こんにちは。チューリッヒ生命・商品企画部のT・Hです。

皆様ご存じのとおり保険には、不幸にもお亡くなりになったときに備える保険や病気やケガで病院に行った場合に備える保険など、さまざまな種類がありますが、今回は今話題になっている「働けなくなったときに備える保険」についてお話しします。

一般的に、生計維持者の方に万が一のことが起きて収入が途絶えてしまった場合、生活が困難になるだけでなく、将来の生活設計にも大きな影響を与えることになります。会社員や公務員の方の場合は、公的医療保険（健康保険）から傷病手当金（※）が支払われることがありますが、いつまでも貰えるわけではありません。このような経済的不安をカバーするため、保険会社では「就業不能保険」「所得補償保険」「収入保障保険」といった保険を発売しています。似ている名称で一般の人には区別がつきづらいですが、一体何が違うのでしょうか？

簡単にご説明すると、「就業不能保険」は、病気やケガで働けなくなった場合でかつ生存している場合に、長期間にわたって給与代わりの給付金を受け取れる保険です。多くの生命保険会社や損害保険会社が販売しています。

ただし、働けなくなった場合といっても、保険商品ごとに定まった条件に該当する必要があります。

一例として、
・ガンや脳卒中などで一定期間入院した場合
・持病により、お医者さんの指示で一定期間自宅療養した場合
などが挙げられます。

続いて「所得補償保険」は、就業不能保険と似ていますが、病気やケガで働けなくなった場合でかつ生存している場合に、1年間や2年間など一定期間給与代わりの保険金を受け取れる保険です。損害保険会社が販売しています。受け取れる額は月収の40～80％など、実際の収入に応じて設定することが一般的です。就業不能保険と比べて保険期間や免責日数が短いため、より短期間の給与補償ニーズに対応している保険商品であると言えそうです。

最後に「収入保障保険」は、就業不能保険や所得補償保険と大きく異なり、病気やケガで亡くなられた場合に、長期間にわたって給与代わりの保険金を受け取れる保険です。つまり、被保険者様ご本人ではなく、遺された家族の方を救済することを目的とした保険商品です。生命保険会社のみが販売しています。

このように、「就業不能保険」と「所得補償保険」は、病気やケガで働けなくなり、給付金を受け取れる条件が保険商品によって異なります。ご自身が実際に働けなくなったときに給付金が受け取れない！といったことがないよう、どのような場合に給付金が受け取れる保険商品であるのか、加入時にしっかり確認しましょう。

人生100年時代に突入し、老後の生活資金の確保が急務となっている中、公的年金だけに頼らず、自分で資産を運用して老後に備えるケースが増えています。そこでぜひ利用したいのが、投資の３大原則である「長期・分散・積み立て投資」にのっとり、さまざまな税制優遇が適用される「iDeCo」と「つみたてNISA」。両者の特長を知り、老後の備えを戦略的に考えてみませんか。

「iDeCo」とは愛称で、正式には「個人型確定拠出年金」と言います。毎月一定額積み立てた掛け金を自分で運用し、それを将来の年金として受け取ることができる制度です。専用の口座を金融機関に開設し、投資信託や保険、預金などを自ら選んで運用していきます。現在、ほとんどの金融機関で「iDeCo」口座の開設が可能ですが、口座維持のための手数料や取扱う運用商品がそれぞれ異なるため、口座開設前に金融機関のコールセンターやWebサイトなどで調べておきましょう。なお、「iDeCo」は原則、20歳以上60歳未満のすべての方（※）が加入できます。

「iDeCo」最大のメリットは、３つの税制優遇が受けられることです。(1)掛け金の全額が所得控除になるほか、(2)運用益は非課税で再投資でき、(3)年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金で受け取る場合は「退職所得控除」の対象となります。

しかしながら、「iDeCo」を利用する上で注意したいのが以下の３点です。

１．60歳まで引き出すことができない

「iDeCo」は「年金」を目的としていることから、60歳まではどんな理由であれ、引き出すことはできません。また、加入年数によって受け取り開始可能な年齢が異なり、60歳であっても加入期間が10年に満たない場合は、掛け金を受け取れません。50代で加入するような場合は、自分がいつから受け取れるようになるのかを事前に確認しておきましょう。

２．選んだ商品の運用実績によっては元本割れの可能性がある

運用商品は、口座を開設した金融機関が取り扱っているものの中から自分で選定します。投資信託が中心ですが、定期預金や保険も選べます。選んだ商品の運用成績によって将来の受取額は変動し、元本割れの可能性もありますので、運用商品はしっかりと調べて選びましょう。元本割れが不安な方は、元本が保証される定期預金という選択肢もあります。

３．会社員の場合、掛け金の上限が低い

「iDeCo」は月々5,000円という少額から気軽に始められるところがメリットですが、会社員の場合、月額1.2～2.3万円（企業年金の有無等で異なる）までという掛け金の上限があります。自営業やフリーランスの方は厚生年金がないため、掛け金の上限は月額6.8万円と高額に設定されています。

「つみたてNISA」とは、年間40万円を限度として、毎週、毎月などの頻度で一定金額を自動で積み立てながら行う投資を非課税により支援する制度です。つみたてNISAという名前も愛称で、正式には「少額投資非課税制度」と言います。名前のとおり「投資」であるため、iDeCoと違い預金や保険は対象商品ではありません。

「つみたてNISA」の最大のメリットは、運用益（売却益と分配金）が購入した年から最大20年間非課税になることです。さらに、金融庁が「長期に積み立てながら分散投資をするのにふさわしい」として認めた、手数料が低水準の公募株式投資信託と上場株式投資信託（ETF）に対象が限定されていますので、投資初心者でも安心です。つみたてNISAの対象は日本に居住する20歳以上の方であり、年齢の上限はありません。注意すべき点としては、(1)投資であるため元本割れのリスクがあること、(2)解約や売却をした場合、その年の「非課税投資枠」は消費されたまま戻らないため資産のリバランスがしにくいこと、(3)iDeCoとは違い、積み立てた資金は所得控除の対象にならないということなどがあげられます。

NISAにはこの「つみたてNISA」以外にも「一般NISA」がありますが、併用することはできません。

「iDeCo」と「つみたてNISA」。いずれも長期にわたる積立投資による資産形成を目的としたものですが、税制優遇や対象商品、積立の限度額などに違いがあります。

“自分年金”を作りたいのであれば、まずは「iDeCo」を考えるとよいでしょう。「iDeCo」ならば最大40年間にわたり、積み立てた掛け金と確定拠出年金内の運用商品の運用益が所得控除を受けられるというメリットを享受しつつ、老後に備えることができます。しかも、受け取り時には「公的年金等控除」も受けられる、まさに“年金作り”に適した制度です。

しかしながら、「iDeCo」は60歳まで引き出せないことと月々の拠出限度額が低いところが難点。そのデメリットをカバーできるのが「つみたてNISA」。こちらは金融庁の厳しい条件をクリアした商品を対象に、年間上限額40万円まで積立投資ができ、積み立てた資産はいつでも引き出すことが可能なため、「住宅資金」「教育資金」など、何かと大きな出費が必要となる現役世代に使い勝手のよい制度と言えそうです。

“年金作り”は「iDeCo」をベースに、追加の備えとして「つみたてNISA」を併用する。人生100年時代を乗り切るマネープランとして、ぜひ選択肢に入れていただければと思います。