カヌー・スラローム日本代表 羽根田卓也選手 トークセッション

チューリッヒ・グループでは、「Create a brighter future together(明るい未来をともに創造する)」というパーパスの下、心身の健康を促進することに重きを置き、メンタルウェルビーイングを注力分野の一つとしています。より多くの人が心身ともに健やかな状態が保てるよう、当社ブランド・アンバサダーの羽根田選手と一緒にさまざまなイベントを通じて、社内外に広くメッセージを発信しています。

カヌー・スラローム男子カナディアンシングルで5大会連続でオリンピック出場を果たし、さらにNHK杯を制した当社ブランド・アンバサダーの羽根田卓也選手とトークセッションを行いました。今回は株式会社鉃鋼ビルディングとの共催で開催し、一般のお客さまも含めて 94名にご参加いただきました。

おかえりなさい!羽根田選手!~パリ五輪を終えて~

第1部ではパリオリンピックで印象に残ったエピソードを写真と共に振り返りました。パリの町全体が熱狂に包まれていたことや、オリンピック史上初めてスタジアム外で行われた開会式は、セーヌ川を舞台に壮大な水上パレードが行われ、選手たちが雨に濡れながらもセレモニーを楽しんでいたことなどをご紹介いただきました。カヌーの競技会場の様子を聞かれると、客席は連日満席でフランスでは自国選手だけでなく、他国の選手にも惜しみないエールを送る姿勢が素晴らしかったと話しました。

また、今回のオリンピックでは選手同士で交換されるピンバッチの中でもとくに珍しいピンバッチを集めることを隠れたミッションにしていたと話し、パリオリンピックで使用したIDストラップを会場で披露しました。

続いて、オリンピックに対する気持ちの変化について質問を投げかけると、初めてのオリンピックでは緊張や不安が大きかったが、回を重ねるごとに環境に慣れ、リラックスして臨むことができるようになったことや、自国開催やコロナ禍の影響など、状況に応じて目指すべきものが変わり、その都度新たな目標を設定してきた、と環境の変化に適応する必要性についても触れていました。

教えて!羽根田選手!~卓越したバランス感覚~

第2部では羽根田選手の考え方やものごとの捉え方をさらに深堀りし、アスリートでなくても普段の生活に活かせる多くのアドバイスを共有していただきました。早速司会者から10月に行われた日本選手権大会当日は誰が見ても心配するほど体調が悪そうに見えたことについて触れられると、実はパリからの帰国後、何度か体調を崩していたという羽根田選手。ただそのような状況は初めてではなく、リオオリンピックでメダルを獲った際も発熱をしていたそう。健康管理はしていても、必ずしも万全な状態で試合に臨めるわけではないので、コントロール可能なことに対しては自分は100パーセントコミットして、コントロール不可能なことに対しては一喜一憂されることなく水の流れに身を任せるようにしていると語りました。

スロバキアでトレーニングしていた際もコントロール可能な部分とそうでない部分はあったか聞かれると、スロバキアでは、誰でも風邪は引くし、結果が出なかったとしてもスポーツってそういうものだよねという考えだったということ、そして羽根田選手は日本でかなりストイックにトレーニングをしてからスロバキアへ渡ったが、スロバキアでは拍子抜けするほど食生活に無頓着であったり、リソース(労力)の分配の仕方に大きな差を感じたと振り返り、より効率の良い時間や労力の使い方を学ぶことができたと話しました。

また、日本では一年中カヌーの練習をするがスロバキアでは冬になると一切カヌーに乗らず、スキーや水泳など、カヌーで使った筋肉を休めながら別の能力を養い、それと同時にカヌーから離れることでメンタルのバランスを保っていたことに衝撃を受けたそうです。コーチのスタイルも日本とは大きく違い、ヨーロッパでは双方向のコミュニケーションを基本としているため、常に対等な関係であったが、言われたことを1から10まで疑問を抱くことなく素直に受け入れてしまう日本人選手の真面目さは、時に選手に無理をさせてしまう原因になりかねないと、文化の違いからくるコーチングや競技への向き合い方についても教えてくれました。

答えて!羽根田選手!~Q&Aセッション~

第3部の質疑応答コーナーでは、長期的なモチベーションの維持方法を尋ねられ、モチベーションを維持するためには変化が必要であり、同じことを続けるのではなく、楽しみながら続ける工夫をすることが重要。また「モチベーション」というあいまいな言葉を「脳内ホルモン」という言葉に置き換えると、幸せを感じる瞬間を意識することができ、自然と長く続けられるようになるとのアドバイスをしていただきました。

その他にも、好きな食べ物やおすすめのカヌースポット、好きなアニメなど事前に寄せられた多くの質問に回答いただき、会場の皆さんはメモを取るなど、熱心に聞かれている姿が印象的でした。最後にパリオリンピックの記念Tシャツや羽根田選手のエッセイ本など、直筆サイン入りグッズが当たる抽選会が行われ、当選した方との記念写真に応じるなど、来場者の皆さんとの交流も楽しみ、大盛況のうちに第3部が終了しました。

締めくくりとして、パリオリンピックでは惜しくも決勝には1つ順位が届かず、皆さんに決勝を楽しんでいただくことはできなかったが、今回の大会には、本当にたくさんの方々の応援の中で臨むことができたこと、そして全世界が注目する競技大会の応援の輪の真ん中で競技できることの素晴らしさをあらためて実感し、アスリートとしてかけがえのない体験をさせてもらったと現在の心境を語りました。

来場者からは「スポーツ選手は体調を崩さない!というイメージがあり、羽根田選手も体調崩してしまうことがあるのか〜!!同じじゃん!!と思いました。笑 ある程度流れに身を任せて過ごすことも大事とおっしゃっていて、すごく肩の力が抜けました。」「継続するよりも、その時にあった楽しみ方を見つけて気づいたら続けていた、という話が印象的でした。私自身飽きっぽく継続が苦手で直したいと思っていましたが、前向きに捉えるヒントになりました。」などの声が寄せられました。

今回のトークセッションでは、羽根田選手がこれまでの経験で培ってきたユニークな視点を学ぶことで、私たち一人ひとりの生き方に前向きなヒントが得られたのではないかと思います。今後もより多くの皆さまの健康を支え、明るい未来をともに創っていけるようなイベントを開催していきたいと考えております。