寒暖差疲労の主な症状のひとつに「冷え」があり、日ごろから体温が低い、冷え性気味という人は寒暖差疲労の状態になりやすいといわれています。「冷えは万病のもと」ということわざがあるように、身体が冷えると内臓の働きが低下して免疫が下がり、さまざまな不調を起こしやすくなります。熱中症対策のためにも夏は冷房が欠かせませんが、冷えの改善、また冷房病の予防のためにも、冷房の使い方を見直してみましょう。
環境省「熱中症環境保健マニュアル2022」の「熱中症を防ぐための日常生活での注意事項」には、“温湿度計で室温をこまめにチェックし、エアコン使用時の室温「28℃」を目安に、適切な温度を保つ”、“室温を下げすぎると(24℃を下回る)、外気温との差が大きくなり、部屋に出入りする際に体の負担になる”、“室温と併せて、部屋の湿度を下げることも重要”とあります。
気をつけたいのは、目安である「28℃」はエアコンの設定温度ではなく室温であること、そして体感温度には個人差があることです。エアコンの位置や向きによっては、同じ部屋でも室温が異なることがあります。身近に温湿度計を置いて、自分がいる場所の温度と湿度を確認しましょう。目安にとらわれず、自分が「寒い」と感じないことが大切です。また、室温にむらが出ないように扇風機などを使って室内の空気を循環させる、身体が冷えすぎないように風を壁や天井に当たるようにするなど、風向きを調整することもポイントです。
自分で設定温度や風向きを調整することができないオフィスや外出先では、カーディガンやひざ掛け、腹巻きなどを準備しておくとよいでしょう。温かいものや常温のものを飲む・食べる、屈伸運動などの簡単なストレッチや、移動時に階段を利用するなど、身体の中から温めることもおすすめです。
また、冷房病の予防には、冷えにくい身体をつくることも大切です。ウォーキングやストレッチ、筋トレなど、少し汗ばむ程度の軽い運動を習慣づける、入浴はシャワーだけでなくぬるま湯にゆっくり浸かる、暴飲暴食をさける、睡眠をしっかりとるなど、自律神経のバランスをととのえ、身体を温める生活習慣を心がけましょう。
少し汗ばむ程度の軽い運動を習慣化することは、「いい汗」をかける身体にもつながります。汗は血液からつくられています。汗腺がきちんと働いていると、血液に含まれるミネラル分などは血管に戻され、水に近いサラサラとした「いい汗」をかくことができます。ところが、自律神経が乱れ、発汗や汗腺の機能が低下すると、ミネラル分も水分と一緒に出てしまうため、汗はベタベタとした「悪い汗」になります。「いい汗」は蒸発しやすく、体温調節の役割をはたしますが、「悪い汗」は蒸発しにくいため、熱をうまく逃がすことができません。さらに、血液中のミネラル分が失われるため疲労感も増します。冷房病はもちろん、熱中症、夏バテの予防のためにも「いい汗」をかける身体を目指しましょう。
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