歯周病予防で大切なのは、歯周病の原因となるプラークや歯石がつかないようにすること。そのためには毎日の歯磨きが欠かせません。磨き方の基本は、鉛筆をにぎるように歯ブラシを持って毛先を歯に当て、歯を1本ずつ意識しながら小刻みに動かすこと。歯の間の汚れには、すき間の大きさに応じて、歯間ブラシや糸状のデンタルフロスでのフロッシング(歯の間に糸を通して、歯の側面をなぞるように上下にゆっくり動かして汚れをこすり落とす、かき出す)をあわせて行うのがおすすめです。ただ年齢や歯並び、歯や歯肉の健康状態などによって適した歯ブラシ、歯磨き方法は異なりますので、歯科で自分にあったものを教えてもらいましょう。
また、セルフケアが必要なのは口の中だけではありません。歯周病菌は口の中にいる常在菌ですが、免疫力が高ければ歯周病の発症リスクを小さくすることができます。そのため、免疫力低下にもつながるストレスは歯周病の発症リスクを高めるとされています。さらに喫煙は、タバコに含まれる有害物質が免疫力を低下させるうえ、毛細血管が収縮することで歯肉の血行悪化にもつながり、歯周病菌に感染しやすくなることが知られています。ストレスをためこまないよう、健康的な生活習慣を心がけ、免疫力を高めることを意識しましょう。
そうして心身のセルフケアを行いながら、定期的に歯科検診を受けることも大切です。歯や歯肉の健康状態の確認や、ついてしまったプラークや歯石の除去などをしてもらうのに加え、プラークや歯石をつきにくくするための歯面清掃「PTC(Professional Tooth Cleaning)」をしてもらうことも歯周病予防に役立ちます。PTCでは、セルフケアではプラークコントロールが難しい部位を中心に、すべての歯のプラークと歯石を除去し、専用機器とフッ化物入り研磨剤を使って研磨して、歯面を清掃します。
PTCは保険診療として行われる場合と、自由診療の適用となる場合があります。保険医療機関により歯周病などの病気の治療の一環として行われる場合は保険診療となります。一方で、予防や歯面についた着色の除去など、審美面での改善を目的とする場合は、自由診療の適用となります。自由診療で行われるPTCは、さまざまな治療機器や清掃用具を使用した徹底的な歯面清掃と、処置後の高濃度フッ素を使用したムシ歯に対する予防処置が一連の流れとして行われ、料金は5,000円~10,000円程度が目安です。
歯科は、治療のために受診するのではなく、予防のために受診する習慣を身につけましょう。歯周病は、初期段階では痛みなどの分かりやすい自覚症状がないため、気づかないまま進行してしまうこともあります。少なくとも年2回は、歯科検診を受けるのがおすすめです。
“8020”は一日にしてならず。日々のオーラルケア習慣で歯の健康、そして心身の健康を守りましょう。
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