確定拠出年金にはiDeCoのような「個人型」のほかに、勤務先が掛金を拠出して加入者が運用する「企業型」があります。企業型に加入している人も、制度上はiDeCoに加入できるのですが、そのためには会社が確定拠出年金の規約を変更しなければならず、実際には企業型加入者がiDeCoを利用できるケースはほとんどありませんでした。
今回その点が見直され、10月からは勤務先の規約変更がなくてもiDeCoに加入できるようになり、企業型とiDeCoを併用できる人が増えるのです。
ただし、企業型とiDeCoの掛金額の合計額には、5万5000円あるいは2万7500円という上限があります。そのため、企業型の掛金額が上限まで達しているかそれに近い金額の場合は、iDeCoは利用できないか、利用できても拠出できる掛金額が少なくなります。
企業型には、勤務先が拠出する掛金に加入者自身が掛金を上乗せできる「マッチング拠出」という仕組みがあります。これまでは勤務先がマッチング拠出を導入しているとiDeCoは利用できませんでしたが、10月からはマッチング拠出かiDeCoのいずれかを選べるようになります。
マッチング拠出にもiDeCoにも掛金に上限額があるので、どちらを利用するか迷ったときは、より多く掛金を拠出できるほうを選ぶとよいでしょう。もし掛金額に差がなければ、口座管理料を自分で負担するiDeCoより、勤務先が負担するマッチング拠出のほうがよいかもしれません。
iDeCoも企業型も老後資金作りの有力なツールですが、制度がわかりにくい面もあるので、不明な点などは資産を管理している金融機関に問い合わせるなどして、上手に活用することをおすすめします。
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