です。一定額は、年齢や所得に応じて定められています。

例えば、年収約370~約770万円の69歳以下の方は、「80,100円+(医療費-267,000円)×1%」で計算される金額が自己負担額の上限額となります。

ここで言う医療費には、入院中の食費、患者が希望する差額ベッド代、先進医療にかかる費用は含まれない点に注意しておきましょう。

なお、この制度は原則として自己負担額全額を医療機関に支払い、限度額の上限を超えた部分が戻ってくる仕組みです。ただし、入院する前に加入している公的医療保険の窓口で「限度額適用認定証」または「限度額適用・標準負担額減額認定証」の交付を受けて、医療機関の窓口でこれらの認定証を提示することによって、窓口での支払いを負担の上限額までに抑えることができる場合もあります。

4.女性特有の病気にどう備えるか

女性特有の病気だからこそ、病気の部位によっては病院の大部屋で療養することを避けたいと感じて、個室を選択したいと考える方もいらっしゃるかもしれません。その場合には、治療費とは別に差額ベッド代の負担を考慮する必要があります。

そのような女性ならではの支出負担に備えるために、女性向けの医療保険を検討するのも一案です。保険会社によって名称はさまざまですが、女性向けの医療保険は、女性特有の病気だけでなく、ガンなどの保険会社が定める病気による入院に対しても、通常の入院給付金に上乗せした金額の給付が受けられる仕組みになっています。

上乗せ給付を活用して、治療費以外にかかる差額ベッド代などの負担をカバーすることもできるため、安心して個室利用を選択できるかもしれません。

女性特有の病気、および保険会社が定める病気は、保険会社によって異なります。どのような病気が上乗せ給付の対象となっているのか、よく確認してから加入の検討を進めていきましょう。

また、特に女性の罹患者数が多い乳ガンに備える場合には、より手厚く備えるために医療保険にガンの特約を付加するか、別でガン保険の加入も合わせて検討されるとよいでしょう。治療費以外にかかる費用の他に、いつまで治療が続くのかという不安に対して、ガンと診断されたらまとまった一時金が受取れる「ガン診断給付金」の存在は心強いと思います。
「ガン診断給付金」の保障条件については、初めてガンと診断されたときの1回限りの給付となっているものと、複数回給付となっているものがあります。再発の可能性もあることを考慮すると、「ガン診断給付金」の保障条件が複数回給付となっているタイプを選択されるのがおすすめです。

5.まとめ

女性特有の病気にはさまざまなものがあり、種類によっては若い年齢のときに多く発症するものもあります。また、乳ガンなどの女性特有のガンの場合では、治療が長期間になる可能性があり、治療費以外の費用がかかることも想定されます。この機会に年齢に関わらず、さまざまな年代で罹患する可能性のある女性特有の病気に備えて、貯蓄の確認や女性向けの医療保険、ガン保険の比較検討を進めてみてはいかがでしょうか。

※上記は一般的な内容です。保険の種類や呼称、保障内容等は商品によって異なりますので、実際にご加入いただく際は商品詳細をご確認の上ご契約ください。

【執筆・監修】

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キムラミキ

  • AFP
  • 社会福祉士
  • 宅地建物取引士

日本社会事業大学で社会福祉を学んだ後、外資系保険会社、マンションディベロッパーに在籍後、FPとして独立。現在は、株式会社ラフデッサン 代表取締役として、個人向けライフプラン相談、中小企業の顧問業務をお受けするほか、コラム執筆、セミナー講師、山陰放送ラジオパーソナリティとしても活躍中。

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